“FIELD OF VIEW”の前身として、viewが結成されたのは1993年。ライヴ・ハウスを中心に活動していた浅岡雄也(Vo)を中心に、小田孝(G)、既にCM音楽を中心に制作活動を行っていた安部潤(key)、そして小橋琢人(Dr)が集められ、王道のポップス路線を目標に育成された。

その当時、プロデューサー長戸は浅岡に対して「ベースを持って弾いてみたら?」とアドバイスを送っていたそうだ。この時点で長戸の浅岡に対する印象は、ひょっとしたら後のコンセプトである“ビートルズ・フレイヴァー”というものを意識していたのかも知れない。そしてview時代を経て2枚のシングルをリリースした彼らは、英国風細身のスーツを身にまとったFIELD OF VIEWとして、シングル・デビューを飾る。

もともと、浅岡の伸びやかな声質を見込んでのデビューということもあり、その声のイメージを重要視した楽曲作りをこの時期の制作陣は最優先に行なっていた。そうやって、「あの時の中で僕らは」や「迷わないで」が生み出された。その頃の彼らは、タイトなスーツ姿ではなく、文字通り“好青年”なviewだった。

1995年、TOWER RECORDS渋谷店がリニューアル・オープン、Mr.Childrenやスピッツが次々とブレイクしていった年。海外では、オアシス、ブラー等のブリット・ポップ勢力が大ブレイクしていた。そんな時代の流れに呼応してバンド名を“FIELD OF VIEW”と改め、彼らは再スタートを切る。それまでのview(=景色)というバンド名から“更に広い世界に視野を向ける”という期待を込めて長戸が“FIELD OF VIEW”と命名。デビュー・シングルからフジテレビのドラマ主題歌というビッグ・タイアップが舞い込み、それまでの状況から一変、一躍スターダムへとのし上がる事となった。

2ndシングル「突然」もミリオン・ヒットを記録。変化していく時代へのビーイングなりの回答。それが“FIELD OF VIEW”(以下:F.O.V)だった。

例えば、いち早くデビュー前の小松未歩、大野愛果、AZUKI 七(GARNET CROW)といった現GIZA studioのメイン・ライターも積極的に登用されている。アーティストとしてデビューする前のソングライターを積極的に起用していくという、音楽制作会社ならではのアプローチも行なっていた。

1stアルバムリリース後、安部が脱退するものの、翌年にはベースの新津健二が加入。よりUKバンドのイメージを鮮烈にする布陣となった。1997年10月、ベスト・アルバム『SINGLES COLLECTION+4』をリリース。初の全国ツアーを経てZAIN RECORDS第一期が終了、F.O.VはBeat reCレーベルに移籍。それを機会に1998年以降はメンバー主導による制作活動に移行、精力的に活動を展開していった。

2001年、バンド名を“the FIELD OF VIEW”とし、再リニューアル。再び古巣のZAIN RECORDSへ。アダルトなイメージでシングルを2枚リリースしたが、2002年、惜しまれつつも解散。

このベスト・オブ・ベストでは10年間のF.O.Vの軌跡の中から、ZAIN RECORDS時代の選りすぐりの10曲を選曲。優れたポップバンドとしてのF.O.Vの魅力が凝縮された作品集となっている。

◆「BEST OF BEST 1000」シリーズ ダイジェスト映像
https://www.barks.jp/watch/?id=1000020789


[楽曲解説]

1. 突然

1995年7月24日リリースの2ndシングル。オリコン最高位2位。作詞はZARDの坂井泉水。ミリオン・セラーを記録。大陸的メロディ展開と、リバーヴを効かせたギター・ソロやバッキング・ディストーションを効かせたギター・サウンド、複数のギターがドラマティックに曲を盛り上げている。マンドリン、バグ・パイプ、スネア・ロールも隠し味に使用。随所にブリティッシュ・フレーヴァーが織り込まれているのがポイント。ポカリスエットCMソング。

2. 君がいたから

1995年5月15日リリースのデビュー・シングル。オリコン最高位3位。MTV世代のブリット・ポップのエッセンスを感じさせる伸びやかなメロディ、そしてそれをきらびやかに飾るシンセ・サウンド、効果的なチューブラベルの音が魅力的なナンバー。作詞はZARDの坂井泉水がFIELD OF VIEWの為に書き下ろした。曲は長戸が織田哲郎のストックから探してきた。彼らのイメージとサウンドの方向性を決定付けた記念すべき1stシングル。当時、坂井はDEENにも詞を書いていたが、バッティングしないためにFIELD OF VIEWは「裕福な家庭の息子達が作ったBANDの気品と余裕ある優しさ」がコンセプトだと言っていた。

3. DAN DAN 心魅かれていく

1996年3月11日リリースの4thシングル。オリコン最高位4位。出だしのサビ・メロディにエネルギーが凝縮されたパワー・ポップナンバー。キャッチーなメロディの魅力はそのままに、よりタイトなリズム隊とハードなギター・サウンドが聴く者を惹き付ける。これも作詞は坂井泉水。

4.ドキッ

1996年5月20日リリースの5thシングル。作曲は浅岡雄也、編曲は葉山たけし。FIELD OF VIEWとしてはメンバーが初めてA面の作曲を行った作品。インパクト大のタイトルに比べて、サウンドとメロディ自体は至って正攻法のVIEWサウンド。ゆったりとしたリズムにリゾート感を感じさせるメロディ、爽やかさいっぱいの浅岡のヴォーカルも心地よい。

5. Last Good-bye

1995年11月13日リリースの3rdシングル。オリコン最高位3位。彼らにとって初のマイナー調のシングル曲。シンプルなバンド・アレンジ、12弦ギターから奏でられる哀愁あるメロディからはマージービートの要素を垣間見ることが出来る。この曲も坂井泉水が作詞を担当。ジャケット一つとってもロンドンのストリートを彷彿とさせるが、これは江戸川にある食品工場跡において撮影されたもの。この時期のFIELD OF VIEWの統一イメージがサウンドのみならずビジュアルにまで徹底していたことを伺わせるエピソードだ。
6. Dreams

1996年11月18日リリースの6thシングル。オリコン最高位14位。哀愁感溢れるメロディーと裏拍を刻むギターのカッティングが印象的で、初期エルトン・ジョンの代表曲「ユア・ソング」を彷彿とさせるシンプルなブリティッシュ・バラード。アレンジを担当しているのは、現doaの徳永暁人。その絶妙なポップ感覚は浅岡のメロウな声質をよく活かしている。

7. この街で君と暮らしたい

1997年4月23日リリースの7thシングル。オリコン最高位14位。アコースティック・ギターの音色と、シャープなバンド・サウンドとの微妙なアンサンブルが聴き所で、60年代バブルガム・ポップ色の濃いミディアム・ナンバー。作詞・作曲を手掛けているのは小松未歩(このシングル発表の翌月デビュー)。FIELD OF VIEWにとっては、第一期ZAIN時代最後のシングルとなった。

8. 大空へ

1997年10月8日リリースのベストアルバム『SINGLE COLLECTION+4』に収録。この曲は+4の中の新曲として収録されていた。作詞・作曲は小松未歩。編曲は寺尾広。甘く清々しい浅岡のヴォーカルが綺麗に響く佳曲。確かにこの時期のFIELD OF VIEWの他のシングル曲に比べて大きなインパクトには欠けるものの、妙に心の琴線にひっかかる、良心的なナンバーとでも言うのだろうか。実際、今この曲をスピッツやMr. Childrenのナンバーの隣に置いても全く違和感なく聞ける瑞々しさをたたえている。5分超という長尺のナンバーだが、スルッと聞けてしまうのも不思議。

9. THINK OF MYSELF

1995年10月10日リリースの1stアルバム『FIELD OF VIEWⅠ』に収録。作曲は多々納好夫。メロディーと浅岡のヴォーカル・スタイルは王道のFIELD OF VIEWパターンだが、80年代UKポップ風の空間ギターサウンドときらびやかなキーボードのアレンジで若干、風味の異なる仕上がりに。曲後半のギターソロは、80年代後半のアメリカン・ロックの影響をも感じさせる。FIELD OF VIEWというと、どうしてもUKロックの香りが先にたつけれど、実はレコーディングでは様々なサウンドの試行錯誤が行なわれていた事を伺わせる。それにしてもFIELD OF VIEWの歌メロは普遍的なくらい前向きに聴こえるのは一体何故なのだろう?

10. 迷わないで

1994年8月10に発売されたviewとしての2ndシングル。シンプルな8ビートのポップ・ナンバーは、後に続くFIELD OF VIEWの萌芽を感じさせる。後にFIELD OF VIEWでもリテイク、『SINGLES COLLECTION+4』に収録。今作ヴァージョンは、FIELD OF VIEWヴァージョン。

文:斉田才