melody.、「遥花~はるか~」特集内インタビュー

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――2曲目のタイトルの「プルメリア」は、ハワイの有名な花の名前ですね。

melody.:はい。でもこれは、プルメリアをテーマにしてくれってお願いしたわけじゃないんです。作詞の渡辺なつみさんには、こういう主人公でこういうストーリーでって内容を説明しただけなんですが、でき上がったのが「プルメリア」だったんですごくうれしかったです。プルメリアはハワイでは普通に色々なところに咲いている花で、私にとってはすごく身近な花なんです。学校に行くときに摘んで耳に挿したりしてたし。この歌の主人公は、傷ついてしまって100%フォール・イン・ラブするのが怖くなっている女の子なんです。そして、愛してくれる人にやっと出会って、この人を絶対大事にしたいと思って、自分の壁を壊そうとするんです。ホントに小さくてシンプルな白い花、ハワイのプルメリアが、一生懸命太陽を浴びて育っていこうとする姿に、そのイメージを重ねたんだそうです。

――同じ恋の歌でも、今までmelody.さんが歌ってきた恋の歌とはまたちょっと違うような気もしますね。

melody.:そうですね。ラブソングはあったけど、こういうのは歌ってないんですね。でもこの年齢になったから、こういう気持ちがわかるようになったような気がしてます。今までの歌は、私が高校生とか大学生のときの思い出で、一緒にいて楽しいから好き、みたいなそんな子供っぽいノリ。でもそれから実際にもっともっと色々な経験をして、いっぱい傷ついてもう恋愛したくないと思うときもあったし、それでも女の子だから、毎回これで最後の恋愛にしたい、この人と結婚したい、なんて思ったりもする。やっぱり恋に落ちるって、すごく努力が必要なことなんだなって気づき始めたんです。その人のことをホントに100%信じられないとどこかで構えちゃうところがあるし。そんなことを歌いたいと思ったんです。

――恋に臆病なもっと若い世代、まだ初恋くらいの年代のリスナーにも訴えるものがありそうですが。

melody.:そうですねぇ。でもその頃の私は全然そんなこと考えてなかったですね。一緒にいて楽しい、話して楽しい、シンプルなことだけ。でも大人になると、楽しいだけじゃすまないような気がする。ホントはもっとピュアな気持ちで恋愛したいけど、汚れていくっていうか(笑)、現実的になっていく部分も出てくるんですね。

――「プルメリア」は、「遥花~はるか~」に比べると今までの路線に近い感じですね。

melody.:そうですね。だから少し歌いやすかったような気もします。この曲はあえてシンプルにしてみたんです。あんまりキラキラさせありアップテンポにしたりすると、すごく若い感じになっちゃうと思ったんで。大人っぽいアレンジにしたかったんです。

――「That's The Way It Is」は、セリーヌ・ディオンのカヴァーですね。

melody.:はい。セリーヌ・ディオンはもう大好き。子供の頃はもう毎日セリーヌ・ディオンのCDを聴いてたし、この曲は私が高校生の頃の曲なんですけど、それからもう何百回も聴いてる(笑)。

――セリーヌ・ディオンのどこに一番惹かれるの?

melody.:やっぱり声ですね。すごく透き通っているのにすごく優しいし、すごくパワフル。声だけでこんなに表情を出せるっていうのもすごい。あとライフスタイルもすごく好き。彼女はカナダ出身でフランス語を話す人なんですけど、アメリカでもデビューしたいと思って3ヶ月で英語をマスターしたっていうんです。その努力ってすごいと思う。自分の一番居心地のいい国や言葉から飛び出して世界を相手にしてるって、すごく強いですよね。それから、キャリアのピークにいたときに夫が病気になったら、仕事を完全に休んで看病してた。“自分の一番大事なものはこの人だから”って。そういうことができちゃうのは、愛情がすごく大きい人なんだろうし、勇気があることだと思う。

――セリーヌ・ディオンのライヴを見たことは?

melody.:ラスベガスに見に行ったことがあるんです。ホントにいいショーでした。前から5列目くらいだったんです。もう全部知ってる曲だから一緒に歌いたかったんですけど、感動しすぎて涙が出てきちゃって歌えなかった(笑)。

――そんなに好きなセリーヌ・ディオンの曲を歌う気分ってどんなもの?

melody.:すごく好きだからこそ、プレッシャーも感じましたね。一番思ったのは、私が歌ってこの曲を壊したくないっていうことでした。でも、この曲はもう何百回も歌ってるし、いつも気持ちよく歌ってきたから、その気持ちで楽しく歌えばいいって思って歌いました。自分らしさを付け足すために、オリジナルには入っていないコーラスを入れたりもしました。

――セリーヌ・ディオンの中でもこの曲を選んだのはなぜ?

melody.:歌詞がすごく好き。“なにがあっても愛は勝つ”っていうテーマなんです。昔からこの歌詞がすごく好きだったし、私もずいぶん励まされてきたんです。

――タイトルの「That's The Way It Is」ってとても大事な言葉だと思うけど、日本語にするのが難しいんです。バイリンガルのmelody.さんに訳してもらいたいな。

melody.:うーん、“こういうことなのよ”っていうような意味かな。色々なシチュエーションで使える言葉ですね。たとえば励ますときに、“頑張ればきっといいようになるから、もうそういうことになってるのよ”とか、悪いときなら“もうあなたとは無理。ごめんなさい、こういうことだから”とか(笑)。

――今後のmelody.はどうなっていくんでしょう?

melody.:すごく近い将来のことしか言えないんですけど、ツアーをやりたい、ということですね。去年はツアーがなかったので、今年はぜひやりたい。将来的にどんなアーティストになりたいとか、そういう遠い目標は、そのときにならないとわからないような気がします。今回のような曲をやるなんて、1年前には思っていなかったわけですし。ホントにそのときそのとき、これだと思ったことをそのままやりたい。いつもオープンにして色々可能性を広げていきたいですね。それはシンガーとしてだけじゃなくて、私の人生のテーマです。

取材・文●清水素子
構成●田澤 仁

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