ハロウィン vs ガンマレイ、衝撃のジョイントライヴ・レポ

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<Hellish Rock '08 HELLOWEEN VERY SPECIAL GUEST:GAMMA RAY>が素晴らしい出来だった。これは、ガンマレイとハロウィンのカップリングコンサート。ガンマレイは、そもそもハロウィンを脱退したカイ・ハンセンが結成したバンド。つまりこの2バンドは兄弟バンドとも言える。カイ在籍時には、『Keeper Of The Seven Keys Part1』『Keeper Of The Seven Keys Part2』という名作を残しており、この時期のハロウィンが全盛期だというファンは多い。ハロウィンはカイ脱退後、他メンバーの脱退や加入を繰り返しながらも活動を続け、ジャーマン・メロディック・スピード・メタルの第一人者としてその地位を築いている。

一方のガンマレイも1990年のデビュー以来、様々な紆余曲折を経ながら活動を続けており、これまであまり交わることがあまりなかったこの2バンドのカップリングは、初期ハロウィンを知るファンにとっては夢のようだったろう。

その彼らが2月14日に東京・新宿厚生年金会館でコンサートを行った。同じ種子から芽生えた2バンド初めてのツアーで、どんな相乗効果を見せてくれるか。会場に集まったファンは、かなり大きな期待をそれぞれの胸に抱えていたに違いない。

まずはガンマレイ。大きなバックドロップを背景に、赤のフライングVを抱えてカイがステージに立つ。早い刻みで変幻自在な曲でありながらサビは会場全体で大合唱。カイらしいメロディアスでヘヴィな曲の数々は、客席を自然に巻き込んでいく。このヘヴィネスを基調としながら、速さと切り返しのシャープさがガンマレイの真骨頂だ。もう一人のギタリストであるヘンヨのスゴ腕ギターも秀逸で、カイとクロスしたりセパレートしたりしながら、超絶技巧で曲のテンションを高めていく。「Someahere Out In Space」でのスピード感と照明のストロボの効果のかっこよさといったら。

全速力で駆け抜けた1時間。息つく暇もないスピードメタルの波状攻撃に、ファンは大満足。ステージ上のにこやかで満足感あふれる笑顔が印象的で、もうガンマレイだけでも大満足。しかし、次に控えるハロウィンに対する期待感が、いやおうなしに大きくなっていくのも実感できる。なんとも贅沢な2つの気持ちが湧き上がってくる。

そして、会場内に充満する熱気をはらんだ空気を弾け飛ばすようなハロウィンの演奏が始まる。1曲目からいきなりバンド名を冠した代表曲「Helloween」。なにはともあれ、最初にセットリストを見てほしい。発売されたばかりの新アルバムからは3曲。その合間に、ハロウィンの歴史の中でも名盤との誉れ高い1stと2ndアルバムからの曲を散らばらせてあり、ファンに息つく暇をまったく与えない構成になっている。

ベテランバンドの来日コンサートで誰もが楽しめるのが、こういう選曲だと思う。特に何年かぶりのコンサートならなおさらだ。新アルバムからの曲で全編を通されると、正直言ってツライことがままある。ファンの多くは、やはり代表曲の演奏を待っていることが多い。ハロウィンは、今回はガンマレイとのジョイントということもあり、初期の曲を意識的に増やしたのだろうか。

代表曲の一つ「Eagle Fly Free」、新アルバムから「The Bells Of The Seven Hells」、そして「If I Could Fly」、2ndアルバムの人気曲「Dr.Stein」と連続で演奏されたときの盛り上がりは素晴らしかった。ハロウィンの曲の特徴なのが、切れ味の良いリズム隊とリフ、それに乗せられるキャッチーなメロディのサビだ。ヘヴィメタルの真骨頂ツーバスの連打と細かい刻みのベース、それらをバックにツインギターが時にはハモり、時にはぶつかり合って曲が展開していく。そしてサビは、会場全体を巻き込んだ大合唱。歴代の代表曲にはこれらの要素が全て含まれ、会場の興奮が最高潮に高まる。

今回のハロウィンのライヴで際立っていたのが、シャサのギターの存在感だ。リフも刻みもソロも、すべてのところで前面に出てくる勢い。長身でスレンダーなスタイルから繰り出されるプレイの数々は、ヘヴィメタルギター特有の高度な技術、ロックらしいグルーヴ、そして歌の後ろに回ったときのアイデアの豊富さ、すべてにおいて高水準。彼のポテンシャルの高さをまざまざと見せ付けてくれた。プレイ、パフォーマンス両面でのヴァイキーとのコンビネーションもカンペキで、いまやシャサのいないハロウィンなんて考えられない。

アンコールでは、アンディが新アルバム『GAMBLING WITH THE DEVIL』を彷彿とさせる黒いシルクハッと赤いジャケットで登場。客席とのコール・アンド・レスポンス、そしてメンバー紹介を含んだ怒涛の6曲メドレーを聴かせてくれた。メドレー最終曲が「Keeper Of The Sevens Keys」というのも、素晴らしいファンサービスだ。

そして今回のジョイントコンサートの目玉が、アンコール2回目に用意されていた。それがハロウィン+ガンマレイの合同セッション「Future World」と「I Want Out」だ。イントロと同時にカイがステージ中央のマイクスタンドに歩み寄り、「Future World」の冒頭を歌い始める。1980年代のバンド黎明期を知るファンなら夢にまで見た光景だ。会場のファンも、この場面の重要性を重々認識しており、サビでの大合唱は会場全体を揺らす。最後の曲は「I Want Out」。スピード感あふれるリフと、これぞハロウィンというメロディを持つ佳曲だ。当然サビの“I Want Out♪”の部分では、会場を埋め尽くしたファンのほとんど全てが参加し大騒ぎに。

ハロウィンとガンマレイのジョイント。演奏された曲も含めてファンにはたまらないコンサートだった。まだ興奮冷めやらぬなかで、ほかにこういう組み合わせを予想しながら家路を急ぐファンも多かったに違いない。ガンズ&ローゼズとヴェルヴェット・リヴォルヴァーとかね。

★ライヴ写真をもっと見るならコチラから
https://www.barks.jp/feature/?id=1000038353

●セットリスト 2008.02.14@東京・新宿厚生年金会館

<ガンマ・レイ>
01.Into The Storm
02.Heaven Can Wait
03.New World Order
04.Flight
05.From The Ashes
06.Real World
07.Valley Of The Kings
08.Rebellion In Dreamland
09.Heavy Metal Universe
10.The Silence
11.Ride The Sky
12.Somewhere Out In Space
-EN 13.Send Me A Sign


<ハロウィン>
01.Helloween
02.Final Fortune
03.March Of Time
04.As Long As I Fall
05.A Tale That Wasn't Right
06.The King For A 1000 Years
07.Eagle Fly Free
08.The Bells Of The Seven Hells
09.If I Could Fly
10.Dr.Stein
-EN 11.Medley(I Can - Where The Rain Grows - Perfect Gentleman - Power - Steel Tormentor - Keeper Of The Sevens Keys)
-EN Session
12.Future World
13.I Want Out

撮影:ほりたよしか
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