三寒志恩ムック初春の宴(4)デトロイト編その四

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▲ホンモノのコボ・アリーナを背景に、キッスの『地獄の狂獣』の裏ジャケを撮影。おっさん約1名、ちょっと邪魔。
▲SATOちとアトレイユのブランドン。腕相撲でも、フツーの相撲でも、ちょっとかなわないかも。
▲本日の進行表。何ひとつ遅れることなく、すべてがこのスケジュール通りに進んでいく。
▲楽屋は日本から参戦の3バンドで共有。もちろん、そこに閉じこもってたりするムックさんたちではありませんが。
第1回の原稿のなかでも触れたことだが、今夜の会場であるデトロイトのコボ・アリーナは、かつてキッスが名作ライヴ・アルバム、『地獄の狂獣』を録音したことでも知られる場所。初期のキッスはヒット作品に恵まれず、それなりにライヴの動員はあったものの、セールス実績に不相応な大掛かりなショウを実践していたために赤字続きの自転車操業状態。そんな状況下での起死回生の一発となったのがこの2枚組ライヴ作品だった。デトロイトで録られることになったのは、他の都市に比べて早くから支持基盤が確立されつつあったからで、そんなこの都市のファンへの返礼として作られたのが、同作での成功を受けて発表された『地獄の軍団』に収録されている「デトロイト・ロック・シティ」だったりするのだ。

そんな豆知識はともかく、開場する前に会場内で写真を撮っておくとしよう。実のところアリーナの床面積自体はそんなにも馬鹿でかいわけではないのだが、スタンドが高いこと高いこと! ためしにスタンドの上層部まで登ってみたら、ちょっとクラクラするほどだった。

アリーナ後方の壁際やロビーでは、協賛各社のブースやマーチャンダイズ販売の準備が急ピッチで進行中。そんな頃、SATOちはアトレイユのドラマー、ブランドンとちょっぴり歓談。「あなたのドラミングが好きで、いつも観てます」とSATOちが告げると、ブランドンはまんざらでもなさそうに笑顔を見せ、SATOちの手をギュッと握った。ちなみに彼はこのバンドのヴォーカリストでもあり、ドラミングのみならずその声も超パワフルだったりする。そして写真をご覧いただければおわかりの通り、デカい。そんな彼も、この会場がキッスのライヴ盤が録られた場所だと告げると、かなり感慨深そうな顔を見せていた。

その後、場内探検をしているうちに、いつのまにか開場。厳しいセキュリティ・チェック(参考までにデトロイトは治安の悪さでも有名)を通過したファンが、アリーナを徐々に埋めていく。そして午後4時45分、いきなり場内が暗転し、セカンド・ステージにINFINITIEIGHTという名前のローカル・バンドが登場。どこかで観た顔だと思ったら、ついさきほどまでアリーナの隅っこでTシャツ販売の準備をしていた若者たちがそのバンドなのだった(言うまでもなく彼らは、演奏と機材の片付けが終わると、ふたたびTシャツ販売に励んでいた)。正直なところ演奏は粗いし、楽曲は類型的。しかし、広い場内で彼らのステージを注視しているのが数百人しかいないことが明らかでも、彼らはまるで10万人を相手にしているかのような気迫と振る舞いを見せていた。最前列のファンの顔ではなく、アリーナ後方に視線を投げ掛けていた。これは多くの日本のバンドにとって学ぶべき点だと思う。

彼らのステージが20分ほどで終了すると、今度はメイン・ステージにD’espairsRayが登場。その場面転換のインターヴァルは、0分。セカンド・ステージの演奏終了から数秒後には、彼らのオープニングSEが流れ始めるという、スムーズどころではない手際の良さだった。それは、続けざまにセカンド・ステージにIDIOT PILOTが登場したときも同じこと。そして同バンドのステージが終わると、耳慣れたお馴染みのSEが聴こえてきた。午後6時ちょうど。いよいよムックのステージが、始まろうとしている。

増田勇一
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