三寒志恩ムック初春の宴(6)デトロイト編その六

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▲これが今夜のディナー。右側の黒い液体は濃厚なオニオン・スープ。
▲筆者の真向かいで、YUKKEも食事中。
▲サイン会開始を待つ集団。最後尾が見えない!
▲サイン会はファンにとっての願ってもない機会であるだけじゃなく、バンド側がオーディエンスの「生の声」を聞ける貴重なチャンスでもある。
約30分のステージが終わり、各々の着替えや片付けがひと通り終了すると、手の空いたメンバーはケータリング・ルーム(出演者やスタッフが食事をする部屋)へ。今のうちに食事を済ませておかないとタイミングを逸してしまうし、下手をすると「サラダとパンしか残ってません」みたいな状況に陥ることになるからだ。もちろんメンバー4人全員の身体が一度に空くわけでもないし、ときには後でゆっくり食べたいこともある。そんなメンバーのためには、ちゃんとテイクアウト用のボックスに詰めて持ち帰ることが可能なシステムになっていたりもするのだ。(さらに夜食として、ツアー・バスには大きなピザが2枚届けられる!)

しかし、とにかくこの食事が充実していた。さすがに長期間にわたるツアーだけに、栄養のバランスなどについてもしっかり配慮されていて、サラダバーには野菜や果物も豊富だし、肉食系の人にもヴェジタリアンにもしっかり対応可能なメニューが揃えられている。甘いものに目のない某メンバーも圧倒されるような巨大ケーキまでも。さらに今回は日本のバンドが3組参加しているということもあってか、毎日、炊きたての白飯が用意されていたりもするのだ。実際、ツアーによっては“ほぼ毎日、肉とイモのみ”みたいなケータリング・メニューが続くこともあるだけに、これは奇跡的なくらい素晴らしいケースだと言っていいだろう。

ちょっと慌しい夕食を済ませた後、午後7時半からは会場ロビーの特設ブースでのサイン会。すでに開始前から長蛇の列が延びていて、その人数は、同様にサイン会を催している他の現地バンドよりもずっと多いのだとか。そしていざ始まってみると、ものすごーく積極的なファンもいれば、メンバーたちを前にブルブルと震えだす少女の姿なども。日本語で話しかけてくるファンも少なくなかったし、なかには達瑯に「今日の英語のMCは、ちゃんと言いたいことが理解できたけれど、こんな言い方に変えたほうがもっと伝わると思うわ」と助言をくれるファンもいた。

サイン会自体は約30分で終了したが、それは単純に、会場側の都合で午後8時までに終了しなければならなかったから。事実、時間制限がなかったら、いくらでも続きそうな勢いだった。なにしろ「さっき観たけど、クールだったぜ!」とかなんとか言いながら、次々と観客が列に加わってくるのだから。そう、楽屋からサイン会の会場に向かうまでには観客のひしめくロビーを通過していかないとならないのだが、そこで彼らが、アヴェンジド・セヴンフォールドやブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインのTシャツを着たファンたちに「グッド・ショウ!」とか「オウサム!」といった言葉を投げ掛けられ、握手やハイ・タッチを求められていたことも付け加えておきたい。

そしてサイン会が終了した頃、すでに場内ではアトレイユのステージが始まっていた。ムックの面々が次にしなければならないのは、楽器運び。明日、3月9日はライヴのない移動日だが、次の公演地であるニューヨーク州ロチェスターに向けて、本日深夜、バスは出発することになる。

増田勇一
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