KREVA、こけら落としで『クレバのベスト盤』を全再現

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2003年に惜しまれつつ閉館した赤坂BLITZが、いよいよ3月20日に復活!その記念すべきこけら落とし公演に抜擢されたのがKREVAであった。

スタート前からワクワクしながら沸いていた満杯の客席。お客さんの視線を集めていたのは、ステージの端から端へと張り渡されていた紅白のテープだ。おおよそヒップホップのライヴのイメージとは程遠い物体であったが、それが今日の公演の只事ではなさを早くも予告していた。

いよいよ場内が暗転。“さあ1曲目は何だ?”という期待感にフェイントをかますが如く、ステージ上に登場したのは、タキシード&サングラスのKREVA…は良いとして…TBS専務取締役、ディスクガレージ常務取締役、ヒマワリの着グルミ姿が眩しい3人のスタッフ。そして、TBSアナウンサーの青木裕子。意表を衝くゲストに大喜びするお客さんに対し、青木アナウンサーが、赤坂BLITZオープン記念のテープカットを行なうことをいきなり宣言! 2階席にいつの間にかスタンバイしていたホーン隊が高らかにファンファーレを吹き鳴らし、KREVA、TBS専務取締役、ディスクガレージ常務取締役が、バッサリと紅白のテープにハサミを入れたのだった。

…というベタベタのテープカット・セレモニーを経て、ライヴ本編はスタート。ピカピカの新品である赤坂BLITZに対し、 KREVAは全く容赦なかった。キラキラしながら祝祭ムードを思いっきり彩った1曲目「H.A.P.P.Y」は、リリックの中の“H.A.P.P.Y”を“B.L.I.T.Z”に変更したスペシャル・ヴァージョン。

そして、ここからが壮絶だった。2曲目「ストロングスタイル」で、骨太なラップを大放出して、ビリビリと震える場内。その勢いをさらにヒートアップさせたのは3曲目「THE SHOW」。4曲目「国民的行事」はとことん華麗に響き渡り、5曲目ではMummy-Dが合流!となれば披露されたのは勿論「ファンキーグラマラス」。KREVAとMummy-Dが、お互いのラップで刺激し合いながら、スリリングに昂ぶってゆく。お客さんも、“マジでハンパない!”というあの必殺フレーズを叫び、ステージ上に負けず劣らず熱く燃え上がる。1~5曲目までノンストップで、ハードなナンバーがアクセル全開で放射されたのであった。

冒頭のブロックが一段落し、“カッコイイ~!”という歓声が客席から起こる。この言葉を聞いたらKREVAがいつも返す言葉はただひとつだ。“カッコイイ? 知ってる”。お馴染みの人を喰ったリアクションに対して和やかに笑うお客さん達。そんな客席に向けて続いて届けられた「It's for you」は、お客さんの合唱でスタートするという、今までのライヴではなかったシーンが実現したのが非常に印象深い。続いて、「ビコーズ」「音色」が披露され、場内はさらにしっとりしたムードで包まれる。「ひとりじゃないのよ」で登場したSONOMIは、「くればいいのに」も歌い、KREVAとの最高のコンビネーションを展開。このように、中盤戦は叙情的なナンバーがたっぷりと花開いていた。

「こけら落としに俺が選ばれた理由は3つあると思う。(1)俺がカッコイイから。(2)俺がカッコイイから。(3)俺がカッコイイから…という冗談は置いておいて。やっぱいいファンがついているからじゃないすか」という、KREVAならではの曲がりくねった感謝の気持ちがさり気なく表明されて終盤戦へ。

「まだ一部の人しか聴いていない新曲」という紹介で始まったアカペラのラップを経て、夏を先取りした2曲「Have a niceday!」「イッサイガッサイ」。そして、本編のラストを飾ったのはKREVAのレパートリーの中でも随一の感動的な輝きを帯びている「アグレッシ部」「スタート」。言葉の1つ1つがお客さんの胸の内に沁み込んでゆく音が聞こえるかのような、ジワジワとした噛み締められ方が客席全体に広がっていた。アッパーに盛り上げるだけでなく、リスナーの心と共鳴しながらヒートアップ出来るのが、実はKREVAのラップの稀有な魅力の1つだと思う。そんな持ち味が存分に発揮された場面であった。

アンコールで披露されたのは、『クレバのベスト盤』のボーナストラック「あかさたなはまやらわをん」と「希望の炎」。この時になってようやく気がついたが…今日のメニューは、『クレバのベスト盤』に収録されていた全16曲を忠実に網羅する内容だったのだ。

“こけら落とし公演”という記念すべきこの日を、自身のソロ活動の美しい足跡で一気に彩ってみせたKREVA。そのステージングは、一点の曇りもなく王者の貫禄を炸裂させていた。

次のツアー<オレンピック>への期待が早くも高まる。KREVAの自己最高記録は、さらにドラマチックに塗り替えられてゆくことだろう。

田中大
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