鬼束ちひろ完全復活、圧巻のステージ

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4年8ヶ月ぶりの単独公演。一夜限りで開かれたプレミアム・コンサートは、鬼束ちひろ完全復活を印象づけるデビュー8周年の集大成ともいえる圧巻のステージとなった。

クラシックやオペラが常演されるオーチャードホールの格調高い空間に包まれて、コンサート・マスターの富樫春生によるピアノ独奏「ARIA DA CAPO(ゴールドベルグ変奏曲より)」が荘厳に響く。舞台を覆うベールにシルエットが浮かんだ。

プレミアム・チケットを手にした幸運な2,000名の観客の中には、早くも感涙の姿があちこちに見られる。ベールがあがるとともに、神話の女神を思わせる神秘的なドレス姿で登場する鬼束ちひろ。会場は心音が耳を打つほどの緊迫感で静まりかえる。そして、未発表新曲「SUNNY ROSE」の幻想的なアカペラで、復活の一夜が始まった。

ピアノと歌のみというシンプルなスタイルで「Cage」「流星群」「infection 」「眩暈」「everyhome」を立て続けに披露。裸足、感情を導くような激しい左手の動き、そして魂を振り絞るかのような圧倒的な歌声。まさに鬼束ちひろの独壇場とも言えるスタイルで、歴代のシングル曲を一気に歌いあげる。あまりのパフォーマンスのすさまじさに、息を飲むしかないはりつめたステージングだ。

続いてイルカの大ヒット曲「なごり雪」、キャロル・キングの不朽の名作「You've got a friend」と2曲のカバーを慈しむように歌うサプライズ。その後、チェロが加わって、最新アルバム「LAS VEGAS」より「Angelina」「MAGICAL WORLD」を深みある優しい声で歌う。

そして終盤、弦楽四重奏が加わりゴージャスな編成へ。コンサート初披露の最新シングル「僕等 バラ色の日々」「いい日旅立ち・西へ」、そして微笑みを浮かべながら名曲「Sign」を熱唱。最後は、こちらもコンサート初披露となる「私とワルツを」。一言のMCもなく、歌だけで堂々と本編を締めくくった。

アンコールを求める拍手が、熱狂的な強度にまで一気に吹きあげ、会場全体を包む。鳴り止まない。むしろその速度を早めていく音の渦が、観客の心を映していた。

黒Tシャツ、黒パンツというシンプルなスタイルで再登場。代表曲「月光」は、歌声にみなぎるオーラで、鮮烈な光を帯びているかのよう。そして“それでは最後の曲です。新曲、聴いてください。「蛍」”と短いMCの後、今夏8月リリース予定のシングル「蛍」(映画『ラストゲーム 最後の早慶戦』主題歌)を初披露。会場全体が涙する感動的なエンディングとなった。

メンバー全員と並んで「礼!」と一声。ステージを後にする彼女が最後に見せてくれたのは、片手を高く掲げたVサインだった。

孤高のシンガーの劇的な復活の夜。苦難を乗りこえ、全霊をこめて歌いきったその小さな後ろ姿は、新たな伝説の始まりを告げていた。

鬼束ちひろ コンサート
<NINE DIRTS AND SNOW WHITE FLICKERS>
2008年04月26日(土)@渋谷Bunkamuraオーチャードホール

1. ARIA DA CAPO (ゴールドベルグ変奏曲より) [カバー / ピアノ独奏]
2. SUNNY ROSE [未発表新曲 / アカペラ]
3. Cage
4. 流星群
5. infection
6. 眩暈
7. everyhome
8. なごり雪 [カバー]
9. You've got a friend [カバー]
10. Angelina
11. MAGICAL WORLD
12. 僕等 バラ色の日々
13. いい日旅立ち・西へ
14. Sign
15. 私とワルツを
アンコール
16. 月光
MC
17. 蛍 [未発表新曲]

[ 編成 ]
鬼束ちひろ Vocal
富樫春生  Piano / Concert Master
大先生室屋 1st Violin
藤堂昌彦  2nd Violin
三木章子  Viola
丸山朋文  Cello
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