ポーキュパイン・ツリー、スティーヴン・ウィルソン インタビュー

ポスト

スティーヴン・ウィルソン(ポーキュパイン・ツリー)インタビュー Part.3




写真左は『Stars Die』


――『Signify』のDisk 2はデモトラックということだけど、音質、内容ともにクォリティがかなり高い。

スティーヴン:これを作った90年代中盤は、自宅録音の技術がかなり進歩して、コンピュータで手軽にクォリティの高い録音ができるようになったんだ。それまでのようにギターを弾いてウォークマンで録る、みたいなやり方とは全然違ってきたんだよ。それと、僕の作るデモっていうのは、最終的な作品にもベースとして実際に使われるものなんだ。これに他のメンバーのパートを加えればでき上がり、っていう状態さ。だからこのDISK 2の曲は、僕一人で作っていて他のメンバーが参加していないだけで、楽曲としては完成されたものと考えてもらっていいんだ。

――『Signiy』以降バンドとして活動し始めたから、『Coma Divine』というライヴアルバムができてきたわけだね。

スティーヴン:そうなんだ。ただ、これは普通のライヴアルバムとはちょっと意味合いが違うと思う。ここに収められている曲の大半は、もともとバンドでレコーディングした曲じゃなく、僕が一人で打ち込みで作ったもの。このライヴをやったことによって、この曲をPTというバンドが実際に演奏することができた。僕が前のアルバムを作っていたときに思い描いていた、バンドでやったらどうなるかっていうことが、ここで初めて現実のものになった。そういう意味ですごく意義のあるライヴアルバムだと思ってるよ。

――この7枚の中で、スティーヴンがもっとも気に入っているもの、もっとも思い入れのあるアルバムは?

スティーヴン:『Signify』だね。本当の意味でバンドとして作った初めてのアルバムだから。僕は自分の作品をあまり聴いたりしないんだけど、今回はリマスターするために全部をたくさん聴いた。その中でもやっぱりこれが一番いいと思ったね。もともと僕がやりたかったことがついに実現したのがこのアルバムなんだよ。それまでオーバーダブをしたり、一人で作っていたのは、そうしたかったからではなくて、そうするしかなかったからなんだ。もともとは古きよきロックンロールバンドをやりたいと思ってたんだよ。どの曲もパワフルだし、一番いいと思う。

――次のアルバムの構想は?

スティーヴン:今はまったく考えてないな。今年はソロアルバムとNo-Manのアルバムを作る予定はあるけど、PTに関してはまだ白紙だね。今年の後半に入ってから少しずつ考え始めることになると思う。

――PTの来日公演の予定は?

スティーヴン:まだ決まってはいないけど、今年来る可能性もあるよ。10月に短いヨーロッパツアーをやるんだ。それは『Fear of a Blank Planet』ツアーのDVDを収録するためなんだけど、そのツアーの流れでそのまま日本に来る可能性もある。だから期待して待っていて欲しい。

●取材・文●田澤 仁

「ポーキュパイン・ツリー、旧作紙ジャケ化をスティーヴンが語る」に戻る

この記事をポスト

この記事の関連情報