チープ・トリック『at武道館AGAIN!』から1ヵ月

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『at武道館AGAIN!』と銘打たれて行なわれた日本武道館での記念碑的公演からちょうど1ヵ月が経過。4月24日の夜を境にチープ・トリック熱が再燃したという人もいれば、思いっきり燃えすぎてちょっとした“燃え尽き症候群”状態に陥ってしまっている読者もいるのではないかと思うが、今回はちょっとした事後報告を。

前回、公演終了直後の原稿のなかで「その夜、公演後に何かが起こったこと」を匂わせたまま更新が途絶えていたが(筆者も軽く燃え尽きていたのかも)、実は武道館公演の終演から数時間後、日本産トリビュート・バンドとして本家チープ・トリックにも認識され、過去には共演歴もあるチープ・トラックの主催による“後夜祭イベント”が都内某所で開催されていた。もちろん筆者も、武道館のバックステージでメンバーたちに挨拶を済ませたのち、その会場へと直行。海外からこの公演のために駆けつけたツワモノたちも含む熱心なファンを前に、チープ・トラックは「あくまでその夜、武道館で演奏されなかった曲を中心とするライヴ」を披露した。

すると深夜、アットホームな空気漂うその会場に、突然、巨大な黒い影が姿を現した。なんとリック・ニールセン当人ではないか! 彼は迷わずそのままステージに直行し、その場でチープ・トラックとの即席セッションがスタート。この“あり得ない展開”に、筆者自身も含め、その場に居合わせた全員が狂喜乱舞したことは言うまでもない。そんな嵐のようなセッションを経てリックが去ってからも宴は続いたが、去り際の彼をつかまえて感謝の意を伝えたところ、「おまえさんの普段からの協力にも感謝してるよ」との言葉をもらった。思わず感涙、の瞬間だった。その後、酒の消費に拍車がかかったことは言うまでもない。

さて、そんな場面を最後に幕を閉じた今回のチープ・トリック狂騒曲だが、もちろん『at武道館AGAIN!』は彼ら自身にとっても重要な節目にはなったものの、普段から毎年100本や150本のライヴをアタリマエのように消化している彼らのコンスタントな活動ぶりは、何ら変らない。6月28日にはロサンゼルスのハリウッド・ボウルで、オーケストラとの共演による『サージェント・ペッパーズ』再現を行なう彼らだが、7月からはジャーニー、ハートとの顔合わせによる全米ツアーも決まっている。7月9日のコロラド州デンヴァーから、10月4日のニューメキシコ州アルバカーキまで、実にトータル50公演! 思わず筆者もパスポートの有効期限を確かめてしまうところである。

そして彼らが北米各地をまわっている間に、おそらく『ロックフォード』に続く待望のニュー・アルバムに関する詳報も聞こえてくることになるに違いない。でもって、次作発表に伴う2年連続の来日公演を実現させるためにも、チープ・トリックを愛するすべての人たちは、燃え尽きてなどいられないはずなのである。

増田勇一
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