増田勇一の『今月のヘヴィロテ(8月篇)』

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9月に入った瞬間、なんだか夏休みの宿題を片付けるのを忘れているような錯覚をおぼえたのだが、それは8月度のヘヴィロテ10選のご報告を忘れていたからだった。なんだか2学期が始まってから絵日記の空白を埋めにかかっているような気分だが、とにかくこの8月に聴きまくったCDたちをざっくりとご紹介しておくことにしよう。

●スリップノット『オール・ホープ・イズ・ゴーン』
●エクストリーム『サウダージ・デ・ロック』
●ジョン・メイヤー『where the light is-live in los angeles』
●ザ・キャブ『ウィスパー・ウォー』
●マッドクラッチ『マッドクラッチ』
●ソーホードールズ『ソーホードールズ』
●ドラゴンフォース『ウルトラ・ビートダウン』
●モーターヘッド『モータライザー』
●ブラック・ストーン・チェリー『フォークロア・アンド・スーパースティション』
●ジョン・メレンキャンプ『LIFE DEATH LOVE AND FREEDOM』

猛暑に拍車をかけてくれたのは、こんな作品たち。スリップノットの最新作は、痒いところに手が届きすぎて怖いくらいの1枚。求められているものとやりたいもの、守らなければならないものと取り入れたいもの。いろいろな意味でのバランスがとにかく秀逸というか、実はめちゃくちゃ緻密な計算のうえに成り立っている作品だと思う。10月には『LOUD PARK08』に出演のため来日。単独公演決定も発表されたばかりだが、まさにライヴに向けての期待感も高まるばかりといったところだ。

エクストリームの復活作は、1曲目から音像の向こうにクイーンの某有名曲の亡霊が見え隠れしたりもするのだが、この人たちの“ルーツ&趣味丸出し感”に無条件に共鳴できてしまう僕としては、なんだか高校時代の同級生から久しぶりの手紙が届いたかのような感覚。こちらも来日公演が楽しみだ。

他にも、ジョン・メイヤーの2枚組ライヴは文句のつけどころのない素晴らしさでまったく長さを感じさせなかったし、かのパニック・アット・ザ・ディスコの弟分というふれこみのザ・キャブのアルバムを聴いたときは、正直、「兄貴分より好きかも」と感じた。ようやく国内盤の発売が実現したマッドクラッチは、トム・ペティがハートブレイカーズ始動前(つまり30数年前!)に率いていたバンドを復活させたもの。たった10日間でスタジオ・ライヴ的に録られたという、実に生々しいロック作品だ。

紅一点のマヤ(vo)の美貌とスキャンダラスなたたずまいが印象的なソーホードールズは、正直、ナメてかかっていたらクセになった。日本盤のボーナス・トラックとしてハノイ・ロックスの「デッド・バイ・クリスマス」のカヴァーが収録されていたりする事実は、もう少し話題になってもいいと思うし、“まがいものくさい美学”に惹かれる人たちには是非一度、耳を傾けてみて欲しい。

ドラゴンフォースは、これまでにも増して“笑っちゃうほどすごい”のだが、敢えて問題視したいのはアルバム・カヴァーのB級以下なセンス。それとも、これもまた彼らが高い支持を得ている理由のひとつなのだろうか? 同様にジャケットまわりの話題で言うと、モーターヘッドの新作のインナーには、なんとレミー画伯の手によるスケッチ(ジャケットに使われている図案の原案)が。これは実に可愛らしい。もちろん作品は「なんとなく、いつもよりヴァラエティに富んでいるような気もするけど、やっぱりどこを切ってもモーターヘッド」な1枚。

そして、若手ながらしっかりと血に足の着いたヘヴィ・ロックンロールを聴かせてくれるブラック・ストーン・チェリーの今後には、やはり同系統と言っていいはずのセイヴィング・エイベルともども期待したいところ。そしてジョン・メレンキャンプのみ今回は輸入盤。Tボーン・バーネットのプロデュースによるこの新作は、とにかく音がいい。なのに何ひとつ余計な音がしない。これはある意味、ひとつの理想だと思う。

ちなみに8月に観たライヴで特に印象的だったのは、月末に観たオーペス。トリヴィアムもアンスラックスも良かったのだが、あの凄味にはいくつか他の記憶がかき消されてしまったような気がする。他に、8月4日に観た清春の九段会館でのマンスリー・ライヴ最終回にも興味深いものがあった。そして『サマーソニック08』では、圧倒的にミュートマスが素晴らしかったと思うのですが、そんな僕は少数派でしょうか? あのバンドはまた観たい。絶対に観たい!

増田勇一
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