増田勇一の『今月のヘヴィロテ(9月篇)』

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今回も9月のうちに“9月のヘヴィロテ”をお届けすることができなかった。先日、某バンドのメンバーに「ヘヴィロテはまだですか?」と指摘されてしまったのだが、実はそういう人たちもこのコーナーをチェックしてたりするんだなという事実を知って、少々プレッシャーを感じてしまった…なんてことは全然ない。というわけで、今月もメタル色濃い目の雑食ラインナップが顔を揃える結果となった。

●モグワイ『ザ・ホーク・イズ・ハウリング』
●メタリカ『デス・マグネティック』
●エイミー・マン『スマイラーズ』
●ザ・ダットサンズ『ヘッド・スタンツ』
●バックチェリー『ブラック・バタフライ』
●ベン・フォールズ『ウェイ・トゥ・ノーマル』
●トリヴィアム『将軍~SHOGUN』
●陰陽座『魑魅魍魎』
●ニル『マルチネス』
●キッド・ロック『ロックン・ロール・ジーザス』

1枚1枚について説明することは、今回は控えておく。が、いくつか捕捉しておくと、この10作品のうちモグワイとベン・フォールズ、エイミー・マンの新作は、9月度の精神安定剤的役割を果たしてくれた。今だから言えることだけども、8月上旬以来、音源をまったく聴かせてもらえない段階から、あちこちの場でメタリカの原稿を書いてきたのだが、実際にリリースされてからも『デス・マグネティック』はよく聴いているし、聴く前から自分が思い描いてきた作品像との合致ぶりは、なんだか心地好かったりもした。とはいえさすがに四六時中聴き続けるには消耗度の高い作品でもあるので、その合間に、冒頭に挙げたような“安定剤”たちが活躍してくれたというわけだ。ときと場合によっては、エイミー・マンを聴きながらメタリカの原稿を書いていたり、モグワイに浸りながら翌月向けのDIR EN GREYの原稿に着手していたり、なんてこともあった。正直、その逆の行為はちょっと難しいのだけれども。

ニルは相変わらずいい作品をコンスタントに発表している。彼らのライヴにはずいぶんとご無沙汰しているのだけども、なんとか近いうちに観に行きたいところ。しかし次回の東京でのライヴは10月18日、代官山UNIT。この日の僕は4件ほど観たいものと居たい場所が重なっていて、どうやって24時間を使うかを現在検討中。ああ、どうしよう。

バックチェリーの新作はいい意味でこれまで以上に聴きやすかったし、ずいぶん前に輸入盤で手に入れていたキッド・ロックの新譜については、正直、時間が経ちすぎてうっかり存在を忘れかけていたのだが、改めて聴いてみるとやっぱりいい。何よりもこのベタさがいい。この人のライヴを日本で観ることができる日はやって来るのだろうか? 『ウッドストック1999』で観て馬鹿みたいに盛りあがった日から、僕はずっと同じことを思っているのだが。

さて、ここで番外編として1枚紹介しておきたいのが、ロードランナーからリリースされている『ザ・ロードキラーズ』というコンピレーション作品。これは、「日本の先駆的ミュージシャンたちが、自身のルーツや嗜好など、さまざまな基準や観点からロードランナー所属アーティストの音源を用いて選曲したアルバム」という成り立ちのもので、現在出回っているシリーズ第1弾はDIR EN GREYの手によるセレクション。手前味噌ながら僕がライナーノーツを執筆させていただいている。

収録されているのはキャリバン、キルスウィッチ・エンゲイジ、マシーン・ヘッドをはじめとする全14組による楽曲群で、「どの曲を誰が選んだか」についてはライナーノーツのなかでも敢えて明かしていないものの、5人のメンバーたちが各々2~3曲を選んだものとなっている。かならずしもここに収録されているアーティストたちはDIR EN GREYにとってのルーツというわけではないし、これらの楽曲から彼らが影響を受けたというわけでもない。が、どの楽曲についても、彼らのアンテナに引っかかり、何らかの刺激をもたらしたものであることは間違いない。単純な言い方をすれば、彼らの“好み”の一端を理解するうえで役に立つところもあるだろうし、もっと気軽にヘヴィなBGMとして楽しめば、彼らのライヴの“開演前BGM”に身をゆだねているときのような感覚を味わえることだろう。もちろん、DIR EN GREYを入口としてヘヴィなロックに興味を持ち始めた人たちには絶好の入門アイテムとなるはずだし、逆に、洋楽偏重型のヘヴィ・ロック・ファンにも是非チェックしてみて欲しいところ。「こいつら、俺と同じ趣味してんじゃねえか!」と感じる人たちも、絶対に少なくないはずだから。

というわけで、10月に突入してからすでに約1週間が経過。もはや“師走”も間近になりつつあるが、これから年末にかけてのライヴ・スケジュールを考えただけでも気が遠くなりそうな今日この頃。ちょっと気持ちを落ち着かせるために、これからふたたびモグワイにでも浸ることにしようと思う。

増田勇一
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