リキッドルームが熱く揺れた、SONOMIツアー最終日

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成熟したミュージシャンの完成しきったライヴよりも、まだ荒削りだが衝動と情熱に溢れた新進気鋭のライヴのほうがより強く人の心を動かすことがある。11月5日(水)恵比寿リキッドルーム、SONOMIによる<SONOMI tour 2008『S.O.N.O』>のファイナル・ライヴは、まさにそうした心の震えるような、心にずっと刻まれるライヴとなった。

<SONOMI tour 2008『S.O.N.O』>は、発売されたSONOMIの最新アルバム『S.O.N.O』を受けての全国ツアーであり、大阪、福岡を経て、東京恵比寿リキッドルームはその最終日。開場時間前から多くのオーディエンスが詰め寄せ、18時の開場と同時に、会場になだれ込む超満員のオーディエンスを迎えたのは、オープニングDJとして登場したDJ908ことKREVAだった。

オールドスクールDJを思わせる渋いルーティーンではじまったかと思えば、そこにRCサクセション、宇多田ヒカル、Mr.Childrenといったこの国が生んだ極上ポップ・ソングを混ぜ、さらには激選された日本語ラップの数々、まだ音源化されていないエクシクルーシヴ曲なども入れ込むKREVA。垣根なくあらゆる音楽を聴き、また新しい音楽をどんどんとり込もうというKREVA本人の貪欲なリスナースタイルを体現かのような唯一無二のミックス・スタイルを披露していく。会場は早くも大興奮状態だ。

ウォーミングアップにはもったいなさ過ぎるくらいの素晴らしいDJプレイ。DJ908による最高のお膳立てにより、超満員の会場は開演の19時を前にして、早くも異常ともいえるような熱気に…。

19時15分過ぎ、すでに最高潮に盛り上がる会場に、DJの熊井吾郎、コーラスのYURI、AKIが登場し、会場の熱はさらに上昇。熊井がSONOMIの音源を独自にコラージュした強烈なビートをぶちかまし、満を持してSONOMIの登場となった。

兄弟分のBLAST RAMPAGEをサイドMCに従え、『S.O.N.O』随一のアッパーチューン「Hey!」で、会場は一気に最高潮の盛り上がりに。畳みかけるように「誰かが誰かのために生きてる」「Very Nice!」と人気チューンを立て続けに披露、さらに味のあるトラックがまさに通好みな「通」「雨天」のリミックス・ヴァージョンを経て、前半のハイライトとなる振り付けも可愛らしい「midnight」、また同世代の女性ラッパーCOMA-CHIを迎えた「ジェネレーション~夜明け前~ feat.COMA-CHI」の2曲をアグレッシヴにパフォーマンスした頃には、天井からポタポタと雫が落ちてくるほどの熱狂ぶりとなった。

基本的にはDJとシンガーという極めてオーソドックスなセットながら、半ば形骸化しつつあるR&Bとは一線を画す斬新で独創的なパフォーマンスは、この国の女性アーティストの明るい未来を予見させるものだった。

続いて、熱くなりすぎた会場をクールダウンさせるかのように、自身のピアノの弾き語りによる「Missin' my days」「I miss you」をしっとりと聴かせ、絶妙なコール&レスポンスからはじまる「名前を呼んで」、そして彼女の代表曲であり、KREVAも自身のライヴのセットに頻繁に組み込んでいる「一人じゃないのよ」を完璧にパフォーマンス。超自然体…ちょっと天然なMCをはさみ、前向きに日々を生きていくというメッセージの込められた「Life goes on」、そして普通の女性の私生活をリアルなリリックで表現した人気曲「Everyday ☆エビデー☆」の会場全員大合唱で、ライヴはクライマックスを迎えた。

当然ながらここで終わらせてもらえるわけもなく、盛大なアンコールに応え、ちょいエロ(?)でキュートな曲「こっちきてBABY」、そして“このライヴがずっと記憶に残りますように”という本人の願いを言葉にしつつ最後の曲「記憶のカケラ」を披露。素晴らしき充実の全17曲が披露された。

近年、海外ではエイミー・ワインハウス、リリー・アレン、アデル、ケイト・ナッシュなど、リアルな言葉を独自の先駆的なサウンドにのせて表現する女性アーティストたちが台頭してきている中、SONOMIもまた独創的なサウンドと言葉で表現する、まさに旬な女性アーティストと言えるだろう。その真新しい感性とサウンドで構築されたSONOMIのライヴは、いまここでしか味わえない鮮度の高い、フレッシュな魅力に溢れるものだった。
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