ビー・ジーズ「ステイン・アライヴ」が人の命を救う

直接的なきっかけとして、10月からスタートしたHonda New ODYSSEYのCMソングとして名曲「ステイン・アライヴ」がフィーチャーされたことがあげられる。いち早く、着うた(R)をはじめとしたデジタル配信がランクアップし、10万ダウンロードの数字をたたき出した。
2008年は映画『サタデー・ナイト・フィーバー』が日本で1978年に公開されて30周年を迎える年でもある。公開30周年を記念し、映画や世界中で大ヒットしたサウンドトラックのリマスター版も発売されている状況だが、ダンス・シーンをリードし続けてきたエイベックスが、<CLUB LEGEND 20th>と題して、ジュリアナ東京やツインスターを復活させてきた流れと、決して無関係ではないだろう。残念ながらヴェルファーレ復活イベントは中止となってしまったが、2009年1月にはマハラジャの復活も予定されており、70年代ディスコブームがこの時代に世代を横断して共鳴しているのは、紛れもない事実でもある。
その時代を過ごした大人たちが、あらためて、今も色あせない楽曲に記憶を呼び覚まされ、この「ステイン・アライヴ」に想いを寄せる。もちろん、初めてのビー・ジーズに強いインパクトを受け、「ステイン・アライヴ」のクールさに共感している若い世代の増殖と並行して…。
また、現在日本で上映中の映画の中にも、ビー・ジーズに関係する作品が存在するのも奇遇だ。ひとつは映画『ヤング@ハート』(参照「80歳が叫ぶロックンロール、ヤング@ハート」記事)。この映画の中で、平均年齢80歳のコーラス隊が「ステイン・アライヴ」を歌っている。そしてフランスで初登場1位を飾った異色の青春ドラマ『ディスコ』では、ビー・ジーズの「恋のナイト・フィーヴァー」などのカバーが用いられている。こちらは40代の男性3人がダンスによって再び輝き出す姿を、ユーモアと哀愁と人情味を織り交ぜて描き出した映画だ。
そんな追い風の「ステイン・アライヴ」に、ビックリ情報も舞い込んできた。<心臓マッサージに「ステイン・アライヴ」のリズムが効果的>という学説が発表されたのだ。
米国心臓協会(AHA)が、心肺機能蘇生(CPR)での心臓マッサージの際、1分当たり100回のペースでの圧力を推奨しており、「ステイン・アライヴ」の曲に合わせると1分当たり103回でのリズムで、ほぼ推奨ペースと合致すると、米イリノイ大学医学部の研究チームが発表。心臓マッサージや人工呼吸などのCPR処置は、生存率を3倍に高めるとされるが、適切なリズムがつかめず、処置を行うことに消極的になる向きもあり、調査によると大半の人々が行なう心臓マッサージのリズムは遅すぎるのだそうだ。
研究チーム率いるデビッド・マトロック医師は、“「ステイン・アライヴ」は誰もが知っている曲のため、心臓マッサージの際、一定のリズムがとりやすい”と、同曲による効果を説明している。
時代の風が吹いてきたビー・ジーズ、彼らのナンバー・ワンばかりを集めたCD『ステイン・アライヴ~ビー・ジーズ・ナンバー・ワン・ヒッツ』が11月26日に発売となる。当然「ステイン・アライヴ」をはじめ、「恋のナイト・フィーヴァー」「マサチューセッツ」「愛はきらめきの中に」などビー・ジーズのナンバー・ワン・ヒッツと亡き兄弟のモーリスにささげた特別曲を収録した当作、多くの世代から支持を得ることになりそうだ。
◆iTunes Store ビー・ジーズ(※iTunesが開きます)
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