デンマークの国民的バンド、D-A-Dの通算第10作登場

ツイート
ガンズ・アンド・ローゼズの新作、『チャイニーズ・デモクラシー』の各国チャートでの初登場順位がそれだけでニュースになっている今日この頃だが、今回は11月21日付のデンマークのアルバム・チャートで初登場首位に輝いている作品を紹介したい。タイトルは『モンスター・フィロソフィー』。この国で絶大な人気を誇る4人組、D-A-Dによる通算10作目のオリジナル・アルバムである。

D-A-Dは結成からすでに約25年を経ているヴェテラン・バンド。1989年にワールドワイド・デビュー作としてリリースされた『フォー・ザ・ピルグリムズ』と、同作に収録されていた「スリーピング・マイ・デイ・アウェイ」が日本でも人気を集め、1990年には来日公演も実現。続くアルバム、『リスキン・イット・オール』(1991年)発表時には、当時、僕が籍を置いていたHM専門誌で表紙を飾っていたりもする。

実際のところ、あくまで事実に忠実に言えば、このバンドの世界規模での活躍はその頃がピークの状態にあったと言わざるを得ない。が、もうひとつの確かな事実は、それ以降もD-A-Dがデンマークで国民的な人気を誇るバンドであり続けてきたということだ。

この最新作、『モンスター・フィロソフィー』は、日本でも12月3日にリリースを迎える。実はここ数作、彼らのアルバムは日本で発売されておらず、いわゆる輸入CD店にもさほど入荷しなかったため、かつて『フォー・ザ・ピルグリムズ』を愛聴していた人たちですら、多くはこのバンドが存続してきたことを知らずにいたかもしれない。が、D-A-Dがただ単にキャリアを重ねてきただけでなく、今も色褪せない魅力を持ちながら進化し続けていることを、この最新作に触れた誰もが知ることになるだろう。ちなみに彼らの作品の“日本盤”がリリースされるのは2001年発表の『エヴリシング・グロウズ』以来ということになるのだが、今回の『モンスター・フィロソフィー』登場に伴い、国内未発売だった前作、『スケア・ユアセルフ』も同じく12月3日にめでたくリリースされることになった。

▲デンマークが誇る個性派ロック・バンド、D-A-Dのオリジナル・アルバムたち。左下からぐるっと時計回りに全10枚(リリース順)。右下が前作の『スケア・ユアセルフ』、そして真ん中にある「考える牛?」のジャケットが最新アルバム『モンスター・フィロソフィー』だ。
さて、今回、両アルバムの国内リリース実現に際し、このバンドのフロントマンであるイエスパ・ビンザーとのインタビューを行なったのだが、彼はそのなかで、こんなふうに語っている。

「ずっと日本に行けずにいたことは悲しかった。日本のファンに辛い思いをさせているということ自体が、俺たちにはもっと辛かった。でも、今は、D-A-Dという“走り続けてきた列車”にふたたび乗り込んでもらうにはいい時期だと思うんだ。ここから先は、間違いなくハッピーな旅になるはずだからね」

独特のメランコリアと、半端ではないエネルギー。ロック・バンド然としたたたずまいと、ポップな味わい。ちょっと皮肉の混じった視点と、他のバンドとは一線を画するユーモア感覚。ラモーンズとAC/DC、それからバリー・マニロウにも同じくらい影響を受けてきた(この比喩がまた彼ららしい)という彼らの最高傑作ともいうべきこの『モンスター・フィロソフィー』を、まずはご一聴いただきたい。そうすれば、何故このバンドが今も母国で唯一無二の存在として認識され、揺るぎない地位を獲得しているのかをご理解いただけるに違いない。そしてイエスパのインタビューは、これから何度かに分けてお届けしたいと思っている。アルバムを聴いてから読めばいっそう楽しめるはずだから、そこんとこ是非よろしく、なのである。
◆iTunes Store D-A-D(※iTunesが開きます)
◆D-A-Dオフィシャルサイト

増田勇一
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス