LOUDNESS樋口宗孝氏、LAST MEMORIAL BIRTHDAY
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◆樋口宗孝氏「LAST MEMORIAL BIRTHDAY」写真編
午後1時、樋口氏がドラム・ソロの最後にたたいていた巨大なドラを髣髴させる音が2回鳴り響き、厳かに葬儀が始まった。樋口氏の遺骨と位牌は、ドラム一筋に生きてきた故人を象徴するように、LOUDNESSデビュー25周年記念で作られた白いドラムセットの中に置かれている。その周りを囲む白い花、50個のキャンドル。モニターで樋口氏のヒストリーとLOUDNESSの演奏が流される。
最初の弔辞は、LOUDNESSのギタリスト、高崎晃。「早すぎるで、樋口つぁん」のひとことで始まり、「ラウドネスは音が大きくなくてはあかん」という故人の口癖とエピソードを、遺影に語りかける。続いて、LAZYのヴォーカリスト、影山ヒロノブ。LAZYのデビュー当時のエピソードや、ゴルフセットを買うのにつきあってくれた思い出を話し、参列者の涙を誘う。最後は、2人とも、これからも樋口氏の夢を引き継いで、音楽活動を続けていくことを故人に誓った。
LOUDNESSが海外進出を始めたのは、日本ではジャパ・メタ全盛期だった80年代中期。日本人ミュージシャンが海外でプレイすることが珍しくなくなった現在とは違い、アジア人がロックするなんてとんでもないと偏見を持たれていた時代だった。しかし、彼らは実力とハードなライヴ・ツアーで欧米のファンの心を掴み、着実に人気を定着させていく。日本のロックバンド初のビルボードにチャート・イン(それ以前は坂本九のみ)、日本人初のマジソン・スクエア・ガーデンでのライヴ等の輝かしい記録を打ち立て、共演したアーティストもモトリー・クルー、AC/DC、シンデレラ、ポイズンと、洋学ファンなら誰でも知っているビックネームばかりだった。樋口氏のパワフルなドラム・プレイも話題となり、国内外のファンから親しみをこめて「世界の樋口」と呼ばれるようになっていた。
1986年、たまたまロンドンに遊びに行っていた筆者がライヴの楽屋を訪ねたら、「よぅこんなとこまで来たなぁ。俺ら、日の丸精神で頑張っとるでー」と、ビールをくれた時の人懐こい笑顔を今でも思い出す。親分肌でいつも後輩たちの面倒をみていたし、普段から華と存在感のある人だった。景山氏の弔辞にもあったようにゴルフが大好きで、武道館のライヴが終わったあとの楽屋打ち上げに、スティックではなくゴルフバックを抱えて登場して、みんなを盛り上げたこともあった(たしかこの時のヴォーカルは、マイク・ヴィセーラだった)。
葬儀には数多くのミュージシャンが駆けつけ、故人の広い交友関係と信頼度を物語っていた。発起人であるLOUDNESS、LAZYのメンバーを始め、同じ時代を共に駆け抜けたVOWWOWの山本恭二、厚見玲衣、アースシェイカー、44マグナムのJIMMY、JOE、SHOW-YAの寺田恵子、キャプテン、ミッタン、筋肉少女帯の橘高文彦、THE OUTSIDERの大橋隆志。樋口組と呼ばれていた故人プロデュースの浜田麻理、MAKE-UP。ドラマー仲間のヤガミトール、SAKURA、真矢、愛弟子とでもいうべきLEVIN、shuji。シャ乱Qのはたけ、SHUSE等々。あまりにも参列した人が多かったので、筆者が見かけなかったミュージシャンもまだまだたくさんいたことだろう。
多くの仲間たちとファンに見送られて、天国に旅立っていった樋口さん。誰よりも豪快で、誰よりもタフに見えた彼が、こんなに早く逝ってしまうなんて…。
彼が日本のロックシーンに遺した大きな軌跡をわたしたちは忘れないし、彼の遺志を引き継ぐ多くのドラマーたちによってずっと継承されていくことだろう。
樋口宗孝さん、たくさんの夢をありがとう。天国で田中宏幸さん(LAZY)と一緒にジャック・ダニエルでも飲みながら、日本のロックシーンの今後をどうぞ見守っていてくだい。合掌。
大島暁美
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