2009年ドーム6公演に秘められたX JAPAN奇跡の軌跡 ~初心に帰って~とは?

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<X JAPAN COUNTDOWN GIG ~初心に帰って~>…このコンサート・タイトルは、2008年12月31日に赤坂BLITZで行なわれたX JAPANの2008年カウントダウン・ライヴに付けられたものだ。

~初心に帰って~、これの意味するところは何だろうか。

X JAPANは、これまで伝説的な活動と記録を繰り返し、自らその記録を塗り替えてきた。1992年、東京ドーム3Dyasという未曾有のコンサートを初めて行なった日本人アーティストもX JAPANだが、本人不在のフィルムコンサートなるものを全国ホールでツアー化し、数十万人ものオーディエンスを熱狂と感涙の嵐に巻き込んでしまったのもX JAPANの偉業のひとつだ。

しかし一方で、X JAPANは、あまりにもストイックだった。作りだす作品へのこだわりは、より強さを増し、レコーディングは迷路へ迷い込み出口の見えない制作地獄を彷徨った。音楽へのこだわりと、自らのアイデンティティと美学を貫くが故に、いつしか自らの身体までをも蝕むかのようにYOSHIKI自身の歯車は少しずつ狂いだしていく。表現すべきことを表現する…そんな当たり前のことができなくなっていたのだ。そこには人間という肉体の限界の壁の問題があった。頭の中で鳴っている音楽の完成形が、人間という肉体では再現できないという壮絶なジレンマ。ドラムひとつにしてもそうだ。こんなドラムを叩ける人間はこの世にいない…そんな作品がYOSHIKIの身体から湧き出してくる。

でも、答は考えなくても分かっている。YOSHIKIは最初から知っていた…そのドラムは自分が叩くしかないのだ。それがX JAPANの流儀でもあり、オーディエンスへの責任でもあった。X JAPAN5人のメンバーは、それぞれのドデカイ振り幅を共鳴させながら、作品制作とパフォーマンスに全精力を注いだ。X JAPANが化け物といわれる所以の最初のポイントはここなのだ。YOSHIKIはX JAPANのために、アーティスト生命を注いだ。

YOSHIKIはがむしゃらにX JAPANを押し通した。X JAPANこそ我が鼓動であった。しかしYOSHIKIの誤算はここにもあった。世の中の目はX JAPANの一挙手一投足に向いていたのだ。自ら本位としない利権も絡んで、X JAPANが動けば世の中が蠢く構造が出来上がっていく。そしてそれはますます肥大化し、自らのコントロールを逸する出来事までもが弊害として生み出され始めた。アーティストとしてのプライドなのか、オーディエンスへのサービスなのか、それともビジネスなのか…、すでにYOSHIKIの真意とは違うところで形骸化したX JAPANの名前が世を闊歩する。無敵と書いてエクスタシーと読む…そんなシンプルな価値観ですら、取り巻く環境が無力化させようとしていた。

数々のキャンセル、時間のアウト・オブ・コントロール、仕切りなおし、発表の遅れ…、YOSHIKIの真意とは裏腹に、肥大化したX JAPANは既に暴走を始めていたのである。

その後、YOSHIKIがどのような思いを馳せ、彼を中心にどのような動きがあったのかは知る由もない。ただ、一度原点に戻りX JAPANを見つめなおし、X JAPANがX JAPANとしてあるべき姿を正しく再認識するというシンプルながら困難な道程を経てきたことは想像に難くない。その道筋に戻らなければならないことを促し、そして正しくその道程を誘ってくれたのは、他でもない“ファンの存在”である。

「何があってもX JAPANを信頼する」という無欲の愛、「X JAPANを愛しているから」というだけで見返りを求めない純潔の契り…そんなオーディエンスの愛の力は、YOSHIKIを大いに奮え立たせた。全ては待ってくれているオーディエンスのために。X JAPANの雄姿を見たい!X JAPANが響かせる作品を聴きたい!…そんな“ファンの思い”こそ、バンドが守るべき“最大の財産”なのだと、今、YOSHIKIの胸に刻まれている。

それをX JAPANは“~初心に帰って~”と表現したのだ。

1500人しか入れないキャパシティの赤坂BLITZでカウントダウンを行なったX JAPANは、心を痛めていた。超プレミアとなってしまったチケットは、オークションで50万円もの相場となり、そんな理不尽な状況を一刻も早く打破したいYOSHIKIは、電撃的にドーム6回公演の発表を行なった。12月26日<YOSHIKI JEWELRY Secret Party>の場を借りて明かされたドーム6発の情報は、ネットを通じあっという間に世に知れ渡り、「30万人も入れれば十分でしょ?」とYOSHIKIは笑顔で語った。

現在発表されているのは、東京ドーム4日間と東京以外のドーム2日間、全30万人を収容するコンサート環境がセットアップされたということだけで、日程やドームの詳細などは明らかにされていない。今分かっているのは、4日目の東京ドーム公演が通算20回目の東京ドームとなることくらいだ。もちろんコンサート内容に至っては未だ何も触れられていないが、X JAPANがX JAPANである限り、限界を超えて奇跡のステージと感動のパフォーマンス、仰天のサプライズを見せ付けてくれることは間違いない。

X JAPANの敵はX JAPAN自身であったと気付いた今、X JAPANは本当の意味で無敵<エクスタシー>となったのだから。
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