2007年も渋谷C.C.Lemonホールで行なわれた年越しイベント<Over The Edge>が、2008年は、よりパワーアップして開催された。

◆<Over The Edge 2008>を大きい写真で見る

まず、バンド数が増えて14バンド。そこに加え、この日しか見られないスペシャル・セッション・バンドが4バンドも登場、しかもそれがお昼の14時からぶっ続けで年明けまで! どんだけ濃厚に2009年を迎えろっていうんだ? もちろん、チケットは即日完売。祭りを楽しむ気持ちを漲らせた、濃厚なオーディエンスが押し寄せた。

12012が見事なトップバッターを務めあげ、heidi.が極上のメロディでオーディエンスを酔わせていく。負けじと少女‐ロリヰタ‐23区もアッパーに盛り上げ、早くも客席の温度がぐんぐん上昇していく。

そして、2009年は、晴れてメジャー・レーベルに旅立つことを発表しているヴィドールは、ラスト・ナンバーの「Tree」で、決意を新たにするようにジャンプ! そして、早くもこの日一発目のセッションがスタート。

Mix Speaker's,Inc.のYUKIとMIKIとseekとS、さらに少女‐ロリヰタ‐23区の龍兎とリョヲ丞が、まずは「羞恥心」をプレイ。意表を付いた選曲?と思いきや、オーディエンスも共にぐるぐるとタオルを回し、2008年を締め括るに相応しいお祭りナンバーに大満足。続いては少女-ロリヰタ‐23区の颯も参加し、アンティック-珈琲店-の「スマイル一番イイ♀」へ。

その後は空気が一転、ギルガメッシュの登場。へヴィなサウンドでピースフルなムードを生み出していく妙技を披露。現在ツアー中の彼ら、確実に進化していることが伝わってきた。

続くthe studsは、何と大佑が客席に降りるというハプニングが! イベントという短い時間の中で、オーディエンスの心に鮮烈な傷を残すインパクトを残した。

そして藤田幸也率いるKαinは、キャリアを積み重ねてきたからこその、聴かせる楽曲と巧みな話術(!?)で、若いオーディエンスをも引き込んでいた。

続いてはD'espairs RayのHIZUMI率いる二組目のセッションバンドが登場! メリーの結生、the UnderneathのMASATO、ムックのYUKKE、Plastic TreeのササブチヒロシというメンツがBUCK-TICKの「残骸」、「Ash-ra」を披露。その熱狂をさらに高めるべく登場したネクスト・アクトはLM.C。「BOYS&GIRLS」をmayaは、「大人になりきれない少年少女全員に贈ります」と言ってはじめていたけれど、全曲を通して、大晦日にこういう場所に足を運ぶ人、全員に響くような、カラフルでポップなパフォーマンスだった。

そして、次のMix Speaker's,inc.では、またがらりと世界観が変わる。一列にずらり並び踊りはじまった1曲目の「ロボホッホ」から、誰もが楽しめるエンタテインメント集団であることを、見事にアピールした。しかも、右に左にメンバーが動けば、オーディエンスも右に左に大移動! 全員参加型のショウを繰り広げたのだ。

続いては、三組目のセッションバンド。ムックの逹瑯、LM.Cのmaya(何とギター! ギターを持ってステージに立つのは5年ぶりだそう)、圭(kannivalism)、Plastic Treeの正、メリーのネロという布陣で、まずはLUNA SEAの「ROSIER」をプレイ(SEで「LOVELESS」から流す完璧ぶり!)。Jが叫ぶところでは、ムックのYUKKEが登場してさらに客席を沸かせた。逹瑯が「だいたいみんなLUNA SEAはカヴァーできる」と言うと、ネロが「TRUE BLUE」や「Dejavu」のフレーズを叩いて後押し。そして2曲目は、THE YELLOW MONKEYの「JAM」。お祭り騒ぎが多いセッションで、異色ともいえるシリアスな楽曲だったが、深々と心に響いてきた。

そこからD'espairs Rayへ。海外も揺らせる貫禄のヘヴィネスに、しょっぱなからヘッドバンキングに次ぐヘッドバンキングが巻き起こる。跪いての絶唱も聴かせたHIZUMIは、最後、自信に充ち溢れたように、高らかに手を挙げて去って行った。

続いてはムック。変な表現かもしれないが、最近のムックは、しなやかな重戦車のような、絶妙な成長を遂げている。その真価が表れたパフォーマンスに、椅子席にも関わらずモッシュが起きるほどの盛り上がりを見せていた。

そして、さぁ、午前0時が近づいてきた。今年、カウントダウンを飾るのはPlastic Tree! 「どす黒い除夜の鐘を鳴らしていこうと思います」という竜太朗の言葉の通り、轟音ギターロックと浮遊感のあるヴォーカルが、会場を独特の世界観に染められていく。途中、何度かオーディエンスに「今、何時ですか?」と問いながら、いよいよ23:50を過ぎた頃「カウントダウン、はじめる?」と、出演バンドを呼び込む竜太朗。どうやらこの前に、楽屋で行なわれていたという「テキーラ祭り」が、急きょステージで再現されることに!

時計が映ったヴィジョンが運ばれる中、コップに入ったテキーラも各バンドの代表者に(容赦なく)配られる。そしていよいよ時計が0:00を指すと、客席には銀テープが飛び、ステージではテキーラを一気! そして逹瑯が「じゃ、続きをお願いします!」と叫び、出演バンドが去ると、「一番地味なバンドが残っちゃった」と苦笑いする竜太朗。しかし、そこから披露された「メラコリック」は、暴れ初めさせるには十分な、アグレッシヴなパフォーマンスだった。

そして年明け一発目のアクトはSadie。大役にも関わらず、堂々とした重低音を轟かせる。MCらしいMCもなく、漢らしく突っ走った。 その後は、いよいよバンドとしてはラスト。メリーの登場だ!「聴こえるか!」とガラが絶唱する「ジャパニーズモダニスト」から、終始タガが外れたような、アグレッシヴなパフォーマンス。結生が客席をぐるりと回ったり、ガラが習字……いや、今日は書き初めか!で、「気合い入れていくぜ」と書く場面も。最後、「コールing」で、満身創痍のようにふらつきながら熱演するメンバーの姿を、オーディエンスが圧巻といった眼差しで見つめている様子が印象的だった。

さぁ、いよいよラストのセッションである。Plastic Treeの竜太朗が率いる5人が登場! LM.CのAiji、the studsのaie、メリーのテツ、ギルガメッシュのЯyoが鳴らし始めたのはNIRVANA「Smells Like Teen Spirit」! 竜太朗は着物を羽織って正月ムードを盛り上げる。さらにメンバー紹介では、竜太朗の「今日は無理する日でしょ?」という誘いに、メンバー全員が日本酒をラッパ飲み(!!)。そこからは、かの「新世紀エヴァンゲリオン」の曲「残酷な天使のテーゼ」と、「キテレツ大百科」の曲「はじめてのチュウ」というアニメ・ソング二連発でピースフルにフィニッシュした。「はじめてのチュウ」では、ムックの逹瑯とYUKKEが乱入(竜太朗と曲通りにキスまで!)。最後はセッションメンバー全員で一本締めして、長き祝祭は幕を閉じた。

ヴィジュアル系とは、様々な音楽が当て嵌められるジャンルである。でも、共通しているのは、世の中のあらゆる音楽の中でも、究極に非日常を演出してくれるところ。一年で最も非日常な日である大みそか~元旦というこの日に、合わないわけがないだろう! 至福の12時間だった。

取材・文●高橋美穂