増田勇一の『2008年のヘヴィロテ:私的年間ベスト・アルバム』

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なんだかんだで1月も残すところわずか。「遅れまくった新年の挨拶」みたいなタイミングになってしまったが、2008年に聴きまくったフェイヴァリット・アルバム10作品のラインナップを、ここにご報告しておきたい。

●DIR EN GREY『UROBOROS』
●ガンズ・アンド・ローゼズ『チャイニーズ・デモクラシー』
●オーペス『ウォーターシェッド』
●マーズ・ヴォルタ『ゴリアテの混乱』
●モグワイ『ザ・ホーク・イズ・ハウリング』
●AC/DC『悪魔の氷』
●メタリカ『デス・マグネティック』
●デヴォーチカ『ア・マッド・アンド・フェイスフル・テリング』
●フロッギング・モーリー『フロート』
●The DUST’N’BONEZ『COCKSUCKER BLUES』

どの作品についても今さら説明は不要だと思うが、聴いた回数も、その作品に関する原稿を書いた量も、2008年度は『UROBOROS』と『チャイニーズ・デモクラシー』がダントツだったように思う。ちょっと暴言を吐いてしまうと、僕のような仕事をしている人たちのなかには、心底好きなものと、聴いたり書いたりしなければならないものの間にかなりのギャップがある人も少なくないはずだが、こうして本気で好きなもの、ポーズとかじゃなく本心で評価しているものについて執筆する機会をたくさんいただけているのは、とても幸福なことだと思っている。ちなみに、『UROBOROS』についても『チャイニーズ・デモクラシー』についても、まだ少しも熱は冷めていないし、まだまだたくさん書かせていただくことになると思うので、覚悟しておいて欲しい…というか、引き続きお付き合いいただきたいところだ。

もちろんそうした思いは、ここに列挙した他の作品群についても重なること。それにしても、かなり昔から自分の雑食性についてはしっかりと認識してきたつもりではあるのだが、こうして10作品を書き並べてみると、そうした傾向がさらに深刻化しつつあるのではないかという気がしてくる。果たしてこの10枚すべてが大好き、という読者はどれくらい存在するんだろうか? 本当に客観的に見れば見るほど脈絡がない。が、自分なりの一貫性なんてものは本来、言葉では説明できないようなものでもあるはずだし、「年間ベスト・アルバム10枚すべてが同じような音」というのも僕にとっては不自然なことだ。万が一そういう結果になることがあるとすれば、その年が自分にとってとても音楽的に退屈なものだったということならざるを得ないだろう。

というわけで、2009年も当然のごとく雑食性をきわめながらあれこれ食い散らかしていこうと思う。最後にこの“10選”に収まりきらなかった顔ぶれを紹介しておくと、エクストリーム、ブロンクス、ナイン・インチ・ネイルズ、レイチェル・ヤマガタ、フィーダー、MGMT、キラーズ、D-A-D、イーグルス・オブ・デス・メタルといったところ。“ベスト20”だったら確実にこのへんが入っていたはずなのだが…と言いつつ、おそらくこの場に挙げそびれてしまった秀作がたくさんあるはずだという言い訳も最後に付け加えておきたい。

増田勇一
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