増田勇一の『今月のヘヴィロテ(2月篇)』

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遅ればせながら『2月のヘヴィロテ』をお届けしたい。2月リリースされた新譜のうち、僕の耳を占領する時間が長かったのは以下の10枚である。

●AA=『#1』
●アニマル・コレクティヴ『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』
●BUCK-TICK『memento mori』
●デレク・トラックス・バンド『オールレディ・フリー』
●ラム・オヴ・ゴッド『ラス』
●リリー・アレン『イッツ・ノット・ミー、イッツ・ユー』
●メリー『アンダーワールド』
●プロディジー『インヴェイダーズ・マスト・ダイ』
●U2『ノー・ライン・オン・ザ・ホライゾン』
●UVERworld『AwakEVE』

2月はちょっと珍しいくらい邦楽が豊作だった。というか、あらかじめ邦楽/洋楽とアタマを切り替えながら聴いているわけではないし、バランス調整みたいなことを心掛けているわけでもないから、単純に「2月に買ったり聴いたりしたお気に入りアルバムのなかに、たまたま日本産の作品が普段の平均よりも多かった」というだけのことなのだが。

ところで、今回から10作品の序列を、アーティスト名のアルファベット順にさせていただくことにした。というのも、こうしてランキングめいた書き方をすると、「で、どうしてこの作品がこっちよりも上なんですか?」的なことを言ってくる人が、かならずいるから。ぶっちゃけ、これは主に業界内の邦楽方面にありがちな話なのだけども。

そんなわけで、邦楽/洋楽という垣根と無関係に聴きたい注目の新バンド、AA=のデビュー作が必然的にリストの筆頭にくることになった。同時にこの作品は、アルファベット順に並んでいる我が家のCD棚のなかでも最上段の右端に置かれることになったし、近頃はiTunesを開くとまずこの作品のアートワークを目にするようになった。もしかして、そうした効果も配慮したうえでの確信犯的ネーミングなのだろうか?

各々の作品についてはすでに各メディアで充分すぎるほどに論じられてきたはずだし、僕自身もこれらのうちいくつかの作品についてはあちこちで書いてきたので、改めて詳しく解説めいたことを書くつもりは今回もまったくない。が、BUCK-TICKの新作には単純に「17作目にして、このカッコ良さ!」と、胸のすくような思いがしたし、改めてこのバンドの存在自体が“奇跡”だと思った。本人たちがそれを“アタリマエの日常”としか感じていないようなところがまた、奇跡の奇跡たる所以でもあると思う。

メリーの最新作は過去最高にアグレッシヴな1枚だが、ファンには是非、結果としてのそのサウンドではなく、何故彼らの意識がそこに向かったのかという点に着目して欲しい。現在発売中の『FOOL’S MATE I.S. No.003』では、ガラがたっぷりとそのへんのことを語っているので、こちらも是非お読みいただきたい。ちなみに同誌の表紙はBUCK-TICK。彼らのパーソナル・インタビューも掲載されていて、そのうち2本を僕が担当させていただいている。他ではなかなか読めないはずの内容だと自負しているので、チェックしてみて欲しい。

そういえば先日、UVERworld(彼らのアルバムの充実ぶりにも大満足)のツアー初日公演を観るために郡山に行ったのだけども、そこに向かう途中、雪景色のなかで聴いたU2の新作が素晴らしくシチュエーションにマッチしていて心地好かった。実際に走っているのは福島県のはずなのに、なんだかアイルランドにいるような錯覚に陥った。そんなとき、「ようこそ、みちのくへ」みたいな看板が目に入っていきなり現実に引き戻されたのだけども。

しかし今回のU2は、本当にあくまでU2らしいのに、やっぱりどこか新しくて、安心感と新鮮さの両方を堪能させてくれる。また、ちょっと気分をアゲたいときにはプロディジーが役に立ってくれたし、現実逃避したいときはアニマル・コレクティヴが特効薬になった。アタマのなかを真っ白にしたいときは、ラム・オヴ・ゴッド。僕はこのバンドの野蛮さの背景に、不思議に理知的な匂いを感じてしまう。先頃の来日公演も、やっぱりサスガだった。

さて、そうこうしているうちに3月もなかば。『3月のヘヴィロテ』は4月に入った途端にお届けすることをお約束しておきます。では、また。

増田勇一
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