I've、歌姫5人の新曲と出演映画が詰め込まれた設立10周年記念のCD BOXリリース大特集

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北海道・札幌の音楽集団I've 設立10周年記念のCD BOXリリース特集

これがI'veの頭脳 高瀬一矢 × 中沢伴行

I'veの頭脳でありクリエイターの高瀬一矢×中沢伴行が語るI'veの歩んできた10年間の歴史

I've座談会の第一弾として登場してもらったのはこの二人!“I've sound”の生みの親であり、ファクトリー・レコーズ創設者の一人でもあるクリエイター高瀬一矢。そして数々の名曲を手掛けながら“高瀬氏の女房役”とも噂されるクリエイター中沢伴行。そんな二人にI'veの歴史から歌姫たちの印象、そしてI'veの未来についてなどなどを、爆笑エピソードを折りませながら対談してもらった。本邦初公開の最高に貴重な話が満載!

取材・文●冨田明宏

――まずは、お二人の出会いからお聞きします。

中沢伴行(以下、中沢):昔はこのファクトリー・レコーズがカラオケの音源制作をしていたんですよ。その営業所が東京の池袋にあったのですが、5月か6月ごろに、カラオケの音源制作者の募集をしていて。僕はその頃、専門学校を卒業した時に、単位が足りなくて4月に就職できなかったんですよ(笑)。音楽はまったく何も知らないけど、打ち込みに興味があったので、ファクトリーに行ってみたんですよ。そうしたら、本当に何もできなくて(笑)。機材も何一つ使えなかった。それでも1年くらい、データのチェックとかをやっていたんですよ。

高瀬一矢(以下、高瀬):中沢は東京の営業所にいたから、僕とはまだ全然会ったことがなかったんだけど、噂では「今すごい勢いで伸びてるヤツがいる」という話は聞いていたんですよ。「新人では若手筆頭だ」とか。

中沢:そんなこと言われてたんだ…。

高瀬:そうそう。それで、その池袋の営業所に、レコーディング・ブースを作ることになったんですよ。俺と一法師(康孝:I'veの代表取締役)がレガシーにコンパネとかをドカドカ積んで、それで運ぼうということになって。(重さで)レガシーがちょっと潰れてたんですが(一同笑)、フェリーで大洗まで10数時間かけて、そこから池袋まで行ってブースを作ったんですよ。トンカチと釘で(笑)。今考えたらテキトーだったよね?

中沢:ハンパじゃないくらいテキトーでした(笑)。

高瀬:その時、はじめて中沢に会ったんですよ。なんか初対面のクセに妙に馴れ馴れしいヤツでね。金髪で背も高いし、上から見下ろされて(笑)。

中沢:でも、ファクトリーがカラオケの音源制作から撤退することになっちゃって、その営業所も解散しちゃったんです。そこから1年くらい、僕は秋葉原のPCショップでパソコン売っていたんですよ。そうこうしてる時に、一法師さんから電話がかかってきて、「PCゲーム作るから、3ヵ月間札幌に来ないか?」と言われたんです。僕も制作の方に興味があったので、「行きます」と。そうしたら、また一法師さんが車で北海道から迎えに来てくれて、家財道具全部詰め込んで札幌に行ったんですよ。

高瀬:その時作ったPCゲームは伝説的に売れなかったのですが(一同笑)、音楽の方は認めていただきまして。その頃、すでにウチで作った曲が10曲位たまっていたので、「これをアルバムにしましょう」という話をいただいたんです。それが『regret』で。その当時、PCゲーム関連のCDは1,000枚売れれば大ヒットと言われている中、初回で8,000~10,000枚くらい注文がついたんです。

――僕も当時買いましたが、ネットを中心とした熱狂ぶりは本当にハンパじゃなかったですからね。

高瀬:俺たちはそんなことになっているだなんて、全然知らなかったんですよ。

中沢:でも、ちょうどインターネットが普及し始めた時期と重なっているから、口コミ情報の伝わり方も速くなっていて。それ以降、発注がものすごく来るようになったんです。

――その当時はまだ、武道館も10周年も予想すらしていないわけですよね。

高瀬:もちろんですよ。いまだに、こんな待遇をしてもらって本当にいいのかと、疑問に思っているくらいですからね。

――10年前は、一軒家の中にある手作りスタジオだったわけで

高瀬:そうですよ。卵パックは最高の吸音材です(笑)。家の中を手作りで改造しまくっていて、二重窓の間に発泡スチロールとか詰めてたら、大家さんから「要塞みたいになっているけど、大丈夫?」って心配されちゃって。「大丈夫です!動きだしたりはしませんから!」なんて答えたりしてね(一同笑)。

中沢:でも、やっぱり手作りだからめちゃくちゃなんですよ。レコーディング・ブースとボーカル・ブースの間のガラスをマジックミラーにして、普通はレコーディング・ブースからボーカル・ブースが見えるようにするんですけど、高瀬さんがマジック・ミラーを逆に貼っちゃって(一同爆笑)。「高瀬さん、これなんすか?」って聞いたら「ゴメン、もう戻せない」って。僕たちは自分たちの顔を見ながら歌い手さんの声を聴かなくちゃいけない、変なスタジオだったんですよ。

高瀬:スタジオのドアの取っ手も一週間くらいでとれちゃって。内側から開けられなくなったりとかね。

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