ベン・ハーパーが提示する、サウンドの緊張感と開放感の関係[前編]

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90年代後半、テキサス発のバンドWAN SANTO CONDOのギター担当であったJason Mozerskyとベン・ハーパーが出会った。聴かされたデモ音源を高く評価したベンは彼らのアルバム契約の手助けをし、バンドは2004年Everloving Recordsよりセルフ・タイトル・アルバムのリリースを果たした。その後バンドは解散するが、Jasonとベンとの友人関係は続いた。

2005年、アルバム『ボウス・サイズ・オブ・ザ・ガン』の制作を開始したベンは、Jasonにギターを頼むことを決めた。それを受けて、Jasonは友人のドラマーJordan Richardsonとロサンゼルスのインディー・ロック・バンドOLIVER FUTUREに属していたJesse Ingallsを誘いスタジオに現れ、名曲「サーヴ・ユア・ソウル」を誕生させ、リレントレス7結成の礎を築いた。

2008年夏、このメンバーで再結集したベンは本能のまま作品を作り上げた。それが5月13日リリースとなる『ホワイト・ライズ・フォー・ダーク・タイムス』だ。オリジナル・スタジオ録音アルバムとしては9枚目となる本作は、ニュー・バンド:リレントレス7とともに音の揺らぎに誘われるように自然体の魂が咆哮するロック・アルバムとなった。

──前作『ライフライン』の美しいアコースティック・サウンドから一転、『ホワイト・ライズ・フォー・ダーク・タイムス』は、バンド感の強い鋭さがある内容となって、驚きました。

ベン・ハーパー:今は予想がついてしまうような安易なことをやってられる時代じゃないんだ。

──今回はリレントレス7というバンドを従えてのアルバム完成ですが、なぜ彼らと?

ベン:3人とも『ボウス・サイズ・オブ・ザ・ガン』(2006年リリース)に参加してくれたことがきっかけなんだ。最初は、ギターのジェイソンが「プリーズ・ドント・トーク・アバウト・マーダー・ホワイル・アイム・イーティング」という曲で参加してくれたんだけど、彼との共演をきっかけに、ベースのジェシーとドラムのジョージを紹介され、「サーヴ・ユア・ソウル」を完成させた。最初は、曲なんて完成させるつもりなどなくセッションしていたんだけど、4人で息を合わせて演奏していると、これまでにない手応えというか、ケミストリーを感じたんだ。あの時の感覚が、ずっと脳裏から離れなくて、今回のアルバムに結びついていったんだ。

──確かに、アルバムからは汗をほとばしらせ、魂をぶつけあう4人の姿が伝わってきました。そんなアルバムのタイトルを『ホワイト・ライズ・フォー・ダーク・タイムス』にした理由は?

ベン:アルバムタイトルは「シマー・アンド・シャイン」の歌詞から取ったものだ。タイトルってアルバムを適切に表現しなきゃなんないし、さらに唯一無二のものでなければならない。このタイトルだったら間違いないって確信したんだ。それに、この言葉っていろんな場面や情景に当てはまるだろ?

──アルバム全体にテーマやストーリーはありますか?また曲作りにおいてインスピレーションを与えたことは?

ベン:オレは計算して音楽を作ってない。常にベストな曲作りを目指しているだけだ。それにこのバンドは、自然発生的な経緯が気に入っていて、アルバムに入っている曲もそれと同じように自然なプロセスのなかで生まれた。だから、あえて共通点があるとするならば、すべてのサウンドは、4人の強いケミストリーに導かれて完成させたもの。4人が部屋(スタジオ)に集まったときに、言葉を交わす必要もなく楽曲が完成されていったという点だ。当初はアルバム制作なんて意識せずにジャムセッションしたわけだから。このアルバムのインスピレーションはメンバーの演奏そのものからきている。

◆後編へ続く
文:松永尚久

◆iTunes Store ベン・ハーパー&リレントレス7(※iTunesが開きます)
◆ベン・ハーパー・オフィシャルサイト
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