泉谷しげる、「雨上がりの夜空に」を涙の熱唱

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2009年5月10日(日)、恒例となった泉谷しげるの誕生ライヴは、恵比寿ザ・ガーデンホールにて、午後17時10分に幕を開けた。<生まれ落ちた者たちへの生誕祭>と題されたライヴには、満員の観客と、5月2日に泉谷の盟友である忌野清志郎が逝去したことに対してのコメントを求めるマスコミが大挙して詰めかけていた。

第1部。たったひとりアコースティック・ギターを掻き鳴らしながら「紅の翼」を歌い上げた後、世界的パイプオルガニスト後藤香織をはじめとした美形揃いのカルテットを迎え、泉谷の「有り得ない」という言葉通り、未だかつてないクラッシックをバックにした「春夏秋冬」からコンサートは始まった。

途中、未発表曲「愛と憎しみのバラッド」では、“愛”をテーマに作られている来たるべきニューアルバムの片鱗を見せ、“清志郎に捧げる”という言葉と共に、新曲「頭上の脅威」を熱唱。グランドピアノとカルテットをバックに、人の命について歌われたこの楽曲は、この日まさにレクイエムとして会場に染み渡った。ライヴ中、何度となく盟友について言及する泉谷は「俺はあいつがいなくなったなんて認めない。いつかあいつをみんなの前に連れて帰るから!」と発言、客席は沸きに沸いた。

そして第2部。押井守原作・脚本のアニメ映画「宮本武蔵」の主題歌、6月17日発売のニューシングル「生まれ落ちた者へ」のプロモーションビデオが突如スクリーンに映し出され、固唾を呑むオーディエンス。おなじみの泉谷バンドを従え登場する泉谷しげる。最新アルバムの1曲目に収録された「業火」から始まる第2部は、絶叫の連続。興奮のあまりセットリストを無視して突き進む泉谷。そのままコンサートはクライマックスへ。「眠れない夜」「国旗はためく下に」が披露されるに至り、シートを無視してステージに駆け寄るオーディエンスの顔は、一様に興奮の極み、そして笑顔に満ちている。警備員が必死でトラロープを引っ張るが、オーディエンスがロープを突き破る。

名曲「翼なき野郎ども」でライヴは終了するものの、鳴りやまない怒号と拍手に押され、そのままアンコールに突入する泉谷。息を切らし歌った「長い友との始まりに」に続き、突如そしてついに「雨上がりの夜空に」のイントロが響き渡る。何の躊躇いもなく、客席は泉谷と大合唱を始めた。間奏で思わず顔面を腕に埋める泉谷。飛び交う怒号。顔を上げた泉谷の瞳はうるんでいた。

心の中の暗闇を吹き飛ばすように、一層激しいアクションで会場を焚きつける泉谷。そして「野性のバラッド」ではジャンプ、ハイタッチ、客席にギターを投げ込む場面も。全ての演目を終え、「俺はがんばるから!」とマイクなしに絶叫した泉谷の顔は、清らかにすら思えた。

全26曲、全てに命を込めた無上の誕生ライヴは、こうして幕を閉じた。

◆泉谷しげるオフィシャルサイト
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