LIVE MUSIC ism マンスリー#001 鹿野淳による“ミドコロ”

ツイート
品川ステラボールでのキックオフ・イベントを最高の形で成功させたLIVE MUSIC ism。遂にこの6月6日のめでたいゾロ目の日にSHIBUYA BOXXにて本編をスタートさせる。
記念すべき最初のパーティーは、ホフディラン+HARCO+のあのわという、「聴き手を選ばない箱庭ポップ」を響かせるアーティスト&バンドによる、マニアック&ポップなスペシャルナイトだ。

この日のホフディランは、最近とくとお目にかかることがなかったアコースティックセットによるプレシャスな編成によるものである。筆者は彼らのデビュー前――もう14、5年前になるだろうか? その頃によく学ランを纏ったふたりのアコースティックライヴを観たのだが、これが本当にいい、というかロックの極みだったのをよく憶えている。

彼らの特徴は、ザ・ビートルズ以降の洋楽的な和音展開をむちゃくちゃ日本語感の強い歌として鳴らすことにあるのだが、その骨格が思いっきり突き刺さってくるのがひとつ。さらに、ふたりのあまりにもオリジナルな声質、そのヴォーカルから降り注ぐ「毒」がとても生々しく流れ込んでくるのである。こういうクセとアクと毒の強いアーティストは、アコースティックになることによって牧歌性が浮かんでくるのではなく、ロック性がさらに鋭利になっていくのだ。これは見物である。一度喰らってみるといいと思う。

さらには目を瞑って聴いていると、自分の理想とする桃源郷がすぐに目に浮かぶような箱庭中の箱庭アーティスト、HARCO。彼は音楽に対する経緯とマナーを持っていて、それがまるで「真水」のような透明感をもって、ライヴとして流されていく。とかくライヴとレコーディングは似て非なるものということで、アーティストの中でも分け隔てて考えるものだが――まぁHARCOももちろんそうだろうし、今回はバンド編成によるものでバキッといくのだろうが――彼の場合はライヴにもレコーディングにも独特の哲学とリアルがあって境目がないのが特徴だ。大袈裟に言ってしまえば「音楽の子供」なんだと思う。そんな音楽の子供の見事な「戯れ」をバンドセットで観られる貴重な機会が、この日のライヴだ。

そして、まだデビューして間もないのあのわ。僕は彼らの音楽性を友達らに評する場合、よく「YUKIちゃんとフレイミング・リップスを足して、さらにかけたらこうなるって感じなんだよ」という常套句を口にする。チェロを弾きながら歌う紅一点のYukkoが印象的な5ピースだが、ライヴを浴びるとバンドとしてとんでもない野性とサイケデリック感を持っていることを実感する。洋楽と邦楽のミッシングリンクを埋め、知性と野性の川に橋を架け、そしてポップとロックの口づけを幻想的にかわす、そんな素晴らしい「新桃源郷バンド」の真骨頂が響くライヴになるだろう。

移り変わりが何かと速い中、こうやって世代感や時代感を超越して集結する3組が、「マニアックだけどポップ」「ポップだけど癖だらけ」なライヴを展開する本質的なロックの意味がわかる一夜を、共に過ごしてほしいと願う。

鹿野 淳(音楽雑誌MUSICA編集長)
MUSICA OFFICIAL SITE http://www.musica-net.jp/

<LIVE MUSIC ism MONTHLY LIVE #001>
2009年6月6日(土)@SHIBUYA BOXX
OPEN 17:30/START 18:00
【料金】前売り¥2,500(税込) ※入場時にドリンク代が別途必要
【出演】ホフディラン/HARCO/のあのわ
 ◆e+チケット申し込み
ホフディラン コメントHARCO コメントのあのわ コメント
この記事をツイート

この記事の関連情報