生き方を模索する爽やかなハイトーンヴォイス、BigBird

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三軒茶屋Grapefruit Moon。このライヴハウスは、いつ来ても落ち着く。まるで自分の家にいるように、心がほどけていく。そんな場所で、初めて聴くBigBird。

ヴォーカル、ドラム、そしてペースの3人。アコースティックスタイルでの演奏が始まる。そう、スタートは、ドラムではなくカホーンで。

最初の曲は、爽やかな風が吹くようなメロディの「扉」。だけどその中に、耳に引っかかってくる言葉「捕らわれの身」「諦めの悪いのは誇り(プライド)だって」があって、ついつい歌詞の内容を考えてしまう。人生にもがく時、人は鍵のかかっていない扉を前に開けることさえできなくなる。そんなことを歌ったこの曲。でも、そんな時間も大事なのかもしれない。人生に無駄なんてないから。

カホーンからドラムへ移動して、「ホントノセカイ」。言葉がしっかりと聞こえてくる歌詞。正直、初めて聴く曲なのに、なぜか懐かしい。そして、伸びやか声が登り切るさびの部分は、ちょっと体をゾクゾクさせる。さらりと、すごいこと言っている歌詞も好き。

そして、続く曲はヴォーカルの声をフィーチャーするような始まり。日常は物語みたいにうまく行かないかもしれないけど、よく見れば物語の連続こそが人生なのかもって、勝手に思ってました。なんだかそんな雰囲気です。

続いて、新曲の披露。一人称を「私」で歌う。柔らかいメロディ、あぁ、恋したくなっちゃうよ。このあと、再びカホーンに戻り「呼吸」。

6曲目は「愛に生かされて」。もどかしさを感じる歌詞。愛って見えないからこそ強力で、人はひとりでいけていけないんだと思わせてくれる。誰かからの愛を、いつもどこかで確認しようとしている自分、だけどそんなことできはしないとも知ってる。そんな繰り返しで、私たちは生きているんだって。

ここで告知タイムへ。5月、6月、7月とライヴが続く、と。また聴きたいな。

「胸いっぱいの愛を」。配信でリリースされたこの曲は、声だけじゃなく魂を感じさせてくれる。裏声に変わる瞬間をなぜか待ってしまう。声の力を感じて、その最高の楽器を持つ彼をうらやましく思う。声は何より繊細で、心打つものです。

そして、ラストは元気の良い曲、お客さんも手拍子で参加して、会場に一体感が! あっという間の8曲。ほとんど前知識のないまま来たけど、自分の部屋でゆっくりさせてもらったような、とても良い時間だった。

ライヴを終えて思ったこと。生き方を模索する人は、どんなことがあってもポジティブであろうとする、だけどどうしようもならないときもある。きっとどんなに笑っていても、どっかに大変なことを抱えていたりする。でもさ、大変なことの大小はあるだろうけど、人はみな、何かを抱え生きている。だからこそ歌を聴きたいと思うし、だからこそライヴに来たいって思うんだ。爽やかなメロディに乗せられた赤裸々な言葉が、痛すぎくなく、でも「忘れるなよ」と言ってくれているようだった。

2009年5月22日
@三軒茶屋Grapefruit Moon
1.扉
2.ホントノセカイ
3.つぼみ
4.ワンサイド(仮)
5.呼吸
6.愛に生かされて
7.胸いっぱいの愛を
8.手の鳴る方へ

<ZOOM VOL.31>
2009年6月24日(水)
@渋谷GUILTY
BigBird / marker / ハヴケイスケ
前売り¥2300/当日¥2500(DRINK別)
OPEN:18:00 / START:18:30~
[問]渋谷ギルティ Tel:03-3770-1130

<ガチうた phase three>
2009年7月12日(日)
BigBird 他
@shibuya O-CREST
前売り¥2300/当日¥2800(DRINK別)
◆BigBirdオフィシャルサイト

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/
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