HEAD PHONES PRESIDENT、まるで短い舞台を見るよう

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2009年7月8日、20時半近く、HEAD PHONES PRESIDENTの出演時間が来る。ここは、恵比寿LIQUID ROOM。彼らの時間が始まる。ゼンマイ仕掛けの人形のように動くANZA。スイッチをいれられた人形が、歌い始める。そして、突然激しい動きへ。

囁くように歌う彼女は、何かをはらんだ魔女のようにも見える。しかし、その直後、全身で鬱積した何かを表現するかのような激しい動きに変わる。

会場の客を巻き込んで1曲目からヒートアップ。登り詰めるボルテージ。伝えたいものは何?訴えたいものは何?響いている、聴こえてくる。恵比寿 LIQUID ROOMという箱を飛びださんばかりな勢い。それは、逆に言えばこの箱には収まりきらないエナジーだ。

ギターもベースもすべて、ヘッドバンギング。そして、ANZAの身体の真ん中からはき出されるような声。静かになったかと思えば、訴えるような動き。壊れてしまうのではないかと思うようなパワフルさ。彼女が訴えてくるものを私は受け止められるのか?

長いスカートを大きく振り乱し、回転してアピール。自由に動く姿は楽しそうでもあり、支配されているかのようでもある。彼らの発するパワーで、ペンを持つ手にまで、ジンジンと振動が伝わってくる。会場がふるえているのが分かる。

ANZAは、指先を伸ばして会場と繋がる。分かち合うものがきっとそこにある。そして、ANZAの時々、自分を責めるような動きと裏腹に、すべて知っているんじゃないの?と問いかけたくなるような表情。

ここで気づく。このステージは、ひとつの物語になっていると。ANZAをいう女優が、本音を吐き出しつつ積み重ねている舞台だ。優しい表情、地を割るような叫び、天地がひっくり返るような激しい動き。ベースも舞台に座りこんで、それぞれが体の底から訴えるような役を表現している。台本のない、だけどストーリーのある舞台だ。

なんて、一瞬分かったような気になったものの、すぐに彼女の世界へ連れていかれる。冷静にコメントなんてできない。そうラスト近くでちょっとプリティな姿を見せる。でも、それも演じているんでしょう?って言いたくなる。

最後にはギターはすべての弦を切った。そして、一人残るANZA。彼女は、すべてをやり尽くしたようにお礼を言ってその場を去る。

2009年7月8日@恵比寿 LIQUID ROOM
1.n0ize
2.chain
3.新曲
4.Labyrinth
5.non title
6.I wiII stay

◆HEAD PHONES PRESIDENTオフィシャルサイト

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/
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