GRAPEVINE、10作目にして2度目のデビュー作

ツイート
デビュー12年目にして初の海外公演を成功させ、更なる高みへ向かうGRAPEVINE。7月15日にリリースとなった最新フルアルバム『TWANGS』を記念し、マイミク限定でオフィシャルインタビュー&レコーディングドキュメンタリー映像が公開されている。6週間にわたって毎週更新される予定なので、是非マイミクとなってチェックを。

ライター小野島大は「第2のデビュー作といっていいほどの重要作」と公言する『TWANGS』、彼のオフィシャル原稿を紹介しよう。

◆『TWANGS』全曲試聴

グレイプバインの前作『Sing』は、このバンドが到達したとてつもない高みだった。少なくとも歌ものバンドとしてのグレイプバインは、このアルバムをもって頂点を極めたと言いきっていいと思う。楽曲の清新とキャッチーさと完成度、演奏の安定と成熟、プロダクションの洗練は、過去最高の水準に達していたし、それは彼らの15年に渡るキャリアの集大成と言った趣さえあった。しかし、頂点である限りは、その先は下るしかない。これからグレイプバインが、大きな太陽が地平線に沈んでいくように、なだらかな下り坂をゆっくりと下っていったとしても、誰も非難などできるはずがない。もう彼らはとうの昔に青春期を終えているはずのバンドだったからだ。

だが本作『Twangs』において、彼らはぼくのそんな思い込みなど軽く粉砕する、予想もしない変貌と進化を遂げていた。冒頭の「疾走」が象徴的だ。切れ味鋭いギター・リフに導かれ、サイケデリック、ロウファイ・オルタナティヴ、プログレッシヴ、ポスト・ロック…さまざまなカッティング・エッジなエッセンスが火花を散らしながら煮えたぎるカオスの渦となって牙を剥き、聴き手に襲いかかる。いつになく攻撃的な歌詞といい、ストリングスをフィーチュアした重厚なアレンジといい、そのインパクトは尋常ではない。

その後もダイナソーJr.さながらの荒々しいガレージ・サウンドとグラム・パーソンズばりのカントリー・ロックが無理やり合体したような「Pity on the boulevard」、英語詞の「Vex」、生ギターとストリングスだけで構成された「Twang」など、ほぼ全編にキーボードなど3人以外の楽器がフィーチュアされた大胆なアレンジで、これまでのグレイプバインの、正統派の端正なギター・バンド的なイメージを完全に覆しかねない冒険的なサウンドを展開している。その密度の濃さと情報量の多さはすさまじい。もちろん生命線であり、彼らの音楽の核であるポップでエモーショナルな歌ものとしての魅力は健在である。だがそれ以上に、おそらくはプロデュースの長田進との緊密なコラボレーションによって構築された野心的なプロダクションは、衝撃的ですらある。まさかグレイプバインがこんな方向に進むとは思わなかった。そこにはブルックリンあたりのサイケデリックなアート・ロック・シーンにも共振する同時代性すら感じ取れたのだ。

この変貌の裏には、2009年のSXSW(サウスバイサウスウエスト)への出演、そして初のNYライヴなどの影響があるようだ。洋楽的な出自を持ちながらも、あくまでもドメスティックなロック表現を目指していた彼らは、そこで改めて大きな刺激を受けたのだろう。その刺激は、彼らを大きく変貌させ、脱皮させたのである。ぼくはかって、グレイプバインの音楽はデビュー時から完成されていた、と書いたことがある。バンドにとっての青春期が音楽性という自我の形成期であるなら、彼らの青春期は終わっていたはずだった。だがデビュー10年以上を経て、彼らは大きく変わった。緩やかな減衰期に入っていたはずのバンドは、まさに青春期的な衝動とエネルギーと新鮮な情熱を取り戻したのである。圧倒的だ。

このアルバムが従来からのファンにどう受け止められるのか、わからない。だが彼らにとってこのアルバムは、第2のデビュー作といっていいほどの重要作でありメルクマールとなるのは間違いないと思う。ここから新しい時代が始まるのだ。

2009年6月15日 小野島 大

<ROCK IN JAPAN FES.09>
日時:7月31日(金)
時間:開場 8:00 開演 10:30 終演 20:30
会場:国営ひたち海浜公園
オフィシャル・ホームページ:http://rock-net.jp/fes/09/

<エレファントカシマシ presents“太陽と月の下の往来”>
日時:9月20日(日)
時間:開場15:15 開演16:00
会場:大阪城野外音楽堂

<GRAPEVINE tour 2009>
2009年9月22日(火・祝)岡山CRAZYMAMA KINGDOM 17:30/18:00 キャンディ−プロモ−ション岡山 086-221-8151
2009年9月23日(水・祝)米子BELIER 17:30/18:00 キャンディ−プロモ−ション岡山 086-221-8151
2009年9月25日(金)高松DIME 18:30/19:00 DUKE高松 087-822-2520
2009年9月26日(土)松山サロンキティ 17:30/18:00 DUKE松山 089-947-3535
2009年9月29日(火)神戸WYNTERLAND 18:30/19:00 サウンドクリエーター 06-6357-4400
2009年10月1日(木)京都磔磔 18:00/18:30 サウンドクリエーター 06-6357-4400
2009年10月2日(金)Live House浜松窓枠 18:00/18:30 サンデーフォークプロモーション静岡  054-284-9999
2009年10月5日(月)HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2 18:30/19:00 ホットスタッフプロモーション 03-5720-9999
2009年10月9日(金)長崎DRUM Be-7 18:30/19:00 BEA 092-712-4221
2009年10月10日(土)熊本DRUM Be-9 17:30/18:00 BEA 092-712-4221
2009年10月12日(月・祝)宮崎WEATHERKING 17:30/18:00 GAKUONユニティフェイス  0985-20-7111
2009年10月15日(木)高崎club FLEEZE 18:30/19:00 ホットスタッフプロモーション  03-5720-9999
2009年10月16日(金)長野CLUB JUNK BOX 18:30/19:00 FOB長野 026-227-5599
2009年10月18日(日)金沢EIGHT HALL 17:30/18:00 FOB金沢 076-232-2424
2009年10月23日(金)青森Quarter 18:30/19:00 GIP 022-222-9999
2009年10月24日(土)盛岡Club Change WAVE 17:30/18:00 GIP 022-222-9999
2009年11月2日(月)Zepp Sendai 18:00/19:00 GIP 022-222-9999
2009年11月3日(火・祝)新潟LOTS 17:00/17:30 FOB新潟 025-229-5000
2009年11月6日(金)札幌PENNY LANE 24 18:30/19:00 ウエス 011-614-9999
2009年11月8日(日)横浜BLITZ 17:00/18:00 ホットスタッフプロモーション 03-5720-9999
2009年11月10日(火)赤坂BLITZ 18:00/19:00 ホットスタッフプロモーション 03-5720-9999
2009年11月11日(水)赤坂BLITZ 18:00/19:00 ホットスタッフプロモーション 03-5720-9999
2009年11月14日(土)福岡DRUM LOGOS 17:30/18:00 BEA 092-712-4221
2009年11月15日(日)広島CLUB QUATTRO 17:30/18:00 キャンディープロモーション 082-249-8334
2009年11月21日(土)Zepp Nagoya 17:00/18:00 サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
2009年11月23日(月・祝)なんばHatch 17:00/18:00 サウンドクリエーター 06-6357-4400
2009年11月28日(土)Zepp Tokyo 17:00/18:00 ホットスタッフプロモーション 03-5720-9999
2009年12月5日(土)沖縄桜坂セントラル 17:00/18:00 PMエージェンシー 098-898-1331
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス