イリアーヌ、天才ジャズ・ピアニストの本領を発揮

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凄腕ジャズ・ピアニスト、イリアーヌの最新作『デサフィナード』が7月22日にリリースされた。イリアーヌはヴォーカリストでは…と思う方もいることだろう。近年のイリアーヌはボサノヴァを中心にヴォーカル・アルバムを多数発売しているのでヴォーカリストのイメージが強い。

しかし彼女は元々正真正銘のピアニスト。10代からメキメキと頭角を現し15才の頃には地元ブラジル有数の音楽学校でピアノを教えていたという天才肌だ。80年代初頭にNYに渡りマイク・マイニエリやマイケル・ブレッカー、スティーブ・ガッドなどが結成した伝説のフュージョン・グループ:ステップス・アヘッドのピアニストに20歳そこそこで抜擢。テクニカルな演奏でジャズ/フュージョン・シーンに華麗に登場したのである。その後イリアーヌが初めてアルバムで歌うようになったのは90年代に入ってからのこと。

そんな彼女がピアニストとしての本領を余すことなく発揮し、トリオ演奏で自由自在にピアノを弾きまくっているのが2002年のオランダでのライブ録音を収録した本作『デサフィナード』だ。イリアーヌの奔放なピアノをがっちりサポートするのはマーク・ジョンソン(B)とジョーイ・バロン(Dr)という百戦錬磨のツワモノたち。鉄壁のトリオ演奏は元の楽曲を解体し、自由自在なアドリブと共に再構築していく。全く予定調和が見えないフリーな演奏の中で、全ての楽曲が美しく一つの方向にまとまっていく姿はまさに感動的。特にアルバムのラストを飾るアントニオ・カルロス・ジョビンの名曲「デサフィナード」は圧巻だ。情緒と躍動が一体となった18分を越える変幻自在な演奏は、イリアーヌ流ジャズ・ピアノの極致と言えるものだ。

「構成と自由を混ぜこぜにするのが、たまらなく好きなの。どの曲もピアノのイントロはまったくの即興で、曲のメロディーの最初の主題に登場するハーモニーに従い、曲の構成に沿って即興演奏している。(中略)マークとジョーイとの共演では、私は音楽の中を自由に進ませてもらっている。私の意図に合わせ、もっとやっていいよ、とけしかけてくる。旅の途中で目の前に道が開けていくような、音楽の冒険なの」──イリアーヌ

なお『デサフィナード』と同時発売でイリアーヌの過去の代表作『風はジョビンのように』(1990年)と『海風とジョビンの午後』(1998年)の2作をカップリングしたアルバム『イリアーヌ・プレイズ・アンド・シングス・ジョビン』も発売となった。こちらもピアニストとヴォーカリストという2つの面を持つイリアーヌの音楽を知るためには最適の作品。ご興味あらば、是非こちらもチェックを。

<イリアーヌ来日公演>
10月7日(水)、8日(木) ビルボードライブ大阪
※1日2回公演 (問)06-6342-7722
10月9日(金)、10(土) ビルボードライブ東京
※1日2回公演 (問)03-3405-1133
イリアーヌ(P)、マーク・ジョンソン(B)、ピーター・アースキン(Dr)

◆イリアーヌ・オフィシャルサイト
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