ヤマハ、音質や実用性が向上したピアノタッチ鍵盤のプレイヤーズシンセ「S90 XS」「S70 XS」

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ヤマハから高音質の楽器音色とリアルなピアノタッチ鍵盤を備えたミュージックシンセサイザー「S90 XS」「S70 XS」が登場した。プレイヤーズシンセとして大きな支持を受けている「S90 ES」(2005年7月発売)のコンセプトをそのままに、「MOTIF XS」のサウンドエンジンの採用、高品位なピアノ音色の追加、ユーザーインターフェイスの一新を図ったプロ仕様のシンセとなっている。DAWソフトウェアのリモート機能やオーディオファイルの録音・再生機能といった新機軸の機能搭載にも注目だ。鍵盤数によって88鍵モデルの「S90 XS(写真:上)」、76鍵盤「S70 XS(写真:下)」がラインナップされる。

■高品位なピアノ音色をはじめとする豊富な音色

「S90 XS」「S70 XS」でまず注目したいのはピアノをはじめとする楽器音色の音質の向上だ。搭載される波形ROMは、新たにサンプリングされた高品位なピアノ音色を含む142MBのピアノ音色と、同社の「MOTIF XS」直径のバリエーション豊かな音色、総計456MB(16ビットリニア換算)もの大容量。ライブラリも膨大で、1024ノーマルボイス+64ドラムキットのプリセットを装備。加えてGM対応128ノーマルボイス+1ドラムキットも備えるので、既存のMIDIデータなどの再生にも対応可能だ。

新規追加されたピアノ音色は、その容量以外にも注目すべき点が多い。アコースティックピアノ独特の調律方法「ストレッチチューニング」を再現したサンプリングウェーブを採用。鍵盤から指を離してアクションハンマーが弦に戻ったときに発生するキーオフ音(キーオフサンプリング)なども忠実に再現するなど、ピアノ演奏者にはかなりグッとくる表現力を備えている。また、グランドピアノ独特の響きを再現するエフェクト「ダンパーレゾナンス」の搭載にも注目。フットペダル「FC3」(別売)の使用により、ハーフダンパー奏法も可能だ。

搭載される鍵盤は、「S90 XS」「S70 XS」ともにバランスドハンマー鍵盤と、ピアノを演奏したいユーザーにとってはうれしい仕様だ。アコースティックピアノで培ったノウハウを凝縮した、自然なタッチ感と表現力を実現する。イニシャルタッチ/アフタータッチ付きなのもありがたい。ちなみに、76鍵モデルへのピアノタッチのバランスドハンマー鍵盤搭載は、「S70 XS」がヤマハとしては初とのこと。コンパクトで可搬性を重視したデザインながらピアノタッチを実現しているという点でも、アドバンテージがあるモデルとなるわけだ。

■直感的な操作ができるユーザーインターフェイス

前モデルから最も進化を感じさせてくれるのが、より直感的になったユーザーインターフェイスだ。パネル左上のパフォーマンスコントロールボタンは自照式(LED)を採用。パフォーマンスのパート選択やオン/オフ、アルペジオのオン/オフやホールドなどの状態が一目で分かるようになるなど、パネル上のボタンやノブ、スライダーの配置(ユーザーインターフェース)は、演奏中でも直感的に操作できるように徹底的にリファインされている。

「パフォーマンスクリエーター」の搭載も注目だ。パフォーマンスクリエーターにより、気に入ったボイスを元にレイヤーやスプリット、ドラムアサインを簡単に行なうことができる。また、ボイスが持つエフェクトなどの設定をそのまま活用して、シンプルな操作でパフォーマンスを作成することが可能になっている。このほか、演奏中の誤操作を防ぐパネルロック機能や、アルペジオのタップテンポ機能といった、ライブ演奏中に便利な機能もすべてパネル上に用意されている。

■USBメモリーに本体演奏を録音、オーディオファイルの再生も可能

プレイヤー向けの機能として、ライブや練習に活躍してくれるのが「オーディオレコード/プレイ」機能だ。これは、本体での演奏をUSBフラッシュメモリーや本体の内蔵メモリにオーディオ録音したり、DAWソフトウェアなどで制作したオーディオファイルを再生することができる機能。本体にはUSB端子が用意されているので、USBフラッシュメモリーを用意してパソコンとのデータのやり取りがカンタンに行える。

練習時なら、マイク入力端子にマイクを接続して弾き語りをしながら録音、それを聞いて成果をチェックするといった使い方ができる。マイク入力端子はコンボジャックを採用、接続したマイク本体内蔵のエフェクトがかけられるのもほかにはない特徴だ。ライブ時なら、用意しておいたオーディオファイルにより、演奏が難しいパートや効果音の再生などの使い方が考えられるだろう。

録音されるオーディオデータは、44.1kHz/16ビット/ステレオのWAVE形式(再生はAIFFにも対応)。マルチトラック録音こそできないが、パソコンなどに読み込むことで自由に編集ができる。昨今の音楽制作環境を考えれば、理にかなった機能といえるだろう。

■パソコンのDAWソフトウェアのコントロールも可能

パソコンを中心とした音楽制作環境でさらに活用したいのが「DAWリモート」だ。主要DAWソフトウェアのコントロールはもちろん、主要VSTインストゥルメントに対応するコントロールテンプレートを最大50種類本体に保存可能となっている。

このコントロールテンプレートを新たに作成できるソフトウェア「S90 XS / S70 XSリモートエディター」や、スタインバーグ社製DAWソフトウェア「Cubase 4」以降で動作する、音作りや設定が可能な「S90 XS / S70 XSエディター VST」も用意される(いずれもヤマハのWebサイトからダウンロード)。さらに、「S90 XS」「S70 XS」には「Cubase AI 4」が付属するので、パソコンを中心とした音楽制作環境がすぐに活用できるのも新モデルの大きな特徴となっている。

プレイヤー志向のユーザーはもちろん、コンピュータベースの制作環境にも対応できるモデルに仕上がった「S90 XS」「S70 XS」。9月30日までに購入したユーザーには先着でオリジナルUSBメモリ(Sのロゴ入り、2GB)がプレゼントされるキャンペーンが実施中だ。こちらも気になる人は、早めに楽器店の店頭でその実力を試してみてほしい。

◆S90 XS
価格:294,000円

◆S70 XS
価格:273,000円

◆ヤマハ
◆S90 XS/S70 XS 製品情報
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