デビュー・シングルがリリースされる時も、何の変化もなかったんですよ。発売日に行ったら、（お店において）なかったですから(笑)。

『ベスト』は、スネオヘアーと名乗り始めてから10年で初のベスト・アルバムです。初期の曲を聴き直すと、どんな感想がありますか。

スネオヘアー：声が違いますね。歌い方も若いというか……すでに若くなかったですけど(笑)。声が細い気がします。

10年前は、どんなことを考えて音楽活動をしていたんですか。

スネオヘアー：10年前は、ミュージシャンというより、いち音楽ファンとして、自宅で録音するのが好きだったということでしかないですね。ただ曲を作ることが楽しくて、週に5日アルバイトしながら残りの2日はずっと曲を作ってました。"これこそが自分の存在理由だ"という感じでしたね。

ちなみにバイトは何を？

スネオヘアー：赤帽とかやってましたね。

その前は演劇青年だったんですよね。そこから音楽の道を選んだのは、かなり大きな方向転換だったと思うんですが。

スネオヘアー：そうですね。もう28歳とかになっていたし。でもちょうどインディーズのレーベルが盛り上がってきた時期で、宅録の機材も充実してきて……まだまだ高かったですけど……やれることもやりたいこともいっぱいありました。とにかくゼロから始まってるんで、ちょっとしたことでもいい変化なんですよ。たとえば、しょーもないイベントに呼ばれたとしても"ライヴの誘いがあった！"ということだけで盛り上がれるとか。伸びしろしかなかったので、日々新鮮でした。

それが99年で、メジャー・デビューが2002年5月。インディーズ時代は約3年です。

スネオヘアー：2年目ぐらいになると、メーカーからの誘いがいくつかあって、立ち消えになったりすることが何回か繰り返されて。結果的にエピックに決まったんですけど、デビューして華々しく生活が変わるなんて全然思っていませんでした。実際、デビュー・シングルがリリースされる時も何の変化もなかったんですよ。日吉に住んでたんですけど、駅ビルの中に新星堂さんが入っていて、発売日に行ったら、なかったですから(笑)。

あはははは。それはショックですね。

スネオヘアー："す"の棚の"スネイルランプ"の次は、別のアーティストでした(笑)。それで"これはきっと「さ」の行にあるだろう"と思って探したけどなかった(笑)。そんな感じでした。

ということは、特に大きな変化は何もなく？

スネオヘアー：ただ、ミュージック・ビデオを撮ったり、プロモーションをするのは初めてで、ちゃんとしたスタジオで録るのも初めてでした。＜WIRE＞で電気グルーヴを見て徹夜して、そのままスタジオに行って録ったりしてましたね。用賀のスタジオだったんですけど、そのマスターをアシスタントちゃんが消しちゃって大騒ぎになったという事件もありました（苦笑）。それでクビになったって聞いたんですけど、数年後に行ったらまだいたんですよ。やれるもんなんだなって思いましたね(笑)。

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