増田勇一の『今月のヘヴィロテ(8月篇)』

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季節はもう夏を通り過ぎ、9月も残すところわずか。そんな今になって、ふと8月度の「聴きまくり新譜10選」を更新していなかったことに気付かされて愕然としている増田です。言い訳はしたくないのだけども、要するに僕にとってこの8月と9月にはほとんど境界線がなく、ひとつのカタマリのように時間が過ぎ去っていったということ。というか、「境い目なき怒涛の2ヵ月間からなかなか抜け出せなかった」と言ったほうがより正しいのだが。ま、そんなことはともかく、遅ればせながらの10選は以下の通り。

●ミュートマス『アーミスティス』
●MEW『ノー・モア・ストーリーズ…』
●ジョー・ヘンリー『ブラッド・フロム・スターズ』
●ジェット『シャカ・ロック』
●イアン・ハンター『マン・オーヴァーボード』
●コレクティヴ・ソウル『コレクティヴ・ソウル』
●ベヒーモス『母なる福音~エヴァンゲリオン~』
●ドートリー『リーヴ・ディス・タウン』
●スティール・パンサー『鋼鉄の女豹』
●カリ≠ガリ『10』

例によって脈絡のないラインナップだが、僕としてはこれが普通。寝起きにミュートマスを楽しんで、炎天下でベヒーモス聴いて頭のなかも沸騰させたあとは、ジョー・ヘンリーでひと息ついて、夜はイアン・ハンターを聴きながら「やっぱり10月、ロンドンでモット・ザ・フープル観てえよなあ」とか思ったり。そんな日常はごくノーマルなものだと思うんだけども。1日3食、辛いものばかりというわけにもいかないし、ビールだけ呑んで過ごすわけにもいかない。そういうのに似てるのではないか、と。

どの作品もリリースから少し時間が経ってしまっただけに、今さらあれこれ論じることは控えておこうと思うが、とにかくミュートマスは『サマーソニック09』でのライヴ・パフォーマンスも含めて素晴らしかったし、スティール・パンサーにはライヴでも作品でも大笑いさせてもらった。このバンドの場合、音とか曲とかヴィジュアルばかりじゃなく、歌詞にこそ“80年代ヘア・メタルの裏リアル”が凝縮されていて、これを聴きつつモトリー・クルーの自伝とか、ミック・ウォールの書いたアクセル・ローズの“外伝”とかを読んだりすると、妙なタイム・トリップ感というか、時代がかったビデオ・クリップのなかに自分が閉じ込められたかのような錯覚を味わうことになる。しかも単純に作品として聴いていると、この『鋼鉄の女豹』からそのまま続けざまにドートリーの第2作に流れてもまったく違和感がない。ある意味どちらも普遍的、ということか。

国内アーティストでは、消費期限付きの復活を果たしたカリ≠ガリの『10』が、これまたライヴも含めてとても興味深かった。この人たちだからこそ、しかも今だからこそ成立し得たアルバム。そういう作品に出会えたときに、やはり音楽ファンとしての喜びを感じさせられるし、これはまさにそういう作品だった。できれば“期限”を延長して欲しいところだけども、それが叶わないからこそ面白いというのもまた事実なんだろうな。

こうした新譜にまみれながら、8月は計16本のライヴを観た。ちなみに『サマーソニック09』は各日を1本としか数えていないのだが。そんな日常と締切り地獄が背中合わせだったりすると、「日々は恐ろしいほど速く過ぎていくのに、何故か原稿書きからはなかなか抜け出せない」という危機的状況に陥ることになる。そんなわけでこうして見事に更新が遅れた8月度のヘヴィロテだが、9月分についてはかならずこれから1週間以内にアップすることをお約束しておく。

増田勇一
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