増田勇一のライヴ日記『LOUD PARK 09編』(2)

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10月17日、午前10時過ぎに海浜幕張に到着。宿泊予定のホテルに荷物を預けてから会場へ。こういうときは常に、念には念を入れて早めの会場着を心掛けているのだが、入場もスムーズで、早く着くにもほどがあるという感じ。もちろん開演に間に合わないよりはずっといいが。

というわけでこの日は、午前11時に<BIG ROCK STAGE>に登場したBLESSED BY A BROKEN HEARTから、最後の最後、<ULTIMATE STAGE>のヘッドライナーを務めたJUDAS PRIESTまで、大半の出演者のライヴを観た。もちろん演奏時間が重なったために諦めたものもあったし、10分程度しか観られなかったものもあったのだが。

BLESSED BY A BROKEN HEARTは、一番手としての意気込みのほどがひしひしと伝わってくる運動量の多いステージを展開。ただ音量が過剰なほど大きく、耳が痛いほどに感じられる場面もあった。その点、STEEL PANTHERのサウンドはバランスも良く、「持ち時間が短くても、曲数よりはネタを優先させる」という彼らの信念(笑)が貫かれたパフォーマンスが幕張メッセのような巨大空間でも充分に通用するものだということが証明されていた感じ。その途中、<SANCTUARY STAGE>に向かい、LIV MOONの史上初ライヴを目撃。好き嫌いははっきりと分かれることになる気がするが、声域に限界のないあの歌声は、まさに良い意味で反則。逸材は「居るところには居る」ものなのだと痛感させられた。

LIV MOONのラスト1曲を諦めて<ULTIMATE STAGE>のエリアに戻り、久しぶりのOUTRAGEを観戦。11月25日に発売される渾身のニュー・アルバムからは1曲のみの披露にとどまったが、浸透度と即効性の高い楽曲を中心に構成されたセットリストは、彼らの名前をコールし続けたファン以外に対しても効力を持っていたはず。数時間後、階上の楽屋フロアに居た橋本直樹と目が合い、彼が手を振ってきたので、こちらから彼を指差して両手で大きな丸を作って見せると、万歳ポーズのまま飛び上がってそれに答えてくれた。このへんの雰囲気、まさに初めて彼らに会った当時のままという感じだ。

▲LOUDNESSのステージ上でニイちゃんが小脇に抱えていたのは、もしかしてこのヒト? 某ウイスキーの販売ブースにて発見。
以降も、急遽出演の決まったLOUDNESSのステージには貫禄と凄味を感じたし、LED ZEPAGAINも面白かったし(あまりステージに近付かずに、遠目から観ていたほうが似ていて楽しい。しかし歌っている最中はロバート・プラントになりきっているのに、喋り始めるといきなりアメリカ人になってしまうのはいかがなものか)、ジョン・ブッシュをフロントに据えたANTHRAXは期待通りの楽しさだったし、ステージ前に集まった観衆の数はあまり多くなかったが、POISON THE WELLの気合の入った演奏ぶりや真摯さといったものも印象的だった。ARCH ENEMYのステージ後半を諦めて<SANCTUARY STAGE>に駆けつけた甲斐があったというものだ。

ふたつのメイン・ステージのトリを飾ったMEGADETH、JUDAS PRIESTは、いずれも素晴らしかった。デイヴ・ムステインはかなり上機嫌のようだったし、最新作、『ENDGAME』からの楽曲に対する反応も上々。彼自身が現在のバンドの状態に満足していることがステージ上の雰囲気からもうかがえた気がする。僕の勝手な思い込みでなければいいのだが。

『BRITISH STEEL』アルバムの30周年を記念して、同作の完全再現を軸とするライヴを披露したJUDAS PRIESTは、まさに横綱相撲と呼びたくなるようなステージを披露。完全再現と言っても40分程度で終わってしまうわけなのだが、その後もイントロが聴こえてくるたびに思わず声を上げてしまうような曲が並び、終演を迎える頃にはすっかり僕の喉はガラガラになっていた。

▲会場内には超話題のこの映画のブースも。サイン会も行なわれ、大盛況だった。ちなみに彼らの出演は本日、18日。そして余談ながら筆者は、すでに試写を2回観て(そのうえ2回泣いて)いるくせに特別鑑賞券をイキオイで購入。またきっと笑って泣くのでしょう。
いいライヴがたくさんあった反面、ちょっと残念だったのがDOKKEN。他のヴォーカリストと比べてどうのということじゃないし、元々すごい声量や声域を持っている人ではないから、そういった部分では僕もさほど期待はしていなかった。が、フロントマンがあらかじめ主旋律を歌うことを諦めているのは、あまり気分のいいものではない。「ヴォーカリストが必要なのでは?」といった皮肉のひとつも言いたくなってくる。なにしろ思い入れ深い楽曲のイントロに歓喜した次の瞬間、聴こえてくるべき歌メロが聴こえてこないのだから、演奏面でどんなに充実していようと、ジョージ・リンチの飛び入りというサプライズがあろうと、やっぱり盛り上がりに欠けてしまう。とはいえ、充実度の高いステージが多かったぶん、彼の弱い部分が必要以上に目立ってしまった感も否めないところではある気がするが。

ちなみにこの日、終演までに僕が摂取したアルコールは全部で4杯。深夜はホテルの部屋で缶ビールを呑みながら原稿書き。そして本日、10月18日も、当然ながら一番手のDEAD BY APRILからがっつり観るつもりだ。もちろん呑みすぎには注意しながら。

では、また。

増田勇一
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