増田勇一のライヴ日記『LOUD PARK 09編』(3)

続いてH.E.A.Tをちょっとだけ観る。70年代後半から80年代にかけてアメリカにたくさん居たよなあ、こういうバンド…という印象。音楽性よりもむしろ、衣装のセンスとかに北欧の匂いを感じさせられた。フロントマンがもうちょっとフロントマン然としていたら、僕的にはより好印象だったはず。途中で<SANCTUARY STAGE>に覗きに行ったCROSSFAITHは、若さ爆発という感じ。だけども同時に、ややスタイルに埋没気味な印象も。まとまってしまうにはまだまだ早過ぎるし、もっとイビツでもいいんじゃないかと感じた。
LAZARUS A.D.は、「思ってたほどスラッシュ・メタルじゃないや」というのが率直な感想。しかし僕の近くで見ていた若者たちは、それとは真逆のことを言い合いながら盛り上がっていた。世代によってもかなり感じ方の差はあるだろう。彼らにとっては「初めて目にする“俺たち世代”のスラッシュ・メタル・バンド」だったりするのかもしれないのだから。HIBRIAが熱烈な支持を集めているのも、そうしたことと無関係ではない気がする。以前、単独公演で観たときよりもラフな印象ではあったが、決して濁ることのないヴォーカルの抜け具合は相変わらず素晴らしかったし、何よりも楽しそうに演奏しているのがいい。
その後は何故かえらく知人遭遇率が高く、「ちょっと一杯」な感じの流れになったり、「一杯が二杯」になったりすることも多々あって、あちこちつまみ食いするようにしながら過ごす。HATEBREEDもNAPALM DEATHも相変わらず強烈だったけども、正直、疲労感が溜まってきたのも事実。PAPA ROACHも及第点はクリアしていたけども、ここ数年、欧州のフェスなどで観てきた彼らのライヴの強力さを基準に考えると「このバンドは、こんなもんじゃない!」というのが率直なところ。彼らがもっと本領を発揮できる機会が、そう遠くないうちに到来することを願いたい。
その後はふたたび<SANCTUARY STAGE>に移動してANVILを観戦。3人編成になって音は薄くなっているはずなのに、そのぶん各自のキャラクターが色濃く感じられるようになったという印象も。オープニングからいきなりステージを降りて熱演していたリップスは、明らかにはしゃいでいたんだろう。ぶっちゃけ、「ものすごいバンド」ではない。が、映画の一件によるところが大きいのは確かだけども、「すごく感情移入できるバンド」という言い方はできるんじゃないだろうか。あとで聞いた話だけども、SLAYERのトム・アラヤは彼らの演奏を、ステージの袖からずっと観ていたらしい。
さて、その後も当然のごとくCHILDREN OF BODOMを覗いたり、呑んだり、ROB ZOMBIEを観て、また呑んだり……と繰り返しながら第二夜を過ごすことになった。ROB ZOMBIEの良い意味での単調さはとてもフェス向きだと思うのだが、ライヴ自体の盛り上がりは、濃いファンばかりが集結していた15日の単独公演のほうが上だったような気が。彼についても、またすぐにでも日本に戻ってきて欲しいところだ。
そしてSLAYERについては、また改めて。
増田勇一
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