「この声、世界遺産」――ハナレグミ、ライヴもまた世界遺産級

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6月24日にリリースしたニュー・アルバム『あいのわ』を引っ提げ、9月より全国ツアーを行なっていた永積崇のソロ・ユニット“ハナレグミ”が、10月28日に日本武道館にて<TOURあいのわ「タカシにはその器はないんじゃないかしら…」と母は言ったのであった。>と題したファイナル公演を行なった。

◆ハナレグミ、日本武道館公演ライヴ写真

会場に入り席に着くと、まずは賑やかなステージセットが目に飛び込んできた。ステージの床には様々な形のラグが敷き詰められ、天井からはいくつものカラフルな紐が垂れ下がっている。楽しげなステージに目を奪われていると、突然客電が落ち、暗がりの中ぼんやりと永積の姿が浮かび上がった。

客席からの大きな拍手に迎えられた永積は、薄明かりの中、1曲目「360゜」で静かにライヴをスタート。彼が歌いだすと同時に、さっきまで賑やかだった会場は瞬く間に静まり返り、一同に彼の歌声に聴き入る。続く「あいのわ」のイントロで、会場の雰囲気が一気に明るくなると、途端にオーディエンスは体を解放するかのように踊り出す。しっとりとした曲では物音1つしなくなるほど静まり返り、アップテンポな曲では、まるでカーニバルかのように踊り出す客席の極端さも、ハナレグミのライヴの魅力の1つだ。「愛のメロディ」では、東京スカパラダイスオーケストラよりスカパラホーンズがゲストで登場。大合唱が起こった「音タイム」では、会場にこだまするオーディエンスの歌声に、永積は「ひとつ屋根の下ってこういうことか~」としきりに実感していた。

「あら、びっくり。今日(動員数)9,000人だって。ちょっと(上の席の人たちが)落ちそうで怖いんだけど(笑)」とステージから見渡す風景を楽しみながら、その後もスペシャル・ゲストとして登場したアルバム『あいのわ』参加アーティストたちとライヴを展開。「…がしかしの女」では、“マダム・ギター”こと長見順が永積と共にソウルフルな歌声を響かせ、「さらに盛り上げるためにやってきました!」と登場したスチャダラパーのBOSEは、「あいまいにあまい愛のまにまに」の曲の間にスチャダラパーのヒット曲「今夜はブギー・バック」のフレーズを挟み込むというアレンジで、オーディエンスを喜ばせる。会場からも「よくなく なくなく なくなくない?」と声が上がるなど、宣言通りライヴを盛り上げた。

「Peace Tree」でAFRAのヒューマンビートボックス、BOSEのラップ、永積の歌という異色の組み合わせを楽しんだ後は、「マドベーゼ」「家族の風景」といったナンバーで永積の歌声をじっくり堪能。まるで声に吸い込まれるかのように、歌の世界に引き込まれた。

男性ファンも多い永積のライヴでは、女性ファンだけでなく男性ファンからも頻繁に低い声で「タカシ~」と呼びかけられることから、「「タカシ」(という呼びかけを)を聞きにきたみたいになってるな(笑)」と、永積本人も客席の反応を喜んでいた。

アンコールでは、東京スカパラダイスオーケストラのドラム・茂木欣一と、徳澤青弦カルテット、スペースドーターズを迎え、「光と影」を披露。そのほか「うららかSUN」「あいのこども」を演奏し、「まだ、ぜひぜひみんなで盛り上がりましょう。本当に今日はどうもありがとうございました」と、最後は会場全員で一本締めをして締め括った。

唯一無二の歌声と異国情緒たっぷりの演出で、人々を魅了し、楽しませ、幸せにする。「この声、世界遺産」と表現されるハナレグミは、心躍らせるライヴもまた、世界遺産級の素晴らしさだ。

◆ハナレグミ オフィシャルサイト
◆iTunes Store ハナレグミ(※iTunesが開きます)
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