Diggy-MO'、言葉より多くを語る美麗なバラード「Arcadia」特集

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Diggy-MO' SOUL'd OUTのメインMC、Diggy-MO'渾身の一曲特集

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INTERVIEW

「聴いてる人が音楽を聴いて元気が出たとか、そういう簡単なことを伝えるためには、こういうところを中心にやっちゃいけないと思ってる」

――「爆走夢歌」(2008年11月発売)でソロ・デビューしてからちょうど1年がたちました。アルバムも出して、ツアーもやって、今はどんなモードですか。

フラットになれたんじゃないかな、やっと。いきなり“ソロやります”ってなってから、どうしてもフラットじゃない部分があったから。しかもあんまりそこに、体のいい言い訳をしていかなかったので(笑)。

――確かに(笑)。ほとんど説明せずに突っ走ってきましたね。

説明したくなかったんですよ。それより、楽曲をもって真摯に説得力を出していくほうが、キツイけどそのほうが本当じゃん? と思って、フラットを目指してやってたので、まずは。だから「爆走夢歌」で伝えたいことが、ようやくみんなの中にスッと入ってきた部分はあるんじゃないかな、とか思ってたりはするんだけど。時を経て冷静に、みんなの中で楽曲自体をちゃんとメイク・センスできる状態に、「Arcadia」でやっとなったかなという気はする。

――そう、まさにそうなんですよ。ニュー・シングルの「Arcadia」に収められた3曲を聴くと、今になってよくわかるというか。あえて言うと、ずっと同じことを言ってきた気がするんですよ。特にシングルでは。「爆夢」(爆走夢歌)から始まって、「JUVES / VEGA」(2009年2月発売)があって…。

「JUVES」の中に、童貞性の言葉を入れてるしね。だから今更どこから来たの?っていう話じゃないんですよ。

――「ToMiTaMi ToMiTaMo」(2009年8月発売)だって、あの子供の声が象徴しているものとか…。

日々の美しさがどうのこうの、とかね。

――ずっと同じラインをたどって深めてきているのがわかって、あらためて“こりゃすごいわ”と。

今回のカップリングの「LOVE KILLS DREAM KILLS」では、「ALIVE」(2005年12月発売/SOUL'd OUT)の詞をぶつけてたりもするしね。あれは結局、アンサーにしたんだけど。そういうのを考えると、「ウェカピポ」(2003年1月発売/SOUL'd OUT)からそんなに変わってないですよ。ツアーの1曲目を「NOSTALJANE」(2009年3月発売/ソロ・アルバム『Diggyism』収録曲)から始めた意味もちゃんとあったりね。

――そういうテーマやメッセージの整合性って、綿密に考えるんですか。それとも自然に出てくるもの?

いや、必然的にそうなりますよ。だって、素直にやってりゃ変わんないもん。整合性は勝手に出てくるでしょって。だって同じこと言ってるんだもん、ずーっと(笑)。“ここでこんなふうにつながってるから、ここであえてこれをぶつけて”とか、そんなことを考えてなくても、必然的にそうなりますよね。ただあんまり説明しないからね、俺の場合。リスナーにとってはあんまり優しくないよね。わかりにくいんだろうね。

――わかりにくいというか…。

あとで、わかってくるんだよね。

――そうそう、そういうことだと思います。

でもね、その時にはあまり急がないというのは、自分の中ではいいことかなと思ってるから。購買意欲とかさ、そういうことを考えるんであれば、言っていったほうがいいんだろうけど(笑)。

――アーティストがそんなこと考えなくていいですよ(笑)。あと、大事なところをサラッと英語で言っちゃったりするじゃないですか。「LOVE KILLS DREAM KILLS」の最後のフレーズとか。

そうなんですよね。

――そこは意識してるんですか。一番思想的な部分というか、この曲を書いた動機というか、そこをあえて日本語で言わない意味とか。

あるある。あのね、それは伝わんなくていいところだったりもするから。説明すれば、“ああ、こういうことを考えてるのか”っていうことになるんだろうけど…なんかね、そこを中心にやっちゃいけないっていうのがすごいデカくて。たとえば「LOVE KILLS DREAM KILLS」の最後のところは、すごいアイロニカルな部分で、一応、疑問提示で終わってるけど、そこよりもっと伝えたいことがあって。聴いてる人が音楽を聴いて元気が出たとか、そういう簡単なことを伝えるためには、こういうところを中心にやっちゃいけないと思ってるのね。こういうところばっかり中心に、日本語にこだわってる人っていうのは、結局自分の内省的な鬱憤を話してるだけで、本当に音楽が好きだと言ってくれる人のことを考えてないと俺は思ってるのね。

――ああ、なるほど。

もちろん、どうでもよくはないんだけど、“俺はこういう気持ちでやってるんだけど”っていうことだけなんですよ、その部分は。そこよりももっと大きくてさ、俺としてはもっとこう…俺がみんなの目に映ってる様は、ひどい感じだろうけどさ。

――そんなことないですよ。まあ、愛想がいいとは言えないですけど(笑)。

コノヤロー、バカヤローとか言ってるけどさ(笑)。でも俺的には、ユーザーをみんな抱きしめてるんだよね。いつも、そういうふうに言ってるつもりなんだけどね。

――わかってますよ。

だから、“俺の皮肉ごとなんか英語でいいんだよ”っていうのは、すごいあるんだよね。そんなことは肝心じゃない。それは俺の勝手な想いだから。表現者としてのエゴの部分で、そういう言葉を一応投げかけてはいるんだけど、本当にユーザーの人生に、音楽を通して、プラス・アルファを与えたいという想いがあるから。俺は何のためにやってるのか?を考えると、「Arcadia」のような、きちっと日本語でわかる曲のほうが、いちばんスッと心が通うかなと思うんだよね、お互いに。エゴじゃなくて。そういうほうが本当な気がするけどね、っていう感じかな。「爆夢」もそうだったしさ。

――そうですね。

“俺は今超幸せなんだよね”っていう人は、この「Arcadia」を別に聴かなくていいんだよ。究極のことを言うと。でもたとえば俺も、人が生きる人生を見て“俺も同じだ”と思ったりしたし、もしも18~19歳の少年が――誰でもいいんだけど――生きにくいと思っているならば、もしかしたらこの曲が届くかな、ということなんだけどさ。別に、いまツラくなくてすごいハッピーでっていう人には、この曲はいらない。俺はずっと、限りなく狭い中でタイトなコミニュケーションをとろうとしていると言ってるのは、そういうことなんだよね。

――歌詞で言うと、【今、俺、君の歌、歌うのさ】というところですね。【生きることが困難で胸張り裂けそうな時、悲しみに寄り添うよ】と。この曲を含めて、今回は「Arcadia」「Drifting Away」「LOVE KILLS DREAM KILLS」の3曲あわせてコンセプト・シングルという打ち出し方をしてますよね。そしてそのテーマが“パンク”だと。パンクというのは、アティテュードとしてのパンクということですよね。

そうそう。パンクはギターじゃないから。バンドでもないから。それは、最初にパンクをやった人がいちばんよくわかってたんじゃないかと思うけど。結局、精神を持ってきてカテゴリー・ワードになったということだから。で、パンクっていうのは童貞性だから。

――そう、実はその話はもう僕は一度聞いてるんですけど、パンク=童貞性と喝破されたのは、目からウロコでした。

見ました? 『ロンドン・コーリング』。

――まだ見てないです。

いいですよ。あんなに生真面目な人たちはいないんじゃないかと思うけどね。いわゆるパンク・ロッカーという人たちは。みんな、嘆きだからね。ジョン・ライドンにしても、誰にしても、結局。ただね、ロックとかパンクとか言い出すと、みんなすぐにそういう耳になっちゃうじゃん。でもそういうことじゃないっていうね。“そうか、パンクとかロックのモードなんだ”“いやいや、そういうことじゃなくて”って。とはいえ、わかんないけどね。

⇒ INTERVIEW part-2

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