増田勇一の『今月のヘヴィロテ(11月篇)』

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日本ではまだまだ無名に近いカナダのスーパースター、ビリー・タレントの新作も大きな飛躍を予感させる充実作だったし、名前のごとくユル~い感じのジェームズ・ユールの音楽は“フォークトロニカ”とか形容されているようだけども、なんだかハイテクなコタツのような感触。デジタルな身軽さとアナログなヌクヌク感が同居していて気持ちいい。日本盤の登場が遅れているジョン・メイヤーの新作は、シブさよりもわかりやすさが重んじられた作風で、全米チャート初登場首位奪取も納得といったところ。

ブレット・アンダーソン(スウェード)のソロ第3作には、なんだか清春の近年の作品にも重なる匂いを感じさせられたし、サンフランシスコで手に入れたジェロ・ビアフラの新バンド(!)のアルバムについては、帰りの飛行機で聴きまくっていたら眠れなくなった。ちなみにこのバンドでベースを弾いているのはビリー・グールド(フェイス・ノー・モア)。やっぱり出張先でもCDショップ探索を怠るべきではないな、と痛感。ちなみに同じタイミングで購入したのは、ちょっと前に出ていたらしいハウイー・デイの新作。こちらもとても良かったが、リリースから時間が経っているようなので選外としておく。加えて、フー・ファイターズのベスト・アルバムもよく聴いた。日本盤ボーナス・トラックとして収録されているウイングスのカヴァー、「バンド・オン・ザ・ラン」は必聴でしょう。

そして師走が到来した途端、ゼム・クルックド・ヴァルチャーズをはじめ超強力な新譜が続々とリリースされているが、僕の頭のなかで鳴り止まずにいるのがDIR EN GREYの「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」であることは言うまでもない。年間ベスト・シングルは、これで決まりかな。

増田勇一
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