[クロスビート編集部員リレー・コラム] 編集長大谷編「キッス」

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キッスが新作『Sonic Boom』を発表した。新作に加えて15曲入り新録のベスト、6曲入りアルゼンチンのライヴDVDという大サービスが功を奏してか、バンド史上最高という全米チャート2位を記録。実に11年振りとなるこの作品は、ヘヴィ・メタル然としたギターが惜しまれる出来だが、このリリースを機に過去の音を紹介してみたい。

キッスの全盛期と言えば70年代だ。ニルヴァーナもダイナソーJr.もカヴァーしていたように、当時の子供はみんな大ファンだった。多くの人が知っているのは、アルバムでなら『地獄からの脱出』辺りまでだろうが、実はそれ以降にも隠れた力作がある。

まずは80年の『仮面の正体』。キッス史上最もポップな音はハード・ロックの醍醐味こそないものの、それでも「シャンディ」「トゥモロー」などポール・スタンレーのメロディ・メイクは冴えている。

『仮面の正体』の反動もあってか、82年の『暗黒の神話』はハード&ヘヴィ。この発表時にはオリジナル・メンバーのエース・フレーリー(G)もピーター・クリス(Dr)もいなくなっていたが、キッスらしさはまだ健在。弾けるポップさはない代わりに、「アイ・ラヴ・イット・ラウド」「ウォー・マシーン」など、重量感溢れるバンド・サウンドとジーン・シモンズのヴォーカルが迫力満点である。チャート的には不発に終わったが、かなり愛聴した作品なので、ぜひ。

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