12月19日(土)から全国100館規模にてアンコール上映となった映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』。DVD/Blu-ray発売となる2010年1月27日(水)以降は、この映像は各家庭にも浸透していくことになる。何度も何度も繰り返しマイケルの魅力とほとばしる才能を堪能するリスナーも多いことだろう。

ここでは、そんな『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』に登場している、ひとつの輝く才能を紹介したい。女性ギタリスト、オリアンティである。

◆『THIS IS IT』でプレイしていた若き女性ギタリスト、オリアンティ ~画像編~

『THIS IS IT』ではブロンドのロングヘアーをなびかせて、ガッと大またを開き豪快にリフを弾き倒す姿に、つい目を奪われたロック・ファンもいるのではないか。ハードエッジなサウンドにテクニカルなプレイ、手にしているギターはポール・リード・スミス…一瞥してテクニカル系女性ギタリストだと分かる反面、あまりに唐突な女性ギタリスト・ヒーローの登場とその極端な情報不足に、彼女への思いをもてあましていたことだろう。


『THIS IS IT』にフィーチャーされたオリアンティは、現在24歳。2009年グラミー賞授賞式でキャリー・アンダーウッドとのパフォーマンスをみたマイケル・ジャクソンは、オリアンティに連絡を取った。ロンドン02アリーナで行なうコンサートでプレイしてほしいとオファーしてきたのだ。映画の中でも「ここのソロ・パートはキミが主役になる瞬間だ。もっと高く!もっと!」と、マイケルとの共演を果たしている彼女だが、実はこれまでも相当のキャリアを積んできたプレイヤーでもある。

偉大なるギタリストを多数輩出した80年代に育ったオリアンティは、ホワイトスネイクやヴァン・ヘイレン、デフ・レパードも愛聴していた。かつてバンド活動をしていた父親のおかげで、家の中には様々な楽器が所蔵されていたという。ギターをマスターするのはごく自然な流れだったのである。

「11歳の時に、カルロス・サンタナのライヴを観たんだけど、そのショウにもの凄く感化されたのよ。私はカルロスみたいになりたいからって父におねだりして、中古のエレクトリック・ギターを買ってもらったの。それっきり、もうアコースティックには見向きもしなくなったわ。それから私はカルロスのVHSビデオを買い集めて、何度も何度も巻き戻しては彼のソロをマスターしようとしてたの。もうどのテープもみんな完全に伸びちゃったわよ」。


それから約7年後、カルロス・サンタナが再びツアーで訪れた時、彼女の音楽を耳にしたカルロスの弟が、サウンドチェックの最中に対面を取り計らってくれた。このサウンドチェックの間のジャムにより、オリアンティは本番のステージに招かれ、35分ほどもプレイしたばかりか、地元の観客の前でソロまで披露したのだ。その後もスティーヴ・ヴァイやZZトップ、プリンスといったアーティストたちとのライヴやツアー・サポート、ゲスト参加を多数こなしながら、オリアンティは忙しい日々を送ってきた。

ハードエッジなサウンドと十分なサステイン、タッピングも多用し、折を見て速いパッセージを繰り出す彼女のスタイルは、いわば女流スティーヴ・ヴァイといったところか。ネットで公開されている映像を見るだけでも、マーシャル、レクチ、エングル…とその使用アンプのキャラクターからもサウンドの方向性が見て取れるだろう。

だがポイントは、オリアンティにとってギターだけが表現の手段ではないところにある。マイケル・ジャクソンから連絡をもらう以前から、彼女は既にソロ・アルバム『Believe』の制作を開始していた。この作品の中で彼女は歌い、曲を書き、自分のバンドを率いている。現代のパンチの利いたガール・パワーをそこら中のフレーズにちりばめながら、オリアンティ印のロックは、あまたの新人が繰り出すサウンドの品質を軽く飛び越えている。エヴァネッセンスやアヴリル・ラヴィーン、パラモア、あるいはテイラー・スウィフトの持つ魅力を、ケタ外れのスケール感で取り込み咀嚼し、そしてストレートに吐き出す強烈なインパクトだ。

オリアンティはソロアルバム『Believe』で日本デビューを果たす。発売日は、『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』発売日と同日、1月27日(水)だ。全13曲には、キャッチーなガールズロックから、90年代のテクニカル・ギターインストをそのまま現代に持ち込んだ作品まで、ロック・ファンを狂喜させるエナジーに満ちている。アルバムにはゲストとしてスティーヴ・ヴァイやデスモンド・チャイルドの名前が列挙されている。これは見逃すわけにはいくまい?