Jeepta自主企画ライヴ<無限階段 二段目>で見せた「ロック」のカタマリ

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今後の日本のロックを牽引していく可能性を秘めたギターバンドのニューカマーが、数多くシーンの中から浮上してきた2000年代最後の2009年。中でも、6月に1stフルアルバム『傾向と対策』をリリースしたJeeptaは、その独特の歌詞の世界とメロディアスでありながらもエキセントリックで激しいギターサウンドで注目を集め、その衝動に満ちたパフォーマンスによって、ライヴを重ねるごとにその支持を広げてきた。そんな彼らが躍進の年を締めくくるべく、12月18日、Shibuya O-Crestで自主企画ライヴ<無限階段 二段目>を開催した。

◆Jeepta自主企画ライヴ<無限階段 二段目>で見せた「ロック」のカタマリ

<無限階段>の開催は2009年3月に続いて2回目。この日は、歌心に溢れたソウルフルなギターロックが身上の先輩バンドcutman-booche、独自のダンスロックを奏でるAFRICAEMO、日本土着のメロディと言葉にこだわったSEGARE、さらにオープニングアクトのASSANDRAと、音楽的ルーツも方向性も異なる個性の強いアクトが集合した。ちなみにJeeptaのサトウヒロユキ(Bass)はMCで「僕個人のイメージですけど、ASSANDRAがヨーロッパで、AFRICAEMOが名前はアフリカだけどブラジルとかの南米で、SEGAREが日本で、cutman-boocheがアメリカ中部の北の方って感じで、本当に世界一周みたいなバンドに集まっていただいて(笑)、本当に嬉しいです。あれ? じゃあ、Jeeptaはどこなんだろう?」と語っていた。

最後にステージに現れたJeeptaは、その言葉の通り、ますます得体の知れない「ロック」のカタマリとしか言いようのないエネルギーを発していた。2009年11月に新ドラマーとして小笠原大悟が正式加入したばかりの彼らだが、そのバンドサウンドは鉄壁。バラバラな個性がステージ上でひとつになっていくカタルシスがそれまでのJeeptaのライヴだとしたら、この日のライヴは最初からメンバー4人全員でひとつのゴールに向かっていくような直線的な勢いに満ちたストロングなものに変化していた。そして、そんなタイトなバンドサウンドの中で、独創的なフレーズを次から次へと繰り出すchoro(G)の変態的なプレイはますます冴えわたっていた。

「心」「シナリオ」といったお馴染みの曲に加えて、「日進月歩」「向こう」という二つの新曲も演奏されたこの日のセット。静かにリズムが刻まれる中、極上のメロディを歌いあげる「向こう」における石井 卓(Vo、G)の温かな歌声は、このバンドの新境地と言えるものだった。MCでも発表されていたように、2010年の春頃には新しい音源がリリースされるというJeepta。2010年のさらなるステップアップを確信した一夜だった。

文:宇野維正
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