<スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR>、新しい10年の幕開けに鳴り響くロックンロール

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2010年で4回目を迎えた<スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR>。今回は、THE BAWDIES、andymori、avengers in sci-fi、SISTER JETという、それぞれ独自のアティチュードとメソッドを掲げながらロックンロールの本質を力強く射抜く4バンドが顔をそろえた。

◆<スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR>画像

まさに“ロックンロール・パーティ”と呼ぶにふさわしいこのツアーのチケットは、全公演ソールドアウト。1月8日の札幌:ベッシーホールからスタートし、その後、新潟、福岡、名古屋、仙台、大阪、広島と廻り1月23日、赤坂BLITZでのファイナルを迎えた。もちろん、この夜もフロアは超満員。開演前から充満していたオーディエンスの熱気は、新しい10年の幕開けに鳴り響くロックンロールへの期待と昂揚の表れだったと思う。

▲SISTER JET
▲avengers in sci-fi
▲andymori
▲THE BAWDIES
トップバッターに登場したのは、SISTER JET。3人のメンバーはフラッグと“HELLO”“JETS”と手書きで書かれたボードを手にして表れ、オーディエンスの大きな歓声を浴びた。

1曲目の「恋してクレイジー」からキュートかつセクシーなムードを纏いながら、ワイルドなグルーヴ感をもって踊らせるバンドのキャラクター性は全開。センチメンタルな芳香に満ちたメロディ・ラインがオーディエンスとの濃密なコミュニケーションを求めるようにしてダイナミックに転がっていくその響きに、彼らの音楽に対する愛情と決意をまざまざと感じた。

ラストはヴォーカル&ギター・ワタルの「SISTER JETがみんなのそばにいるよという曲をつくりました」という言葉とともに2月3日にタワーレコード限定でリリースされるワンコインシングル「MR.LONELY」を披露した。

続いて登場したのは、avengers in sci-fi。いま、ダイレクトに“未来のロック”を感じたいのであれば彼らのサウンドへ飛び込まない手はない。得がたい刺激と興奮を生む、ハイスピードのスペイシー・ロック。この日もまるでそのサウンドスケープで、会場ごと未体験の異空間へ連れていくようなライヴを展開。

3人のメンバーが様々なエフェクターやシーケンサーに人力のプレイヤビリティを注入することで生まれる特異のダンス・グルーヴに、フロアは終始熱狂の渦と化した。avengers in sci-fiのライヴは、エレクトロニクスとヒューマン・パワーが有機的に融合する理想の未来像をも提示している。

スキーター・デイビス「End of the World」の美しくノスタルジックなメロディに包まれて静かにステージに現れたのは、andymoriだ。3人はその音楽性を象徴するような同列に並ぶステージ・セットの定位置に立つと、三位一体の、ものすごい熱量を発しながらオーディエンスを引き込むサウンドで疾走していった。

脳内で息吹き続ける様々な“いつか見た忘れがたき風景”をシームレスに同居させることで生まれる、誰しもが住人になることが許される世界。その愛おしき世界が壊れないように、何にも侵されないように、彼らはキャッチーに躍動し続けるロックンロールを鳴らす。そこにオーディエンスも身体を揺らし、手を挙げ、踊ることで呼応していた。

中盤から後半にかけては1月のPower Push!に選ばれた「CITY LIHTS」をはじめ、最新作『ファンファーレと熱狂』からのナンバーを中心に披露。ラストのフォーキーな「1984」から零れ落ちる感動いったら、なかった。

トリを務めたのは、THE BAWDIES。オーセンティックなロックンロールのソウルを見事なまでに現代に蘇らせ、さらにコンテンポラリーなパーティ・ミュージックとしても機能させることで、昨年痛快なまでの大躍進を遂げた彼ら。とどまることを知らないその勢いは、この日のライヴでも如実に表れていた。

小学校からの同級生を中心に結成されたメンバーだけあって、タイトでタフなグルーヴを形成するサウンドにおいても、爆笑を誘うMCにおいても、すべてに阿吽の呼吸が貫かれている。中盤、スウィートな「I’M IN LOVE WITH YOU」から新曲、そしてジャクソン5へのオマージュを感じさせる「EVERYDAY’S A NEW DAY」へとつなげる流れのなかで見せた、鮮やかなポップネス。「IT’S TOO LATE」から本編ラスト「YOU GOTTA DANCE」で到達した、ロックンロール・パーティとしての最高潮。そのステージングには最早貫禄のようなものさえ感じた。

そして、最後に待っていた、臨界点のようなアンコール。4バンドの全メンバーがステージに登場し、レイ・チャールズの「WHAT’D I SAY」をカヴァー! そこにはもう、ステージとフロアの境目などなかった。あるのは、ロックンロールで踊りたいという衝動、ただそれだけ。その光景を見て確信した。2010年、日本のロック・シーンはもっとすごいことになる。

全国8ヵ所のファイナルを飾ったこの東京赤坂BLITZの様子は、2月16日(火)24:00~25:30他でスペースシャワーTVにてオンエアされる。

<スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2010>
2010年1月23日(土)
@東京赤坂BLITZ

●SISTER JET
M1 恋してクレイジー
M2 DJ SONG
M3 hello goodbye days
M4 さよならポケット
M5 to you
M6 LaLa Dance
M7 MR.LONELY

●avengers in sci-fi
M1 Homosapiens Experience
M2 Beats For Jealous Pluto
M3 Radio Earth
M4 Starmine Sister
M5 Universe Universe
M6 Hyper Space Music
M7 NAYUTANIZED

●andymori
M1 ベンガルトラとウィスキー
M2 everything is my guitar
M3 僕が白人だったら
M4 クレイジークレーマー
M5 16
M6 ビューティフルセレブリティー
M7 CITY LIGHTS
M8 FOLLOW ME
M9 すごい速さ
M10 1984

●THE BAWDIES
M1 KEEP ON ROCKIN'
M2 EMOTION POTION
M3 I'M IN LOVE WITH YOU
M4 新曲
M5 EVERYDAY'S A NEW DAY
M6 TINY JAMES
M7 IT'S TOO LATE
M8 YOU GOTTA DANCE
EN1 新曲
EN2  I BEG YOU
EN3 WHAT'D I SAY
(出演バンドのメンバー全員セッション)

<スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2010>
1月8日(金)札幌:ベッシーホール
1月10日(日)仙台:MA.CA.NA.
1月11日(月・祝)新潟:JUNK BOX mini
1月14日(木)大阪:心斎橋CLUB QUATTRO
1月16日(土)福岡:DRUM SON
1月17日(日)広島:ナミキジャンクション
1月19日(火)名古屋 CLUB QUATTRO
1月23日(土)東京:赤坂BLITZ

■SPACE SHOWER TV「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2010」
放送日時:2/16(火)24:00~25:30(初回放送)
2/19(金)26:00~、2/25(木)25:00~、3/4(木)26:30~
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