[クロスビート編集部員リレー・コラム] 荒野編「ザ・ジャームス」

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LAのパンク・バンドで最も早く作品をリリース(1977年)、その後のハードコア勢にも多大な影響を及ぼしたザ・ジャームス。後にニルヴァーナ~フー・ファイターズで活躍するパット・スメア(G)が在籍していたバンドとしてもお馴染みだろう。そのパットも協力して制作された2007年の劇映画『ジャームス 狂気の秘密』が2009年12月に渋谷シアターNでレイトショー公開。1月20日にはDVDもリリースされた。

主人公はシンガー、ダービー・クラッシュ。バンド結成から1980年12月に自殺するまでの歩みを、TVドラマ『ER緊急救命室』などでお馴染みのシェーン・ウェストが好演している。映画で使用された楽曲も、再結成したジャームスをバックにシェーンが歌ったもの(これを機にシェーンを含む編成でワープト・ツアーへの出演も果たした)。シェーンはダービーよりも明らかにイケメンだが所作や表情をよく研究しており、破壊的なキャラクターとナイーヴな素顔とを丁寧に演じ分けている。

ろくに演奏もできないのにライヴ出演を取り付けてザ・ダムドの前で失態を演じたり、スラッシュ誌にアルバムの制作を持ちかけて「先にXのアルバムを出すから」と渋られたりと、パンク・ファンならニヤリとせずにいられないシーン多数。レコーディング中にプロデューサーのジョーン・ジェットが爆睡している場面にも驚いたが、どこまで史実通りなのかはともかく、当時の熱気が全編に充満していることは確かだ。LAパンク・シーンをここまで身近に感じさせてくれる劇映画は他にない。

◆クロスビート最新号(オフィシャルサイト)
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