ジブリの名曲をトーキング・モジュレーターでロボ化

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ジブリの名曲をロボ声にのせてお送りするというコンピアルバム『ロボジブリ トークボックスby Como-Lee』がリリースとなった。タワーレコード、HMVなどでは3月17日から発売となるが、2月3日からヴィレッジ・ヴァンガードとAMAZONでは先行発売が始まったところだ。

ジブリのあの曲をロボ声でカバーというこのコンピ、ジャケットも面白い。よくよくみると、そのようなそうじゃないような、微妙で絶妙なキャラが満載。言ってみれば、ロボの宅急便、となりのロロボ、崖の上のロボ、もののけロボ、風の谷のロボシカ…もういいか。

とはいえ、このロボ声、制作者サイドにはちょっとこだわりがある。一般的にロボ声といえば、何を思い浮かべるだろうか。初音ミクのようなボーカロイド? それともPerfumeのようなオートチューン? あるいは、YMOのようなボコーダーサウンド?

初音ミクに代表されるボーカロイドは完全な音声合成技術によるもの。完全な肉声にまで到達していない発展途上の技術であり、ロボ臭さがぬぐえないというものだ。一方、Perfumeに代表されるオートチューンは、レコーディングにおける音程補正のための縁の下の力持ち系エフェクターなのだが、これを極端なセッティングで使うと生声がロボ臭い音に変貌してしまう。逆手にとって、その特性を積極的に活用したのが、このロボ声だ。そして、ボコーダーというのは、人間の声をマイクから拾い、リアルタイムに楽器音と置き換えて出力するというもの。人間が発した声を鍵盤でプレイするイメージだ。これも人間の声素材が機械を通って楽器として音になるため、独特な機械的な声となる。

で、この『ロボジブリ トークボックスby Como-Lee』。実は上記のどれでもない手法でロボ声を作り出している。タイトルにあるように、トーキングボックス、いわゆるトーキング・モジュレーターを使用しているのだ。

トーキング・モジュレーターとは、1970年代に一世を風靡したエフェクター。当時のギタリストがしゃべっているようなプレイをしていれば、それはほぼ間違いなくトーキング・モジュレーターだ。ジェフ・ベック「She's a woman」「Superstition」、ピーター・フランプトン「Show me the way」、エアロスミス「Sweet Emotion」、そしてボン・ジョヴィ「Livin' on a prayer」のイントロ部でうわうわ、うううわ♪というギタープレイも、トーキング・モジュレーターの代表例のひとつ。

ギターやシンセなどの音を普通のビニールチューブで口の中に伝え、口の形でその音(トーン)を変化させるのがこのロボ声の作り方。チューブ管をくわえて口を動かすため、よだれが流れちゃったりしたりもして、ちょっとマヌケな要素もあり。口の中で爆音を響かせるため、長時間行なうとバカになるという都市伝説が生まれたほどだ。

口をどのように動かすかでトーンが変わるため、プレイヤーのセンスで出来が左右する点は、きわめてアナログ的で人力なエフェクターである。そのかわり、楽器の音が本当にしゃべっているかのような生々しくてリアルなロボ声が作り出せる面白さがある。

そんな人力エフェクターにこだわって徹底的にロボ化させたのがこの『ロボジブリ トークボックスby Como-Lee』なのだ。よだれと頭痛を乗り越えながら(たぶん)、他のロボ声とは比較にならないほどのワザと忍耐をもって完成させた当アルバム。どうぞ、お楽しみを。


『ロボジブリ トークボックスby Como-Lee』
PCD-18614 2,300円(税込)
2010年2月3日 ヴィレッジ・ヴァンガード、AMAZON先行発売
2010年2月17日 タワーレコード、HMV他発売

01.風の谷のナウシカ(「風の谷のナウシカ」より)
02.カントリー・ロード feat. masa inoue (「耳をすませば」より)
03.やさしさに包まれたなら feat. Shifo(「魔女の宅急便」より)
04.崖の上のポニョ(「崖の上のポニョ」より)
05.The Rose feat. masa inoue(「おもひでぽろぽろ」より)
06.アジアのこの街で(「平成狸合戦ぽんぽこ」より)
07.君をのせて feat. Shifo(「天空の城ラピュタ」より)
08.もののけ姫(「もののけ姫」より)
09.ナウシカのレクイエム feat. hibiki(「風の谷のナウシカ」より)
10.テルーの唄(「ゲド戦記」より)
11.めぐる季節 feat. 名取香り (「魔女の宅急便」より)
12.No Woman , No Cry(「ギブリーズ episode2」より)
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