ASKA、ミステリアスなタイトルの普遍的なセルフカヴァー作品集『12』

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タイトルについて触れておこう。全12曲収録で『12』。…ではあるのだが、一方でASKAは、『12』の特設サイトにて、以下のようにコメントしている。一部引用する。

「1から数え始めた数字が10になると、何となく11が次のグループの先頭のような感覚があります。まぁ10進法で生活してるわけですから当たり前なんですけど。なのに1年が10ヶ月で区切られていないことを、子供の頃とても不思議に感じてたわけです。ここ数年、時々そんなことを口にするようになっていました。10で区切るのは表向き。『12』には人が知り得ることのない続きのようなものが隠されてるというか…いや、やっぱり説明不足の域は越えないなぁ。(以下、略)」── ASKA(『12』特設サイトより)

古来より数字は様々な意味を持つミステリアスな存在だった。中でも“12”という数字は不思議であり、特別な意味を持っているらしい。言われてみれば、星座や干支もそうだし、一年も12ヶ月。また音楽でも音階は12個の音、いわゆる12音階を持つ。さらに、英語では12までが独立した名前を持っている。

さて、ここからは余談としてお付き合い願いたい。上述のように、“12”という数字はとても不思議な数字である。そしてとても深い意味がある。この時代、このタイミングにASKAが『12』という作品を出したというのも、もしかしたら深い意味があったのかもしれない。

この時代を一言で表現するなら、“デジタル化の時代”といえるだろう。それぞれのオリジナル曲がリリースされたあの頃よりも急速にIT化が進み、デジタルというものが身近なものになった。

さて、「デジタルは“0”と“1”で構成される」と言われる。いわゆる2進法だ。確かにそれは正しい。しかし、実際にデジタル家電やPC、プログラムなどで使われるのは2進法ではなく、0から9までの英数字と、A~Fまでのアルファベットで表示される16進法だ(たとえばブログで文字の色を変える時に使われる「#ffffff」「#000000」「#ff00ff」などの色指定も16進法が用いられている)。この辺の解説は専門の媒体などを参照していただきたいが、16進法が使われる理由を簡単に述べると、2進法だと“0”と“1”の羅列が並び、記述する際に煩雑になってしまうからだ。

と、ここまで書けば、これから言わんとすることに勘付いた人もいるかもしれない。10進法で“12”と表現するこの不思議な数字を、今を象徴するデジタルで、すなわち、身の回りの家電や、まさに今、利用しているPC、ケータイ、Webサイトなどでも使われている16進法に直すと、どうなるのか?

結論を述べよう。12という数字を16進法に直すと“C”というアルファベット一文字で表示される。

ASKAファンにとっても、CHAGE and ASKAのファンにとってもなんだか馴染み深い、このアルファベット。むしろ、“A”という記号と対でよく目にしていた、とでも言うべきか…。いや、今回の『12』に、実は“このような意味”も含まれているのかどうかは我々が知る由もない。むしろこれもまた、“12”という数字が引き起こした不思議な偶然、そのように考えるのが自然だろう。

ともあれ、多くの意味、深い意味を持つ名前がつけられている『12』だが、このアルバムに収録されている楽曲には、時代を超越した、ASKAの普遍的なメッセージが込められているということを最後に再度強調しておきたい。当時のASKAが楽曲に込めた想いは、当時の多くのファン、そして一般リスナーへと伝わった。そしてそれを受け、時を経て、2010年のASKAが、新しい音と新しい想いを込めて作り上げたのが今回の作品。これは再度、新しいファン、新しいリスナーのもとへと届けられる(新しいというのは、新規の、という意味とともに、あの頃とはまた違った環境、状況、想いを持ったファン、リスナーという意味でもある)。

こうやって、ASKA作品に込められた想いや願いは、12の次に、新しい1が訪れるかの如く、また新しい“願いのリレー”のサイクルを形成し、未来へと受け継がれていくのだ。

◆ASKAのアーティスト画像
◆『12』特設サイト
◆ASKA オフィシャルサイト(CHAGE and ASKA)
◆ iTunes Store ASKA(※iTunesが開きます)
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