-異種格闘技対談-Ring【round2】第3回/J

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-異種格闘対談-Ring【round2】第3回

GUEST J / 逹瑯(Vo) ムック

「音譜にならない音譜を唄えてるヴォーカリストは本当に尊敬するもんね。本当に、そこはどう頑張ってもまだできてない気がする」J

逹瑯: いや、だって、これってすごいことだよ! 俺たちのいるシーンとかに限らず、ギターロック系のバンドでも、LUNA SEA通ってないヤツいないからね。ウチらの周り見ても、20代後半でバンドやってるヤツら見ても、下手(しもて)はJさんだらけですからね! Jさんそのものの存在感の大きさを改めて感じますよ。ホント。

J: あはははは。褒め過ぎじゃない(笑)?

逹瑯: いやいや、真面目な話。ホントですって!

J: っていうか、訊いてもいい? 俺の何がいいのかな(笑)? 自分じゃ解らないんだけど(笑)。

逹瑯: いやぁもぉ、存在そのものももちろん、精神面もじゃないですか? ソロの音楽性も含め、なんか、Jさんって、すごく男っぽいんだけど、すごくロマンティストなんじゃないかなってとことか、すげぇ感じるんですよ。男らしくて、支える感じもあるけど、引っ張っていく力もあるっていう。ベーシストって、そういう人が多いんじゃないかなと思うんですけど。寡黙だけど、1番尖ってるっていう部分を持ってる、そういう象徴なんだと思うんですよね、Jさんって。とにかく、全部がカッコイイんだと思います。

J: あはははは。そっかぁ(笑)。ベーシストね。うん。やっぱなんか、バンドの花形ってヴォーカリストとかギタリストじゃない? そういうのを覆したかったし。それに、俺の周りの諸先輩方を見てもらうと解ると思うけど、ベーシストって結構キャラ濃い人、多いんだよね、実は(笑)。だから、その中でどう立つか。なんかさ、そうなると、余計に自分に向かうよね。何かないと叶わないから、とにかく自分を磨こうって。とにかく自分のスタイルを築こうって。だから、誰かの真似をするとか、そういうところじゃなく、必死に自分で自分のスタイルを見付けようとしてたよね。ベースラインとか、スタンスとか、そういう面も、見た目的な面も。これが俺だ!ってやつをね。それがカッコ良く写ってくれてたのであれば、すげぇ嬉しいことだけどね。

逹瑯: いやぁ、これも俺がガキの頃の感想になっちゃうんですけど、中高生って、やっぱ最初にヴォーカルとかギターに目がいくと思うんですよ。ベースって何処をどうやって弾いてる楽器だろう? 的な感じもあるし。でも、Jさんって“ベースってカッコイイ楽器なんだ!”って思わせてくれた人でもあるんですよね。

J: おっ。それ嬉しいねぇ。

逹瑯: 俺自身がそうでしたからね。

J: 俺も、中学生の頃にバンドやりたいって思ったとき、やっぱ最初はギターやりたかったからね。どうしてもベースってちょっと影のイメージがある。まぁ、支える楽器でもあるから、そういうイメージなんだろうけどさ。

逹瑯: シブい楽器ですよね。

J: そういう意味でも、俺は、ベースに対してのそういうイージーな印象をぶっ壊していけたらいいなって思ってたよ。もちろん、いい意味でね。あ、でも、出過ぎるのは好きじゃないんだよ。すげぇ出過ぎてるベーシストっているじゃない? あれカッコ悪いよな?

逹瑯: あははははは。

J: ベースって奥ゆかしい楽器でもあるし、チームでいったら、ヘソになるような楽器だからさ。出たり引いたりするクールさが、ベースの醍醐味だとも思ってるんだ。だから、ずぅ〜っと出っぱなしのはマジ“センス無ぇなぁ!”って思うよ(笑)。

――中学の頃、ギターをやりたいと最初に思ったJさんが、ベースを選んだきっかけって何だったんですか?

J: みんながギターやるっていったから、“じゃぁ、ベースでいいや”みたいな。でも、その頃なんて、ベースがなんなのか解ってなかったからね。“ギターよりちょっと長いヤツでしょ〜”くらいの知識しかなくて(笑)。ま、そのバンドは、やりたいね、っていうだけで終わっちゃったんだけどさ(笑)。でも、自分がベースをやりだして、気にしだすと、カッコイイベーシストっていてさ。俺が衝撃を受けたのはシド・ヴィシャスだったね。シド・ヴィシャスのグラビアを見たときの衝撃はすごかったな。“なんでこの人、血出してんの!?”みたいな(笑)。気になるきっかけなんて、そんなとこだよね。匂いがヤバそうじゃん! っていうとこに惹かれていったんだよね。なんかね、今思うと、俺、自分自身が、そのときに、“自由”ってもんを手に入れた気がするんだよね。ロックを聴くようになるまでの自分を振り返ってみると、どこにでもいる本当になんの希望もないガキだったんだよね。東京からちょっと離れたベッドタウンに住んでるガキで。学校帰りとか駅の周りでたまってて。夜になると、会社帰りのくたびれた人たちが、すごい疲れてつまんなそうな顔して、駅から出てくんの。よれよれになってさ。そんな風景を見てて、俺たちにもこんな将来しかねぇのかな? って、漠然とした不安というか、希望のない未来を見てたと思う。どこにエネルギーを発散する訳でもなく、毎日がただただ流れてってて。で、暴れたり、やんちゃしたりしてたんだと思う。なんか発散したかったんだろうね。そんなとき、ロックって音楽に触れて、“俺もこんな風になりたい。なれるかも!”って、すぅ〜っと目の前に光が差した気がしたんだよね。

――じゃぁ、もともと、音楽もパンク系から入ったんですか?

J: ルーツはね。でも、全部聴きあさってたよ。その頃って、まだCDになってないよね?

――なってない時代ですね。LP盤でした。

J: だよね。貸しレコード屋さんとかあったよね。ちょうど貸しレコード屋さんが始まった頃だよね。

――ありましたね、貸しレコード屋さん(笑)。

J: あったよね(笑)。当時はMTV全盛の時代でもあって、PVも見れるようになって楽しかったよね(笑)。で、俺ん家の実家の近くには大学があって、大学生ターゲットの貸しレコード屋さんがあったんだよ。もちろんレコードを買う金なんてなかったから、そこでみんな借りて、とにかく【あ】から順番に聴きあさったの。何聴いていいか解らないからさ、とにかく怖そうなジャケット見付けると聴いてみたり(笑)。【あ】から始まるアーティスト名っていったら、アイアン・メイデンだよね(笑)。

逹瑯: あはははははは(大爆笑)!

J: 【あ】も【A】も一緒だから、次に目が行くのはAC/DCだよね! みたいな(笑)。

逹瑯: あはははは。そんな感じだったんですか!? Jさんも!

J: そりゃそうだよ、そりゃそうだよ、俺だってガキの頃は何も知らないんだからさ(笑)。ジャケットが怖そうとか、そんなとこからだよ(笑)。で、次は【お】とかで、オジー・オズボーンだ! みたいなね(笑)。その頃の自分たちの中にはない音楽だったから、聴く度に刺激受けてたね。

逹瑯: すげぇなぁ。やっぱみんなそういう時期ってあんだなぁ〜。なんかいいっすね、そういう話。でも、Jさん、ずっとベーシストな訳ですよね? 出るとこ出て、支えるとこ支えてっていうスタンスを貫いてきた人が、今、ソロでヴォーカリストとして中心に立ってる訳じゃないですか。それって、どういう感覚なんですか? ある意味出ずっぱりになるというか。

J: 97年にバンドを休止して、みんなでソロやろうってことになってね。で、ソロをやるからには自分自身ですべてをやりたいと思って。歌うこともね。

逹瑯: バンドのベーシストとは違いますもんね。

J: うん。違うね。

逹瑯: 来てるお客さん全員が自分を見てる訳ですもんね。

J: うん。そうだね。ただね、そんなにそこの感覚は変わらなかったんだよね。でも最初は、バンドと違って、全部を自分でやったことが大変だった。ドラムは叩けないからお願いしたんだけど、ソロ・アルバムは、できる限り自分でやろうと思って。ベース弾き終わって、次、ギターも弾いてって、全部自分でやった。正直、それがすごい大変だったね(笑)。レコーディングで休むときないんだもん(笑)。ソロって大変だなって、やってから思ったね。誰かに任せるところがなくなってくるでしょ。エクスキューズするところがなくなるからね、自分独りでやってる訳だから。でも、ソロはそうしたかったんだ。で、そうなったときに、またいろいろと見えてきたことがあったんだよね。“あぁ、アイツ、こういう気持ちで唄ってたんだな”とか、“アイツ、こういう想いでギター弾いてたのかな”ってね。それによって、いままで自分がやってきたことが、より立体的に見えたんだよね。でも、やっぱりソロって俺自身、100%俺だから、全ての責任は俺にあるし、今もだけど、ソロを始めたときから、ずっと、全ての責任は俺が取る!っていう気持ちで向き合ってるよ。でも、まだまだヴォーカリストっていう意識より、俺自身が、もうひとつの言葉を持った感じっていうのかな、そんな感じ。いままではベースしかなかったけど、そこに、もうひとつ、言葉という楽器を持った感じかな。

逹瑯: おぉ〜。

J: だから、“ヴォーカリストとして”とかいわれると、なんか、ドキッとしちゃうよね(笑)。

逹瑯: (笑)。じゃぁ、Jさんは、ヴォーカリストで好きな人とかはいないんですか?

J: いやぁ、やっぱ上手い人は好きだよ。でも、俺自身はそういうタイプじゃないと思うからね。

逹瑯: いや、俺、Jさんって、すげぇ色気のあるヴォーカリストだなって思うんですよ。俺、色気のあるヴォーカリストって大好きなんですけど、歌詞もそうだし、声がホント、すっげぇセクシーなんですよね。

――低音とか特にね。

逹瑯: そうそう。そうなんだよね、俺もJさんの低い声すげぇ好きで。本当にセクシーだなって思うんですよ。

J: 自分の言葉を自分の言葉で伝えるのは、俺自身にしかできないことだからね、ただそこだけを考えて、そこに重きを置いて、熱を込めて唄ってるだけなんだけどさぁ。なんか、セクシーとかいわれると、正直、照れちゃうんだけど(笑)。楽器的な発想なのかもしれないけど、音譜にならない音譜を唄えてるヴォーカリストは本当に尊敬するもんね。本当に、そこはどう頑張ってもまだできてない気がする。フローしてる感じっていうか。ある意味、俺たち楽器隊は、フレットの中で生きてきたからさ。唄も楽器的な発想になっちゃってるとことか、もどかしいなって思うところはあるよね。でも、だんだん自分の中で、いいバランスが取れてきてるのかなって思うけどね。

逹瑯: なるほどぉ。すげぇ興味持てる話ですね、それ。俺ね、LUNA SEAの中でも、Jさんって1番怖いイメージだったんですよ。

J: あははははは。

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