辻井伸行、ショパン・イヤーに贈る極上のショパン名作集

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<第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール>で、日本人初の優勝を果たしたピアニストの辻井伸行が、コンクール受賞後初の新録音アルバム『マイ・フェイヴァリット・ショパン』を3月24日にリリースした。

2010年は、ショパン生誕200年となるショパン・イヤー。この記念すべき年を飾る当作品には、「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」「バラード第一番」「4つのマズルカ」「2つのノクターン」「幻想曲」を収録。辻井伸行の正確無比なテクニックと、そこから生み出されるみずみずしい音でショパンの感傷的で抒情的な面がていねいに紡ぎだされており、非常に完成度の高い作品に仕上がっている。

以下は辻井伸行からのコメントである。

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僕がショパンの音楽に出会ったのは生後8ヶ月の時でした。あまりにも小さいときのことで僕自身は覚えていないのですが、曲に合わせて嬉しそうにリズムを取っていたそうです。その様子を見ていた母が、どんどん音楽を聴かせたり、おもちゃのピアノを買ってくれたりしたのです。ショパンは僕のピアニストとしての原点ですね。

ショパンの音楽は繊細で優雅なところ、前向きな希望を感じさせるところが大好きです。華麗に盛り上がるところでも、音楽に気品があります。今回録音した中で、たとえば「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」は、アンダンテの繊細な美しさや、ポロネーズのキラキラした青春の輝きとか、一つの曲の中にたくさんの魅力が詰まっています。「ノクターン」の作品27の1は暗く始まって悲劇的な感じになりますが、希望の光がさしてきて最後は明るく終わります。作品27の2はロマンティックで、窓辺で歌う恋の歌というイメージです。ショパンはこんな作品を20代で書いたんですね。僕も同じ年齢が近づいて、あらためて“ショパンってすごいな”と思います。

1月のベルリンでは、世界のトップ・ピアニストたちが録音しているスタジオで、経験豊富なプロデューサーと、すごくいい録音が出来て、結果にも満足しています。『マイ・フェイヴァリット・ショパン』を聴いた方に「ショパンっていいな」と思って頂ければ嬉しいです

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このアルバムのレコーディングは1月11日~13日にベルリンで行なわれた。レコーディング・プロデューサーを務めたフリーデマン・エンゲルブレヒトは、以下のようにコメントしている。

「辻井の技術的な完成度や安定度は非常に高いレベルにある。高度なコントロールを求められる長いパッセージを繰り返し完璧に弾けるのには、率直に言って驚かされる。しかし、それ以上に素晴らしいのは、彼が新しいテクニックやアイディアに対して常にオープンであり、それらをごく短い間に吸収して、自分のものにしてしまうことだ。世界のトップクラスのピアニストの中でも、この資質を持っている人は決して多くない。今後、彼が世界中で活躍するピアニストであることを確信している」

『マイ・フェイヴァリット・ショパン』
2010年 3月24日発売
AVCL-25489 \3,000(tax in)
・アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22
・バラード第1番 ト短調 作品23
・4つのマズルカ 作品24[第14番 ト短調、第15番 ハ長調、第16番 変イ長調、第17番 変ロ短調]
・2つのノクターン 作品27[第7番 嬰ハ短調 作品27の1、第8番 変ニ長調 作品27の2]
・幻想曲 ヘ短調 作品49

◆辻井伸行 オフィシャルサイト
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