女子のためのジャズ・ガイドが面白い

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いま書店でひそかに売れている本がある。そのタイトルは『Something Jazzy~女子のための新しいジャズ・ガイド』。難しそうで取っつきにくかったジャズに焦点を当て、その楽しみ方をいろんなシチュエーションで紹介してくれるジャズ入門本だ。

タイトルの“Something Jazzy”とは、“ジャズっぽい音楽”ということ。しかめっ面で腕組みをして音楽理論を紐解きながら聴くのではなく、もっと気軽にジャズを楽しむために、女性ジャズ・ライターの著者が、女性に向けたジャズの聴き方を伝授してくれている。

まずは、ジャズという音楽の持つ魅力を分かりやすく解説してくれるところから始まり、「元気を出したいとき」「片思いをしているとき」「ポカポカ温かい春に」などと、シチュエーションによって聴くジャズの名盤を紹介。さらに「コンピレーション・アルバムを聴こう」「フュージョン・アルバムを聴こう」と、いろいろなジャズの聴き方、そしてレーベル別のジャズの名盤の聴き方までを教えてくれる。

「枯葉」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」「イパネマの娘」「ワルツ・フォー・デビー」「この素晴らしき世界」などのスタンダードナンバーを紹介するエッセイは実にわかりやすく、その曲がスタンダードになった経緯から、お勧めのアルバムまでを取り上げている。

この本の魅力は、実にわかりやすいということ。ジャズに対して持っていた偏見がガラガラと崩れ、生活に密着した楽しみ方ができることを知らされる。さらに入門本とはいえ、ここで取り上げられているアルバムやアーティストは、決してお手軽なものではない。一般的にも人気のあるものから玄人好みのものまで幅広く、この本に紹介されたCDをズラリと揃えれば、ジャズの歴史を俯瞰でき、さらに重要な作品を網羅することができる。

著者は音楽ライターの島田奈央子氏。『スイング・ジャーナル』などでジャズを中心にレビューやインタビューを執筆するほか、CDのライナーノーツも手掛ける。またクラブDJとしてもイベントに参加、さらにTVやラジオでレギュラーを持つなど多才な人だ。

軽妙洒脱な語り口で紹介されるジャズの数々。決して女子だけではなく、男子にも手に取ってほしい入門本だ。

『Something Jazzy~女子のための新しいジャズ・ガイド』
駒草出版(株式会社ダンク 出版事業部)
\1,890(本体\1,800+税)
四六判/並製/228ページ
ISBN:978-4-903186-77-1 C0073

◆Something Jazzy公式ホームページ
◆島田奈央子 公式ホームページ
◆駒草出版 ホームページ
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