【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第1回 「僕とオリ盤」

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BARKSをご覧の皆さん、はじめまして。D.W.ニコルズのギター、鈴木健太と申します。

今月からBARKSで月2回、連載をさせていただくことになりました。何の連載かというと、僕が収集しているアナログレコード、特にいわゆる“オリジナル盤(=オリ盤)”についての連載です。

レコードというと、古臭いとか不便とか、オタクの集めるもんだろとか、色々イメージはあると思いますが、一歩踏み込んでみるとそこにはとてもとても魅力的な世界が広がっていて、楽しみ方も人それぞれ。案外手軽に気軽に楽しめるものだったりもします。音楽の情報化が進む今の時代、僕がなぜレコードにこだわるのか。その理由と“オリ盤”の魅力を僕独自の観点から色々と深く語っていきたいと思います。

さて第1回目の今回は、僕がそのレコードのオリジナル盤を集めるようになったきっかけ、そしてそもそもオリジナル盤とは一体何ぞや、ということについて書きたいと思います。ちょっと長くなると思いますが、大切な所信表明ですので、どうか最後までお付き合い下さい。

   ◆   ◆   ◆

まず、レコードは音がよい、ということ。

僕の幼少期は今考えると音楽環境にとても恵まれていました。家ではしょっちゅう、両親が好きなBeatlesやSimon & Garfunkel、Peter, Paul & Mary、Bob Dylanといったアーティストのレコードがかかっていて、それらを刷り込みのように聴いて育ちました。僕は今31歳になったばかりですが、この世代というのは、幼少期はレコードやカセットテープが主流で、小学校高学年頃にCDが一般的に普及してきた世代。我が家も例外ではなく、その頃にCDプレーヤーが家にやってきました。小さく軽く、扱いが楽で、音が劣化せずクリアーでいいというConpact Disc。両親の世代からすると、その音のクリアーさや、ひっくり返さなくて済む手軽さなどは本当に画期的だったようで、すごいすごいと大喜びしていました。しかし僕は初めてCDを聴いたとき、その音がどうもしっくりこなかったのです。「音が薄っぺらい」と感じました。小学生がそんなのわかるのかよ、って話ですが、初めて耳にしたCDというものの、そのしっくりこない音の印象は確かに強く、今でもはっきりと覚えています。今思えばここが全ての始まりだったんですね…。

しかしCD化の波は凄まじく、耳もCDの音に慣れ、最初のあの印象は頭の隅に追いやられたまま、CDに囲まれた音楽環境で生活していくことになります。

大学生になり、近所のリサイクルショップによく中古CDを漁りに行っていた僕は、ある日、店の隅の方にダンボールに詰められたレコードが50円くらいで売られているのを見つけます。のぞいてみると、欲しいと思っていたアーティストのレコードもちらほら。レコードなら聴きたいものがこんな値段で聴けるのかと驚き、そしてその時に蘇ったのが、初めてCDを聴いたときの記憶。

数枚のレコードを買い、そして一番安いくらいのレコードプレーヤーを買って、実際に聴いてみると、やはり音がよいのです。あたたかく、奥行きのある音がします。そして大きいジャケットが嬉しい。CDを買うよりずっと安い値段で、しかもいい音で聴けるということで、古いアルバムはレコードで少しずつ集めるようになりました。

そして、オリジナル盤との出会い。(オリジナル盤とは何ぞやという話は後に述べます)

僕は比較的いろんな音楽を聴く方だと思っていますが、特に好きなのは'60年代から'70年代のアメリカンロックで、どのアーティストが好きかと訊かれれば、迷わず「The Band」と答えます。正直言ってちょっと頭がヘンなくらい好きで、やはりCDでは飽き足らなくなってレコードを集めていました。とは言っても当時はレコードに関する知識はほとんど皆無に等しく、日本盤や再発盤など、とにかく安いもので集めていましたが、それでもCDより音がよいと感じるものがほとんどでした。

あるとき、同じくThe Band好きの友人から『Stage Flight(The Bandの'70年3rdアルバム)』のオリジナル盤を手に入れたという話を聞きました。僕は、オリジナル盤なんてものは単に希少価値があるだけの、コレクターが集めるものだと思っていたので、ほとんど興味はなかったのですが、その友人はそのオリジナル盤の音がすこぶるいいからとにかく聴いてみろ、と言うのです。

それが初めてオリジナル盤を聴くきっかけになりました。
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