――で次は「魔法の料理 ～君から君へ～」ですね。これはずーっと空間を作るようなシンセが後ろで最後まで鳴ってますよね。あれは最初のデモテープのときからあったのかな、っていうのをまず藤原さんに聞きたいです。

藤原：　あれはないですねー。あれは最後にプロデューサーの仕事ですね。

――へえー。「NHKみんなのうた」で放送されるってのは、ありきで始まったんですか？

藤原：　違います。それは曲が出来たあとにスタッフさんの動きでそういうことになりました。

――じゃあ、最初はアコギで作ってったっていう普通のやり方ですか？

藤原：　そうですね。でも、最近はスタジオで曲作りが多いんですけど、この曲は家で書きましたね。

――升さん、この曲はいかがですか。まあ、BUMP OF CHICKENらしいと言えばらしいですけど、ご本人的に、「今まで出してきた曲とここがちょっと違うな」と思えるところは。

升：　んー、ホントに「いい」としか言いようがないんですけど。聴いたのはけっこう前、1年前ぐらいですかね。藤原くんが30歳になる前ですね。20代最後の曲っていってこれを聴かせてくれて、もろもろの、「そろそろ30になる」みたいなこと、いろいろなモヤモヤが入って。

――モヤモヤって更年期みたいな？

直井：　ちげーな！(笑)

升：　まあ、その「いい」っていうのに加えて個人的なことを言うなら、すごい、年を重ねていくことだったり、年代を重ねていくことに対して安心感を覚えて、圧倒的な優しさに包まれたというか。そういう感じは個人的に、その聴いたときに受けました。

――で、そのモヤモヤも消し飛んだと。

升：　いや、それはそれでずっと別に(笑)。

――あ、別にあるんだ(笑)。

升：　別にあっても、そこで負けない自分っていうのができたんです。

藤原：　相談してくれよ。なんかあるんだったらさ。

直井：　今、言わなくてもいいからね（笑）。

取材・文●佐伯 明