クラシック音楽の現状、求めるのは癒し?

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フィギュアスケート選手の活躍、映画『のだめカンタビーレ最終楽章』公開、そしてショパン生誕200周年とクラシック音楽にスポットが当たっている2010年、HMVがユーザー約2,600人に対して「クラシック音楽に関する意識調査」を行なった。

今回の意識調査の面白いところは、普段クラシック音楽を購入していない「ノン・クラシックユーザー」と購入している「クラシックユーザー」の双方に調査を行なったこと。ノン・クラシックユーザーが考えるクラシックイメージや、クラシックユーザーが語るクラシックの魅力など、立体的な回答から、クラシック音楽の現状が浮かび上がっている。

ノン・クラシックユーザーに「普段聞いている音楽以外に聴いてみたいジャンルは?」と尋ねたところ、1位はジャズ、2位がクラシックとなり、専門性の高い音楽に関心が集中した。そのほか洋楽ロック、R&Bと続くが、ジャズとクラシックでほぼ半数を占める結果となった。

彼らの考える「クラシックのイメージ」は、「癒し」(28.4%)が圧倒的な大差で1位となり、2位「知的」(18.2%)、3位「高尚」(11.2%)とポジティブイメージが続く。「堅苦しい」(5.6%)や「眠い」(4.3%)などのネガティブイメージは少数意見となったが、クラシックに興味を持つ背景には癒しを求める時代性が見え隠れする。

一方、クラシックユーザーが持つクラシックの魅力は1位「奥深さ」。とはいえ、2位には見事「癒し」がランクインしており、クラシックの持つ癒し効果は、ビギナーからコアリスナーまでオーディエンスにとって大きな魅力となっているようだ。なお、クラシックの魅力は3位「美」、4位「飽きがこない」、5位「多様性」と続く。

ただ、クラシックにどっぷりはまると落とし穴も。「クラシック好きが高じて失敗したこと」を尋ねると、「CDを買いすぎてしまう」という意見が圧倒的多数で続出。クラシックには麻薬的魅力があると見えて、「無意識に指揮をしてしまう」「他ジャンルが聴けなくなった」「近所迷惑なほどの音量で聴いてしまう」「知識や雑学を語ってしまう」「オーディオにも凝ってしまった」「海外にまで聴きに行ってしまった」「好きな芸能人は?と聞かれてショパンと答えてしまった」など、様々な失敗談が続出。「同じCDを何度も買ってしまった」というエピソードも決して少数ではなかった模様。

もちろん、それを上回って余りある魅力こそクラシックの醍醐味。「クラシックを聴いてよかったこと」に対し、「感性が豊かになった」「趣味が持てた」「リラックスできるようになった」が拮抗する形でトップ3にラインナップ。その他にも「ストレスがたまらなくなった」「寝つきが良くなった」など心身の健康に効果を感じる声も目立つ。

しかし、そんなクラシックヘビーリスナーも、クラシックに興味を持ったきっかけは、「家族の影響」(19.9%)、「楽器を習って」(19.0%)と、ごくごく普通の日常からのようだ。もちろん個性的な理由もちらほらあるけれど。「クラシック好きな人を好きになって」「ロックに飽きて」「映画アマデウスを観て」「新世紀ヱヴァンゲリヲンを観て」「ドラゴンクエストのBGMを聴いて」…どれもうなずけます。

なお、「CDを買いすぎてしまう」というクラシックユーザー、それは果たしてどのくらい?という質問に、3分の1もの人が1000枚以上との答え。これは確かにすごい。中には30000枚という猛者も出現。普通のPケース入りCDが1枚100gとすると3トンにもなりますが、お部屋は大丈夫なのでしょうか。

「クラシックの最大の特徴は「記憶」の「蓄積」によって「感動」がどんどん深まっていくということ。コアなファンのCDコレクションへの情熱もその蓄積→感動を追い求めてのことですし、のだめやフィギュアスケートが巻き起こしたクラシックへの認知度上昇も、繰り返し耳に入る美しい音楽の蓄積がもたらした現象という点で基軸は同じです。長い歴史を生き抜いたクラシック音楽。上質で壮大な音の「記憶」は、着実にその影響圏を拡大中です。」とは、HMVクラシック担当者のお言葉。

クラシックが深遠で厳かなのは、必然なのですねぇ。音楽の森林浴のようなクラシックは、癒しのチトンフィッドを我々に降り注いでくれるのです。

◆HMV「クラシック音楽に関する意識調査」
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