タワレコがショパンを力いっぱい応援「ショパンイヤーの楽しみ方」前編

ツイート

タワーレコードがショパンを力いっぱい応援する企画「タワーレコード・ショパン・スペシャル・キャンペーン」を展開させている。

ショパンの伝記的作品といえる映画『別れの曲』の上映や、ショパンダなるキャラクターが登場するなど、ますますの盛り上がりをみせる2010年ショパンイヤー。

日本最大のクラシック音楽祭<ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010>を目前に、<ラ・フォル・ジュルネ>に携わるクラシックソムリエのオヤマダアツシ氏に、ショパンイヤーの楽しみ方を訊いてみた。

[ショパンイヤーの楽しみ方前編]

──ショパンの楽曲で、一番好きな曲はありますか?

オヤマダアツシ:超ベタな、ショパンのベスト盤に入ってないとおかしいような楽曲ですが、「別れの曲」(練習曲第3番)ですね。初めて聴いたのはもう30年くらい前ですけれど、いまだに好きなんです。過去、いろんな映画やドラマのBGMにも使われていますよね。タイトルのおかげで、悲しげなイメージにとらわれがちですけれど、「別れの曲」という邦題が付いたショパンの伝記映画にテーマ音楽として使われたため、そのまま日本でこう呼ばれるようになったというだけのこと。曲自体はとてもロマンティックでシンプル、クラシックの形式では「三部形式(A-B-A)」という構成なんですが、素直なメロディラインはザ・ビートルズの「イエスタデイ」(1965年発表)とか「サムシング」(21枚目のオリジナル・シングル曲)のようなバラードと共通しているように思うんです。曲の中で細かく転調して、どんどん表情が変化していくのもショパン流だし、「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」(1967年2月発表14枚目のオリジナル・シングル曲)みたい。こんな風に聴いてみると、ビートルズのようなポップ・ソングと意外な共通点もあるんですよ。

──ちなみにピアニストによって、全く印象が変わるのをどう聴きますか?

オヤマダアツシ:クラシックってポップ・ミュージックで言うところの“カバー”の歴史ですよね。同じ楽譜なのにいろんなピアニストが弾き、同じ曲でも情感たっぷりに聴かせるピアニストもいれば、陶酔してこのまま止まっちゃうんじゃないの?ってくらい静かにゆっくり聴かせるピアニストもいる。そう考えると、クラシックってつまり後から出てくるアーティストが、曲を自分なりに弾いていく“カバー”なんだな、と。究極のリサイクル芸術なんですよね。楽譜っていうオリジナルはくずせないけど、その範囲を越えなければあとは思うがままにどうぞ、というのがクラシックですよね。だから、「こう来たか!」みたいな楽しみ方ができるんです。特にショパンの曲は、そういった自由さが似合うかもしれません。

──“特にショパンは”…というのはなぜ?

オヤマダアツシ:ショパンの生涯を振り返ってみると、他の有名な作曲家たちと異なり、ポップ・スターというかシンガー・ソングライターみたいな側面があるんです。後半生を生きたパリではおよそ16年の間に大きなコンサートを開いたのがたった10回ほどで、彼ほどのスター音楽家にしてはとても少ない。コンサートにチケットを売り出すと、たちまちソールドアウトになるほどの人気だったのにもかかわらず、です。そのかわり貴族の館なので開かれるサロンというパーティーだったり、近所のカフェなんかでは気軽に弾いているんですよね。即興でピアノを弾いている最中にいいメロディーが生まれ、「今の良かったな」って楽譜に残したりしている。そういう意味でも、普通の作曲家とは違ってポップス寄りの雰囲気が強いんです。ショパンの曲は短いから、いわゆるシングルヒットみたいなもの。そういう背景からも、気軽に聴けるクラシックの代表的な作曲家です。クラシックをあまり聴かないという皆さんだって、絶対にショパンの曲はどこかで聴いて知っていると思います。

──<ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010>がいよいよ間近に迫っていますが、楽しみ方を教えてください。

オヤマダアツシ:クラシックのコンサートは、「何を着て行ったらいいんだろう?」とか「チケット高いなあ」って思う人がまだまだいると思いますけれど、普段そう思ってなかなか行けない人こそ、<ラ・フォル・ジュルネ>で「お試し」をしてはいかがでしょうか。東京国際フォーラムの中で一日ばっちり楽しめる、音楽を主役とした遊園地みたいなものです。いろいろな料理が食べられる屋台は出てるし、グッズ販売もあるし、野外のステージでは演奏が始まるとお客さんが大興奮して、ロック・フェスみたいな状態になっちゃう。アンコールがかかるとアーティストものってきて止まらなくなったり。<ラ・フォル・ジュルネ>を始めたフランス人プロデューサーのルネ・マルタン氏は、U2の野外コンサートが大きなヒントになったんだって言っているんですよ。だから、まさにロック・フェスのクラシック版なんです。身構えないで、まず体験してみるのがいいと思いますよ。2010年のテーマ作曲家はショパンですからピアノ音楽がメインですけれど、他の作曲家の音楽やオーケストラ曲、ワールド・ミュージックにアレンジしたショパンなども楽しめます。

直前なのでもうチケットが売り切れているコンサートもたくさんありますけれど、チケットがなくても楽しめます。しかしチケットが1枚あれば、それがパスポートになって入れる会場もいろいろありますから、チケットがまだ残っている大きなホールでのコンサートを買えばオーケー。2010年のテーマ作曲家はショパンですが、ポーランド出身ですからワインや名産品なども販売されるんじゃないかと思います。物産展のようで賑わいますよ。

──予習ってしていったほうが楽しめますか?

オヤマダアツシ:より楽しめるとは思いますけれど、しなくても全然OK。だってお祭りなんですもん。三社祭へ行くのに予習はしないように、とにかく会場へ行って、音楽やアーティストに出会って、あー楽しかった!でいいんです。

◆後編に続く…

◆ラ・フォル・ジュルネ・オフィシャルサイト
◆タワーレコード・ショパン・スペシャル
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス