<日独楽友協会指揮者コンクール>で3位入賞したサラリーマン指揮者・藤田淳平

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4月29日から5月5日にかけて開催された<日独楽友協会指揮者コンクール>において、藤田淳平氏が3位入賞をはたした。プロの音楽家、音楽指導者、音大出身者らがエントリーした同コンクールにおいて、私立大学経済学部出身の藤田氏は、普段、満員電車に揺られる会社員。そんな彼が入賞をはたしたというのは快挙といえるだろう。

<日独楽友協会指揮者コンクール>は、フルート奏者で指揮者のクルト・レーデル氏を音楽監督に迎え、ドイツ連邦共和国大使館の後援を得て、ドイツ語圏への音楽留学斡旋、ドイツ大使館で実施するものを含めた各種演奏会、講習会のプロデュースなどを行なっている日独楽友協会が主催するコンクール。7日間の指揮者講習会と同時開催される形で2010年に初めて実施された。日本で開催されるオーケストラの指揮者向けコンクールとしては、財団法人民主音楽協会が主催する<東京国際指揮者コンクール>以外唯一のもの。

ウィーン国立音大指揮科のシメオン・ピロンコフ准教授、元エルヌ・ドホナーニ交響楽団、モラヴィアフィルハーモニー管弦楽団指揮者の杉山直樹氏を審査員に迎えて開催された今回の<日独楽友協会指揮者コンクール>は、決勝に4名が進出。1位は該当者なし、2位2名、3位が藤田氏を合わせて2名という結果となった。

指揮者のコンクールにおいてサラリーマン指揮者が入賞するということ自体とても珍しいことではあるのだが、実は藤田氏は、指揮者としては珍しい経歴を持っている。

藤田淳平氏は1981年長崎県生まれ。獨協大学経済学部在学時代に、同大学講師だった故近衛秀健氏(宮内庁楽部指揮者。日本最初の指揮者でN響創設者の近衛秀麿氏の子息)と出会い、指揮を学ぶ。大学卒業後、2004年に大手レコード会社エイベックスへ入社。独学で指揮の勉強を続けつつ、プロモーターとして音楽シーンの最前線に携わる。余談だが、松平健がプロデュースするモデル系美女ユニット・ラクシスが弦楽四重奏をバックに行なうライヴで、毎回、ストリングスアレンジを行なっていたのは彼である。

そんな音楽業界で活躍する一方、2005年には、友人らと“日本で一番気軽に聴きに行けるオーケストラ”というコンセプトのもと、交響楽団たんぽぽを設立。以降、常任指揮者として、チェロ奏者の遠藤真理、ピアニストの三浦友理枝と共演もはたす。

音大出身でもないサラリーマン指揮者にして、日本を代表する音楽家たちとの共演経験を持つ藤田氏。少々大袈裟かもしれないが、桐朋音大創設者・斉藤秀雄の指揮メソッドが主流となっている現在において、近衛秀麿の指揮法を近衛秀健氏から直々に受け継いだ指揮者がコンクールに入賞したという点もまた、非常に珍しいことでもある。

藤田氏がタクトを振る交響楽団たんぽぽは、8月15日に、ピアニストの西村由紀江との共演で、“小さな子供がいる親子のための演奏会”というコンセプトのもと、乳幼児も入場可能で、聴きなじみのある作品を中心とした演奏会を実施予定。“リアル・千秋様”(『のだめカンタービレ』で、千秋様は音大のピアノ科に在籍しながらも独学で指揮者を目指していた)ともいえるこの若手指揮者は、クラシックの新風となるかもしれない。

「ご指導を頂いた先生方、今まで指揮をさせて頂いた皆様に鍛えて頂いたおかげで、力を出し切ることが出来ました。優勝は逃しましたが、実力と経験のある方々の中でファイナルまで進出させて頂けたことに満足しています。今回のコンクールで改めて色々な課題が見つかりましたので、引き続き精進します。応援お願いいたします。」── 藤田淳平

◆交響楽団たんぽぽ
・新生ラクシス、教会広場でリーダー脱退後初のステージ -2010-03-29
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